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会社作って半年後、やっと経営者になった

安堵から発熱して終わった2013年。
2014年が始まり、けっこう期待していたミシュラン恩恵も感じられないまま静かにスタート。

ただミシュラン取って、1ヶ月で10くらいの取材を受けていたけれど発売はもう少し先。

いつになったら、満席になるのかしら・・・
待ってていいのかしら・・・
でも何を動いたらいいのかしら・・・と毎日を過ごす。

さて、、、ここで、ソムリエがオーナーでダメな例を。
「ミシュラン」「雑誌に出る」「Yahooトピックスでも出た」「クリスマスシーズン」ときて、FBのお店のページもどんどんフォロワーが増えていく。
さては、、、12月にめちゃめちゃお客さまが来るんじゃね?!
ってことで、はしゃぐように買ったワインたち。

週に何回もワインの入った箱が届きニヤリ
ワインをセラーに並べてニヤリ。
ダンボール潰して、ゴミ捨て場に運ぶ時すらにやけてる状況。

しかし、ぜっんぜん頼まれないもんだから、セラーだけがパンパンになり、見たことない額の請求書が届く。
売上の良かった12月の請求書が手元に揃う。どう計算してもこのままでは、完全に払えない。。。

え?こんなに勢い感じるのに、もうゲームオーバー???

へるぷみーって誰に言ったらいいのかもわからない。

そんな年始に、銀行さんの中の人が挨拶に来たので「ミシュラン取ったのと、食べログも4,2なので、人も増やしてワインも買い足して機材も増やして勝負したいんですよね!」って話をいきなりしたら、1月内にはお金が借りられてました。

開業する4ヶ月前、めちゃめちゃ厳しかった銀行さん。
めっちゃ優しいじゃん。
助かった。。。
これは助かった。。。

実際は人を増やすほど、追い込まれてないし
居抜きで機材も揃っていたので買う必要があるものもない(カンテサンスから使ってるので
修理費はたくさんかかった)
ワインは買った分の支払いに焦ってる状態。

ミシュランは世界最速で一つ星、食べログは4,2越え。
この二本柱だけで 男・大橋 直誉。
超強気に銀行さん、区役所さん、保証協会さんなどと話します。

僕の父親が、前に言ってくれたことがありました。
「お前は、人に期待させる能力は高い」

noteを見て、僕のこと嫌いにならないでください(笑)

やっぱ〜接客って〜お客を騙すっていうか〜
なんか〜うまくいう部分ってやっぱあって〜

銀行や保証協会の人も、騙されて期待してしまったようです。
完全にソムリエ・サービス人の「脳」でレストランを経営していました。

本当に、スタッフの1人でチームの中は対等で、お金まわり担当大臣をやってるだけな気分だったのが

「あ、おれ経営者なんだな」って自覚した時です。

自覚、おそくねw

この辺で、もうSNSもTIRPSEと自分が完全にリンクしていた気がします。
それまでは、恥ずかしながら「オン」「オフ」分けちゃってる部分があり。

自分の発信=TIRPSEの発信にもなってくると、サービス人として出来ること、ソムリエとして出来ること、レストランオーナーとして出来ることを考えます。

あの頃は、ワインやドリンクペアリングという言葉が、まだはっきりと存在しておらず
「マリアージュ」と言われると、和食屋行って日本酒と料理が合ってて「良い結婚してるな〜」とは日本語で言わないよなぁ〜とか考えてサービスしていた時代。

