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「マスカレード・イブ」のネタバレ,あらすじ,感想を詳しく解説するよ
小説「マスカレード・イブ」 ネタバレ・感想
概要
東野圭吾の小説「マスカレード・ホテル」の続編
ホテルマン山岸尚美と刑事新田浩介の出会う前の物語
5つの短編とエピローグで構成
2018年12月19日初版発行
2021年1月15日に木村拓哉主演で映画化
あらすじ
ホテルコルテシア東京で働く山岸尚美と、警視庁捜査一課の新田浩介。二人が出会う前の物語である。
短編
それぞれの仮面
ルーキー登場
仮面と覆面
交換殺人
マスカレード・イブ
ネタバレ
1. それぞれの仮面
山岸尚美の元恋人がホテルに宿泊
元恋人は不倫関係にあり、その相手が失踪
山岸は元恋人のために調査し、失踪した女性を発見
2. ルーキー登場
新田浩介が配属されたばかりの捜査一課で起きた殺人事件
新田は独自に捜査を進め、犯人を特定
3. 仮面と覆面
人気覆面作家の素顔に迫るホテルマン
作家にはストーカーがおり、ホテルマンは作家を守る
4. 交換殺人
互いに殺したい相手がいる男女
二人はホテルで交換殺人を実行しようとする
5. マスカレード・イブ
ホテルでクリスマスパーティーが開催
パーティー会場で殺人事件が発生
山岸と新田がそれぞれ調査を進め、犯人を特定
エピローグ
ホテルコルテシア東京で起きた殺人事件
山岸と新田が初めて出会う
要約
「マスカレード・イブ」は、東野圭吾さんの人気小説で、マスカレードシリーズの第2作目です。物語は、ホテル・コルテシア大阪で働く山岸尚美と、東京で発生した殺人事件の捜査に当たる新田浩介の視点から展開されます。
以下は、物語の要約です:
それぞれの仮面:
山岸尚美パート: ホテル・コルテシア東京で働く尚美は、元プロ野球選手の大山将弘と、大学時代の先輩で元恋人の宮原隆司と再会します。宮原は不動産関係の仕事をしているが、なぜ大山の付き人をしているのか疑問です。美枝子という女性が失踪し、尚美は彼女を探すことになります。
新田浩介パート: ホワイトデーの夜、実業家の田所昇一が刺殺されます。警察はビジネス上のトラブルを疑い、共同研究者の南原准教授を容疑者とします。
ルーキー登場:
新田浩介は事件の捜査を始めます。被害者は実業家であり、ビジネス上のトラブルが原因と考えられています。
「マスカレード・イブ」は、仮面舞踏会に紛れた犯人を見つけるためのミステリー作品であり、前作「マスカレード・ホテル」の前日譚です。物語は二人の視点から交差し、事件の真相が明らかになります
感想
短編集なので、気軽に読める
それぞれの短編が独立しているので、好きな順番で読める
山岸と新田の過去が明らかになる
二人が出会う前の物語なので、新鮮な気持ちで読める
最後のエピローグで「マスカレード・ホテル」に繋がる
各章あらすじと登場人物
それぞれの仮面
コルテシア東京に就職して4年目の新米フロントクラーク・山岸尚美の前にかつての元彼・宮原隆司が客としてやってくる。元プロ野球選手のタレント・大山将弘のマネージャーとして彼と共にチェックインした宮原はその日の夜、尚美に愛人が自殺を仄めかして失踪してしまったと相談する。愛人が以前に自殺未遂騒ぎを起こしていることから予断を許さない状況の中、あくまで妻や会社に内密にしたいという宮原の意向を受けて尚美は、宮原が仕事の関係で海外に経つ明日までに愛人の捜索を開始する。やがて次々と高価なルームサービスを注文するプレジデンシャル・スイートの客の存在から、この騒動に関わる様々な人間達の仮面の下の素顔を垣間見ることになる。
登場人物宮原隆司(みやはら りゅうじ)
尚美の大学時代からの元彼。尚美が参加していた映画研究会の先輩で、映画グランド・ホテルの話をきっかけに様々な映画を一緒に観る恋人同士となったが、卒業後に就職した中堅ゼネコンが倒産し、大阪の不動産会社に再就職が決まったのを機に尚美と別れた。大阪の会社からリストラされ、現在は従姉が「大山プロダクション」社長と友達同士という縁から大山のマネージャーとなり、本人曰く2年前に結婚しているという。性格的に気が弱いが、デートでも尚美への配慮を欠かせない気遣いの人でもあった。
