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2の巻『赤れんじゃーになりたい。』

**私はキリスト教の幼稚園に通っていた。

朝から夕方まで、お祈り。
昼食前もマリア様に向かってお祈り。**

その日々で僅かな記憶だけど、この事は覚えている。
"自分達の将来を想像して、
自分のなりたいモノの絵を書いてみよう"
皆も一度は、書かされた事があると思う。

私は何の迷いも無く、赤れんじゃーの絵を書いた。
当時、日曜の朝9時頃だったかに放送されていた
ヒーロー戦隊者の主人公。
画用紙いっぱいに、デカデカと。
絵が完成した私は、ドヤ顔で先生に絵を見せた。

でも、私が想像した反応じゃないものが返ってきた。
先生の不思議そうな表情。

絵を完成させた私に向かって隣の席の、
りえちゃん(仮名)が一言。

"変なの"

一生懸命書いた絵を、たった3文字で片付けられた。
このあまりにストレートな言葉に
私は大打撃を食らった。
りえちゃんと私は家が近所で親同士も仲が良かった。
幼稚園では、そこそこ仲のいいお友達。
そんなそこそこ仲のいい友達のあまりにストレートな言葉は私の心にぐっさり刺さった。

りえちゃんが教えてくれた。
女の子は普通、ピンクれんじゃーだと。

返す言葉が無かった。
なりたいモノを書けって言われたから
私は赤れんじゃーを書いただけ。
全身ピンクに、ひらひらスカート。
私には、何の魅力も感じない
ちなみに、りえちゃんはお花屋さん。

赤れんじゃーは変じゃない。立派なヒーロー。
悪を倒す、立派なヒーロー。

私は悪を倒す、かっこいいヒーローになりたかった。

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