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白金台にレストランを作ってみた。

三ッ星レストラン・カンテサンスで、毎日を過ごしていた。
仕事の内容的にも、肩書き的にもなんの不満も無い毎日。

ロマネコンティやモンラッシェが、普通に開くレストランで働くサービス人。
お客様もすごい人たくさん来るし、岸田シェフの料理は素晴らしい。

さて、まもなく29歳。
「30にして立つ」って孔子に背中を押される1人になったボクも、考え始める。

すぐに独立は無理。一緒にやるシェフもいない。
マネジャー経験も、シェフソムリエ経験も無い。
なんなら、名刺も持ったことないから顧客リストも全くない。

うーん、30にして立てないなぁ。。。
まぁ、言ってみっか(笑)

当時のカンテサンスは、4人でサービスをやっていたので
岸田シェフに「カンテサンスが決めた時でいいので、ボク辞めます。」
とだけ伝えて、タイミングはお任せした。

その頃から、青山とか渋谷2丁目あたりの物件を見始めて、ビストロでもやって、お金を貯めて高級レストランにたどり着きたいと考えていた。

ただ、手元にお金もない。スタッフも顧客もいない。物件の見方もわからない。

そのうちにサービススタッフは2人補充され、引き継ぎも終わり
カンテサンスに流れだす「大橋まだいるの?」って雰囲気…

「あ、俺、準備不足だったんじゃん!!」
やっと気づく!!

って時にカンテサンスの移転情報が、スタッフにシェアされていく。

岸田シェフと営業前にエスプレッソ飲みながら、時事ネタを話す時間があった。
いつもはサッカーの結果だったり、他のレストランの話などをしていた。

そして、ほんとに、辞める直前のエスプレッソのネタでぶっこんでみる。

「シェフ、俺ここやってもいいっすか?」

「え、いいよ。ここ家賃高いよ。」

「よくわかんないけど、準備します!!」

ほんとに、こんなやり取りでボクのカンテサンスは終わった。

同時に、カンテサンスをやめる料理人がシェフに決まった。

先輩に「店やるんでスタッフ探してます!」ってメッセしたら、隣で飲んでる大阪から東京に来たいって言ってる若い料理人いるって言うから、採用する。
(これが、KABIの安田くん)

物件はカンテサンスの跡地、スタッフも元カンテサンス、お金も始められそう。
たぶん、これが1週間もかからないうちに起きる。

さて、レストランを作るって仕組みがわからない(笑)
「独立開業の教え」的な本を買い集めて眺めているけど
何もわからないままに日々は過ぎる。

「この日までに株式会社たててないと契約できない」
「グラス・皿・カトラリーってどこで買うの?」
「築地って契約するの?毎日行くの?現金?」
「カード端末の使用まで2週間かかる」
「メインの肉用のフォーク届くのは、オープンの1ヶ月後」
とか、どんどん現れてくる。
日が沈むと不安を感じ、日が出ると自転車で役所や業者さんを回る🚲

駆け回っている間に、カンテサンスの引越しが終わる。
なんにも無い空っぽの元カンテサンス。

1番最後に、岸田シェフから鍵を受け取る。
「はい、これ鍵。じゃーねー」

え、めっちゃあっさり(笑)
でも、自分がTIRPSE閉めた時も同じだった(笑)

さてさて「カンテサンス跡地の子」って看板一つで世の中に出る僕は
それがどれほど怖いことだとは、何もわからず。。。

三ッ星レストランだったキッチンはあるので、
営業許可証が取れた2013年9月18日にオープンすることになりますが
顧客リストもないから、DM出さず、SNSもFacebookのページを作って。。。

お客さんが来るか?誰かに知ってもらえるか?
なんて悩みを抱える時間もないまま、オープンさせることだけに夢中になってました。。。

はぁ、こわいこわい。

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