西村美枝子(にしむら みえこ)
コルテシア東京の宿泊客で1105号室にチェックインした、ブランド物を着飾ったすらりとした長身の女性。北新地のクラブのホステスで、宮原とはそこで知り合い不倫関係にあるという。
大山将弘(おおやま まさひろ)
元プロ野球選手。2年前に現役を引退してからは妻が社長を務める「大山プロダクション」という自身をマネジメントする会社でタレントや野球解説の活動をしており、宮原らからは「大将」と呼ばれている。宮原や弟分の元野球選手と共にコルテシア東京にチェックインし、テレビ番組の企画でサッカーを観るためスペインに経つ予定を控えている。
ルーキー登場
初出:『小説すばる』2013年7月号
捜査一課に配属されて間もない新人刑事・新田浩介は、ホワイトデーの夜に発生した実業家殺害事件の捜査に参加する。殺された田所昇一は夜中のジョギング中に殺害されており、現場付近には犯人が昇一を待ち伏せていたことを示す5本の煙草の吸殻が残されていた。昇一の周辺で怨恨や痴情のもつれによる動機の線が浮上せず捜査が行き詰る中、新田はふとした閃きから現場の偽装を見抜き、やがて昇一殺害の犯人の元に辿り着く。しかし、犯人の動機を調べる過程で新田はとある人物の仮面の下にある複雑かつ狡猾な素顔に迫っていった。
登場人物田所美千代(たどころ みちよ)
殺害された田所昇一の妻。京橋で料理教室を開いており、明るく気配りのできる様子から生徒達には好評だった模様。昇一とは生徒の紹介を通じて知り合い3年前に結婚した。夫の昇一は複数の飲食店を手掛ける実業家で、人望もあり部下には家族と行事を過ごすように言い聞かせる人物だった。
横森仁志(よこもり ひとし)
美千代の料理教室の生徒。うつ病と診断されて会社を休職中で、初めて料理教室に通った時から美千代に想いを寄せている。
岩倉(いわくら)
昇一の部下。部下達の中では最もキャリアが長く、新田と本宮の聞き込みに応じる。
仮面と覆面
初出:『小説すばる』2014年11月号
コルテシア東京に典型的なオタク5人組がチェックインする。彼らの目的はホテルを予約した美人で知られる人気女流作家・タチバナサクラの居場所を突き止め遭遇することにあった。タチバナサクラの担当編集者の望月に事態を知らせ、トラブルが起きないよう目を光らせる尚美だったが、タチバナサクラとして宿泊したのは玉村薫と名乗る中年男だった。望月から玉村が女流作家の覆面を被らざるを得ない諸事情を知った尚美は、あらゆる手段を講じることも辞さないオタク達から、その秘密が明らかになるのを防ごうとするが、一方で缶詰め状態で小説を執筆しているはずの玉村が度々外出していることに引っ掛かりを覚えていた。
登場人物玉村薫(たまむら かおる) / タチバナサクラ
ペンネーム「タチバナサクラ」として活動する、性別、生年月日以外は非公表で計算すれば年齢27歳という人気女性作家。実際は玉村薫という中年男性。今年の春から一ツ橋出版主催の新人賞に受賞したデビュー作が、青春小説のジャンルながらも過激な性描写もウリとなりヒットし、その後もベストセラーを連発している。しかし受賞しやすいだろうと性別詐称をしていたことを知った編集部により、女性覆面作家として売り出されるが、ファンに幻想を抱かせるために瓜実顔で仕上げた合成写真が、ボカシを入れる前に流出したことから、本人の知らないところで熱狂的なファンに捜索される身となる。逃走癖があり幾度か雲隠れして望月らを困らせている。尚、高校生の娘がおり、編集部への電話の応対は彼女がしていた。
望月和郎(もちづき かずろう)
一ツ橋出版勤務で玉村の担当編集者。玉村に新作を上梓してもらおうとコルテシア東京を予約して玉村を缶詰にし、「動物園の飼育係と同じ」と割り切り、お目付け役として玉村が逃げずに執筆に専念しているか目を光らせている。タチバナサクラの正体を知った尚美に、その正体を知られないように協力してほしいと頼む。
目黒和則(めぐろ かずのり)
タチバナサクラファンのオタク5人組の一人。黒縁眼鏡を掛け、中年にも高校生にも見える栃木在住の年齢不詳の男性。
犬飼(いぬかい)
オタク5人組の一人で静岡在住。5人の中では強気な態度を取ることが多い。
