4の巻『〇〇になるってよ』
当時私は、8歳。
休日、まだ寒い季節だったなー…
お昼過ぎに起きて、
いつも通りコタツでゴロゴロしていた。
そこへ、母登場。
なんだかその日はやたら母のテンションが高かった。
"ちーちゃんに報告がありまーす!"
私はTVに夢中で、片耳で母の話を聞いていた。
"ちーちゃん、おねぇーちゃんになるってよ"
え?一瞬私の時が止まった。
え?!もう一度聞き返す。
"ちーちゃん、おねぇーちゃんになるってよ"
やっぱり聞き間違いじゃなかった。
私、おねぇーちゃんになるんだって。
そりゃ嬉しかった。兄弟、欲しかったし。
でも、私の心にふと疑問がわいた。
"おねぇーちゃんとは?"
おねぇーちゃんって、妹と何して遊ぶの?
おままごと?お姫様ごっこ?
髪の毛にリボンつけてあげたりとか?
いやーーーー、無理だーーーー。
だって私、恐竜ごっこしかした事ないもん。
組み立てたブロックを破壊する恐竜ごっこ。
おままごとはやった事はあるけど、
大体の役は"犬"か"お父さん"...
悔やんだ。
おままごとでお母さん役をやらなかった事。
フリフリのスカートを履いて、
リボンを頭につけてもらっていなかった事を。
すまない、妹よ。
私は、おねぇーちゃんという任務を
全うしてやる事が出来ないかもしれない…。
私のこんな悩みを母は露知らず、
母のお腹はどんどん大きくなっていった。
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