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ライブハウス裏話-プロモーターは見た!

今晩はライブハウスのなかでも、すみっこのエリアに注目したい。どのエリアかというと、ここらへん。もはや写真には写っていないはじっこの暗がりだ。

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ギグ(ライブのこと)の写真というのは、一番盛り上がっていて派手なところをとることが多い。モッシュピットでファンが飛び跳ね押し合いへし合い、スペースダイビングをする奴もいる。最前列にいればほぼビールまみれになる。こぶしを突き上げ、汗まみれで叫ぶ。とんでもなく強いライトにさらされ、ここはもはや夢見心地の戦場だ…。


だがプロモーターたちはギグの間も、ライブハウスのいろいろなところをうろちょろして、打ち合わせをしたり、グッズを売ったり、遅れてきた客を入れたりするので、写真には写らないところにいることが結構多い。この仕事はライブハウスに最初に入って、最後に出るといってもいい。

最後尾のほうで、ただただ目を閉じて音楽にあわせて体をゆすっている人。幽体離脱しているかのように、動かない人。パフォーマンスが終わったあとも、ずっと動けなくて立ち尽くす人涙を静かに流す人。こぶしは突き上げないが、ずっと手をたたいている人たまに誰もいないはずの隣の空間を、なぜか愛おしそうに見やる人。酒をちびちび飲む人…。


メタルのギグは人に優しいなんて言うと、少し意外かもしれない。だがメタルのギグに来る奴らは、音楽を体と心すべてで感じたいと思っていることが多いから、お互いにその気持ちを大事にする。俺は背がかなり低いほうだが、いつも背の高いメタルヘッドたちが、「お前見れないだろ、前行けよ。」と背中を押してくれた。押し合いへし合いのモッシュピット(よく最前列でみられる、一見クレイジーすぎる現象)でも、飛ばされてきた連中を、全く知らない奴ら受け止めてやったりして、なるべくケガのないように配慮していた。俺の知る範囲では、モッシュピットで救急車ものの大けがをした人は見たことがない。

ライブに行くのが怖い、という気持ちは分かる。俺も最初は敷居が高かった。ムリをして行く必要は全くないのだが、ライブにもいろいろな楽しみ方があることを知ってほしい。それは一生の思い出になるはずだから。ギグを作っている側としても、一人でも多くの人に、この一度しかない瞬間を体験し、共有したいのだ。


(音楽の愛すべきフォトグラファーたちのこだわりについてはまた別の記事で書くつもり)

photo credit: Towards Collapse (banner photo), Sleep Token by  Shotison Music  


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