今村祐二(いまむら ゆうじ)
出版社「灸英社」文芸書籍編集部勤務の男性。タチバナサクラに仕事の依頼をするため、コルテシア東京を訪ねて来る。
マスカレード・イブ
初出:書き下ろし
大阪に出張し、開業して間もないホテル・コルテシア大阪に教育係も兼ねて応援として勤務する尚美。一方、東京では大学教授の岡島孝雄が教授室内で刺殺される事件が発生。所轄の女性警官の穂積理沙と共に捜査にあたった新田は有力な容疑者として岡島と同じ学部の准教授の南原に目を付ける。犯行時には京都のホテルにいたと主張する南原だが、アリバイを崩されると大阪のホテルに泊まっていたことは認めるものの、そこで密会していた不倫相手の人妻に迷惑をかけられないとホテルや人妻の名前を教えることを頑なに拒否する。共犯者の線も浮かび上がるも、新田達はアリバイ確認となり得る具体的な証言を避ける南原の真意を掴めずにいた。やがて度重なる追求の中で南原はホテル名を白状するが、そのホテルこそコルテシア大阪だった。
登場人物穂積理沙(ほづみ りさ)
八王子南署生活安全課の女性警察官。岡島殺害事件の特捜本部が八王子南署に設置されたため応援に駆り出され、新田とコンビを組む。後に新田からコルテシア大阪への聞き込みの仕事を振られ、尚美と対面することになる。体つきはがっしりとしながらも警官らしからぬおっとりとした丸顔の女性。あっけらかんとした性格のお喋り好きで、楽天的な言動や突飛な推理を披露する様子から新田に呆れ気味に見られている。悪者をやっつけたいと警官を志し、男性の補助が多いことに内心めげつつも、成果をあげようと一生懸命に仕事に取り組み、その姿勢に共感した尚美から重要な証言を得ることになった。
南原定之(なんばら さだゆき)
泰鵬大学理工学部准教授。40代半ばながらも洗練とした印象の男性。教授の岡島と共に半導体の新材料を作る研究しており、自身が特許を取得した「極限点におけるMKE製法」の技術を岡島が採用しない方針を定めたため、地位と巨額の富を得るチャンスがふいになることから岡島を殺す動機のある人物として新田達にマークされる。本人は自分の売りは実行力だと自負する。
畑山玲子(はたけやま れいこ)
美容サロンやフィットネスクラブを手掛ける会社の女社長。年齢は40歳だがそれよりも若く見えるハスキーボイスの女性で薔薇の香水をつけている。横浜の資産家の父・輝信の一人娘として育ち、大学卒業後はアメリカに2年間留学、外資系会社で働いた後に30歳の頃に父の援助で起業した。南原と同じ日にコルテシア大阪に宿泊しており、南原の不倫相手である疑惑を掛けられる。現在、父・輝信は春に倒れて意識不明となり、いつ亡くなってもおかしくない状態にある。
畑山義之(はたけやま よしゆき)
玲子の夫で畑山家の婿にあたる。玲子の会社の専務取締役を務め、仕事では旧姓の「矢部」を名乗っている。年齢は玲子より10歳年上。「愛・勇気・運」を集約した玲子の事業の才覚に傾倒し、彼女を愛し守ろうとする意思を持つ。
山本、鈴木
泰鵬大学理工学部の助手と学生。岡島の死体の第一発見者で、助手の山本は聞き込みに来た新田に南原に関する証言を提供する。
田代
コルテシア大阪の若手フロントクラーク。
吉村
コルテシア大阪のアシスタント・マネージャー。コルテシア大阪に聞き込みにきた理沙に尚美を引き合わし、尚美に証言を頼む。
小説「マスカレード・イブ」の3人のレビュー
レビュー1
タイトル: マスカレードシリーズの魅力が詰まった短編集
評価: ★★★★★
感想:
「マスカレード・ホテル」の続編である「マスカレード・イブ」は、主人公の山岸尚美と新田浩介が出会う前の物語を描いた短編集です。5つの短編とエピローグで構成されており、それぞれの物語が独立しているので、好きな順番で読むことができます。
短編の内容は、山岸の元恋人が不倫関係にあり、その相手が失踪した事件や、新田が配属されたばかりの捜査一課で起きた殺人事件など、バラエティ豊かです。どの短編も謎解きが面白く、最後まで飽きずに読むことができました。
また、本作では山岸と新田の過去が明らかになります。二人が出会う前の物語なので、新鮮な気持ちで読むことができました。
