歩き続けたパリ滞在編②

今回の旅はアートフェアの出展と友人に会う以外は特に決まった予定はない。
社会人になってから初めて手に入れた真に自由な時間。
やりたいことしかするつもりはない、無理をするつもりもない。
自分の心を柔らかくしにきたので頑張ることもない。
もはや生き急いでいないのでゆっくりなれる前半と動く後半、くらいに考えた。

初めは街の様子をじっくり観察した。
お店に入るわけでもなく、ただひたすら街の中を歩き回った。
街の匂い、音、すべての空気感、それから街の人の動き方を観察しながら、ただただ興味の向く方向に街の中を歩いた。

歩きながら街の音に耳を傾けていると、生の会話がたくさん聞こえてきた。
電話している人が本当に多く、歩きながらビデオ通話している人も多い。
Bluetoothのイヤホン率も高く、独り言を言っているように見える人も。
オープンカフェもたくさんあるから、通りかかれば誰かの会話が必ず聞こえる。
街の活気が伝わってくる。
それが面白くて街歩きが捗った。

フランス語話者によると初めは言葉がわかることが楽しいけど、わかるようになってくるとフランス人の会話は大した内容じゃなくてつまらないことがわかってくるよ、とのこと。
しかし、大した内容じゃない話ってなんだろう、と思って、フランス語べべちゃんの私としてはつまらない話とういうのを是非聞いてみたいと思った。

それからしばらくの間、メトロに乗ることもなく、生まれたての小ガモのように道ゆく人の動きを真似をしながら街を歩きまわった。
・・・と書くと途端に怪しい感じになるけれど。実際は郷に入っては郷に従えの精神で。
街の歩き方は現地の人の真似から。
わからないことは調べながら。

iPhoneの歩数計を見てみると、連日一万五千歩ほど歩いていた。
おかげさまで在宅ワークで鈍った身体はすっかり強健になり、脳への血流がビシビシと私を鼓舞し、その結果、私はオランダ行きの電車をやっと予約することに成功した。(オンライン決済がうまく行かなくて1日かかってしまった。)

いよいよ会いたい人に会いに行く。

次回、5年ぶりの再会、オランダ散歩編。

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