なんか、出来るかなぁ〜でも、もうワイン買えないよぉ〜お金ないよぉ〜

オーナーの自分がどうにかしなければ、、、でもどうすれば、、、
わかってたら、みんな満席になっとるか。よし、もうアルコールでも飲むか。

毎晩それで酒浸りです。

これは、TIRPSEやっててず〜〜〜〜〜っと付きまとう事ですが
自分が料理人ではないので、頑張りようがない。

基本的に頑張ってもらうことになる。
モチベーターであり、プレイヤーでもあり、経営者でもある。

誰よりも早く出社して気合い入れて掃除しようが
誰よりも遅くまで残って頭ひねろうが、料理は何にも作れない。

チームが無いと大きい仕事、良い仕事ができない。
これは間違いない。

けど、そのチームビルディングにストレスがとても多かった。

オープニングスタッフの安田くんに、めちゃくちゃ頑張ってブランディングしたシェフパティシエを引き抜かれたこともあったし(2人は超円満退社で、こないだも一緒にピザ食べた)

ゴールの設定が違ったり、チームの方針みたいなのも、自分が「右向け右で右」で向かないタイプだから、どうしていいかわからなかった。

チーム!スタッフ!コーチング!みたいな本とか読んでも
こんな事でモチベーション管理されてる人と働きたくない。って思っていたのでチグハグだった。

そしてTIRPSEは、日頃から独立してるように働くこと、独立マインドをずっと発信してたので辞めるのが早い(笑)

今でこそ、チーム作って目標決めてなんかしよう!とかできるし
辞めてから独立していくスタッフ見ると、負けてらんねぇなと思うし
心からおめでとうって思える。

けど、当時は、もう大変だよねぇ〜

え〜日本中の管理職の皆さん!
本当にいつもお疲れ様です!

それでも自分にできる事はって悩んでいくなかで「Sola」や「獺祭」みたいな自分たちより有名なところとコラボしてみたり、
パリの2つ星レストランPassage53のパティシエさんとTIRPSEのパティシエのデザートだけのコースを作ったり
今後のTIRPSEの活動につながるタネは2014年に植えられます。

入り口にあったオーカミくんに出会ったり、有田焼の皆様と繋がったり、TIRPSEってのは、半分くらいの器が自分でデザイン、コンセプトたてて作るってやってたのでTIRPSEのベースみたいなのが2014年に創られていきます。

そういう意味では、1番クリエイティブな気持ちでやってたと思います。
「やべぇ、おれマジきてる!」みたいな。
今となればめっちゃ効率悪い仕事してるなって思うけど(笑)

そして、年末の前にChefが変わります。
日本のミシュランはシェフに星が付いているらしいのでミシュランに報告。
「世界最速でミシュランの星を失う」レストランへのカウントダウンスタート!

変化することは前進への一歩目だから、まぁこっから楽しみだなぁと思っていて
「今年は、どこが取るんだ〜」なんつって今年はSNSで見ることになったミシュラン発表当日。

あらあら、意外とめっちゃ電話鳴るじゃん。

レストランへの注目が集まる日でもあるもんね。

実際、自主返納したミシュランの星が無くなることはわかっていて「世界最速でなくなるネタ」って飲み会の鉄板ネタじゃん!何年か酒飲める!って思っていたのに、なりまくる電話の対応で思いは変わります。

キャンセルの電話しかこない。。。

当たり前か。

自分が予約してたレストランが降格して、代わりに何軒も星を獲るレストランがいるのだから。
そっちに乗り換えますよね。
完全に甘くみてました。


面白がってたの、俺だけじゃん。

昼夜満席に1週間なったこともないような状態だったのに、さぁこれからって時の12月にキャンセルが連発。
クリスマスの予約もスカスカになり、今年の年末も楽しめることはなさそう。

周りには「予定通り星なくなりました〜」って笑ってたけど、実際は頭が真っ白になって、去年末の自分の給料も払えなくて5万円しか残高が会社にない。
って状況がフラッシュバック。

「楽しそう」ってよく言われます。
すごく楽天的で楽しく生きてます。

でもTIRPSEは、経営者として「あぁ、終わった。」って気持ちを何度もやらせてくれる。

恐怖心と限界まで向き合えて、どうにか乗り越えると勇気とか強さとか耐性が身につく。
と思えるようになるのは、そこから4年後。TIRPSEやめてからのお話。



おもしろかったらスキしてください!
これ、おもしろいのかなぁ(笑)

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