エピローグでは、「マスカレード・ホテル」に繋がる事件が発生します。このエピローグを読むと、「マスカレード・ホテル」をより深く楽しむことができると思います。
レビュー2
タイトル: ホテルマンと刑事の視点から描かれる人間ドラマ
評価: ★★★★☆
感想:
「マスカレード・イブ」は、ホテルマンの山岸尚美と刑事の新田浩介の視点から描かれる人間ドラマです。それぞれの短編で、異なる人物の仮面が剥がされていきます。
山岸は、ホテルマンとして客の秘密を守るために奔走します。一方、新田は、刑事として事件の真相を追求します。二人は異なる立場ながらも、それぞれの人間ドラマに深く関わっていきます。
本作では、人間の本質が巧みに描かれています。人は誰でも仮面をかぶっているもの。その仮面の下には、様々な秘密や欲望が隠されています。
レビュー3
タイトル: マスカレードシリーズの魅力が少し薄れた
評価: ★★★☆☆
感想:
「マスカレード・イブ」は、前作「マスカレード・ホテル」に比べると、少し物足りない印象でした。
前作では、ホテルという密室空間で起こる殺人事件という設定が新鮮でした。しかし、本作では短編集ということもあり、設定が新鮮という印象はありませんでした。
また、短編の中には、あまり面白くないものもありました。
小説「マスカレード・イブ」の一番盛り上がる見どころ
小説「マスカレード・イブ」の一番盛り上がる見どころは、なんといってもエピローグです。
エピローグでは、ホテルコルテシア東京で殺人事件が発生します。そして、山岸尚美と新田浩介が初めて出会うことになります。
このエピローグは、まさに「マスカレード・ホテル」への繋ぎであり、読者の期待を高める最高の演出です。
盛り上がるポイント
山岸と新田の初対面
ホテルで起きた殺人事件
二人が事件解決のために協力する
このエピローグを読むことで、以下のことがわかります。
山岸と新田はどのように出会ったのか
二人はどのように事件を解決していくのか
二人の関係はどのように発展していくのか
エピローグは、まさに「マスカレード・イブ」のクライマックスです。
小説「マスカレード・イブ」詳細考察
1. 華やかな仮面舞踏会と隠された闇
「マスカレード・イブ」は、大晦日のホテルを舞台に、華やかな仮面舞踏会の中で起こる殺人事件を描いたミステリー小説です。華やかな仮面の下に隠された人間の様々な欲望や闇が、巧妙なストーリー展開と共に明らかになっていきます。
2. 魅力的な登場人物と人間ドラマ
本作には、主人公の刑事・新田浩介とホテルマン・山岸倫子をはじめ、様々な登場人物が登場します。それぞれの人物が抱える悩みや葛藤が丁寧に描かれ、読者を物語に引き込みます。
新田浩介: 真面目な性格の刑事。事件解決に強い執念を持つ。
山岸倫子: ホテルマン。洞察力に優れ、周囲の人々に気を配る。
成宮寛貴: 仮面舞踏会の主催者。ホテルの常連客。
前川千鶴: 成宮の婚約者。美人で社交的な性格。
野村雅樹: ホテルの副支配人。成宮に仕える。
その他: 仮面舞踏会の参加者、ホテルの従業員など
3. 緻密な伏線とどんでん返し
本作は、緻密な伏線が張り巡らされており、読者を最後まで飽きさせません。また、予想外の展開で読者を驚かせるどんでん返しもあり、最後まで目が離せない作品となっています。
4. ミステリー小説としての完成度
「マスカレード・イブ」は、ミステリー小説としての完成度が非常に高い作品です。トリックも論理的に破綻がなく、読者に納得感を与えてくれます。
5. 社会風刺の要素
華やかな仮面舞踏会の裏側で描かれる人間の様々な欲望や闇は、現代社会の風刺としても読むことができます。
6. エンターテイメント性と深みの両立
「マスカレード・イブ」は、エンターテイメント性と深みの両立した作品です。ミステリー小説としての面白さはもちろんのこと、人間ドラマとしても深く心に響く作品です。
7. 考察
「マスカレード・イブ」は、単なるミステリー小説を超えて、人間の様々な側面を深く描いた作品と言えるでしょう。華やかな仮面舞踏会の裏側にある人間の欲望や闇、そして真実を求める主人公たちの姿を通して、読者は様々なことを考えることができるでしょう。
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