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──おはよう(再)

「ほら、もう見えたよ。どこだと思う?」
「え?うーん、あれかな?あの白いの」
「ブブー。チャンスはあと二回」
「ええっ、ちょっとー。じゃーあそこのボロっちいアパート!」
「違いまーす。もっといいとこに住んでるよ~」
「えーーあ、あれは?あの黄色いの!」
「せいかーい!あれが俺のアパート」
「「結構派手」」「だね」「でしょ」
二人は顔を見合わせて微笑む。

そう。あれが私の新しい独り暮らしの拠点、201号室だ。

自分を終わらせられなかった私は、こうして再び一人で暮らすことが許されていることをありがたく思うべきなのだろう。
前回と今回のかかった初期費用の差に愕然とした頭とそこに繋がっている瞳はWeb小説を見ている。
私の好みはどうしてかマイナーなものに偏ってしまう。
そんなことを思いながらスクロールするといいねが2つついている新作を見つけた。
素晴らしい詩である。
歌詞のようなリズム感があり尚且つ美しい言葉選びのセンスが光っている。
とても私には書けない、思い付きも出来ないなと感じる。

クッと心が動く。
私の自信のあるものはなんだっけ。
他人に「小説を書いているんだ」なんて宣っていた口はどこへやら。
美しい言葉も多用な語彙もなくただ泣く泣く一定の音を繋ぐだけ。

段ボールだらけの部屋を見渡し考える。
多大な仕送りを貰って過ごす、無茶を言ったこの独り暮らしで、私は何を為せるだろうか。

今日もセフレと遊んできた。
毎日アルバイトもせず目標ももたずただ一日一歩を気だるげに繰り返すだけ。
堕落した私はやはり終わるべきだったのだ。

私が為すことはただ一つ。
美しい終わりを彩ることか。





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