キャシー・ウッドがさらに賭ける2つのイノベーション株

キャシー・ウッドほど多くの話題を巻き起こすヘッジマネージャーは近年いないかもしれません。Ark Invest（アーク・インベスト）の創設者は、群衆に逆らうことでブランドを確立してきました。初期のハイテク株への傾倒から、政治的な保守主義の表明まで、キャシー・ウッドは常に話題の中心にいる避雷針のような存在となりました。

キャシー・ウッドは、新しい技術それ自体、および新しい技術がいくつも生まれて相互に作用し合うことが、この世界を完全に変容させるという信念を、その名声と財産を賭けて証明しようとしています。人工知能、ブロックチェーン、ゲノム、ロボット工学などの分野が世界を再定義し、組み合わせることで新しい医療や自律移動システムが生まれると信じています。

「真に破壊的なイノベーションは、現在の時価総額7兆ドルから2030年には210兆ドル、公開株式市場の10%未満から60%以上に拡大するでしょう。もしイノベーションを軽視していたら、信じられないようなチャンスを逃してしまうことになる」とウッド氏は指摘します。

さて、公平を期すうえで実際の数字を見てみましょう。ウッドの旗艦ファンドであるARK Innovation ETFは、2021年2月にピークを迎え、その後78％下落しています。一方で、この同ETFが2020年3月のCOVIDベースの市場暴落の翌年に300％以上急騰もしています。いずれにせよ、彼女の実績は非常に注目に値します。

ウッドが最近買っているイノベーション銘柄を2社紹介します。TipRanksを参照して、ウッド以外のウォール街のアナリストもこの2つの銘柄を高く評価しています。詳細を見てみましょう。

UiPath Inc. (PATH)

UiPath社は、人工知能と機械学習を組み合わせることで自動化されたソフトウェアボットを作成。反復的な日常業務を自動化するロボットプロセスオートメーション（RPA）を専門としています。UiPath社の製品を使うことで顧客はコスト削減、回復力、正確性の向上、規制遵守、生産性を実現。同社の顧客には、Google、Airbus、GEなどの大手企業が名を連ねています。

同社の直前の四半期決算発表である2023年度第2四半期（7月31日締め）では、UiPathの提供するサービスの底力がわかります。同社のトップラインは2億4220万ドルで、12カ月間で24％増加。年間経常収益（ARR）は前年同期比44％増の10億4300万ドルまで成長。同社は当四半期、1株当たり2セントの純損失を計上し、2300万ドル以上のロスが発生したが、7月31日時点で手元に17億ドルの現金および流動資産があることも報告されています。

同時に、$PATHの株価は今年に入ってから74％下落。つまり、AIとソフトウェアの自動化に取り組む革新的な企業が、現在、大幅なディスカウントで取引されています。そこに注目したのがキャッシー・ウッドです。今年9月から10月にかけて、彼女の5つのARK ETFファンドがPATHをさらに1060万株買い増しています。これでファンドの保有するPATH株は合計42,759,557株となり、現在の株価で4億7500万ドル以上の価値がある計算になります。

PATHに強気なのはウッドだけではなく、ウェルズ・ファーゴのアナリスト、Michael Turrinマイケル・ターリンも、この銘柄に明るいスタンスを取り、今後の見通しについてこう書いている。「主な収穫は、UiPathが現在の環境（+以前の超成長期）に適応し、急成長する自動化市場でのシェアを維持する努力を継続し続けていること。...下期/FY24の見通しも穏やかで、現在の予想よりはるかに改善の余地がある」。

TurrinはPATHを「Overweight」（＝買い）と評価し、目標株価を今後12ヶ月で約44%の上昇の可能性を示唆する16ドルに設定しました。(Turrinの実績はここをクリック。）

アナリストのコンセンサスでは、PATH株は全体として「中程度に買い」の評価。直近17件のレビューに基づいており、その内訳は「買い」が9件、「保留」が8件となっています。現在の株価は11.12ドルで、平均目標株価は18.38ドルと、ウェルズ・ファーゴの見方よりも強気で、1年後の見通しで65％の上昇を示唆しています。(TipRanksでPATHの株価予想を見る)

Verve Therapeutics (VERV)

2つ目のウッドのチョイスは、循環器系疾患に特化した早期臨床段階のバイオファーマである Verve Therapeutics （ヴァーヴ・セラピューティック）。世界保健機関（WHO）によると、心臓血管疾患で毎年世界中で約1800万人が死亡しており、早死にする原因の第1位となっています。米国では、年間61万人以上がこの疾患により死亡。ヴァーヴ・セラピューティクスは、疾患の集合体に狙いを定めることで冠動脈疾患の治療に新たなアプローチをもたらす新薬の開発に取り組んでいます。

同社は現在、2つの医薬品候補をパイプラインに有しています。そのうちの1つであるVERVE-101は、最近臨床試験の段階に入り、ニュージーランドで行われたheart-1臨床試験で患者への投与が開始されたところです。肝臓のPCSK9遺伝子をオフにして、病気の原因となる低密度リポタンパク質コレステロール（LDL-C）の生成を抑えるように設計された遺伝子編集薬で、新規薬剤として取り扱われます。VERVE-101は、英国医薬品・ヘルスケア製品規制当局より、同国での臨床試験申請に対するクリアランスを取得。ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症を対象としており、本試験はニュージーランドで最近開始されたheart-1試験の一部として実施される予定です。

2つ目の薬剤候補であるVERVE-201は、ANGPT3遺伝子を標的とした、コレステロールとトリグリセリドの体内自然調節機能を改善する治療法。この遺伝子は脂質の調節に関与しており、高脂血症治療のための潜在的な経路を提供します。2022年欧州心臓病学会で前臨床試験データを発表し、本薬候補の臨床試験への推薦を支持が決定しました。

財務面では、ヴァーヴはまだ収入が入ってくる前の段階であり、22年第2四半期は4090万ドル（1株当たり84セント）の純損失となっています。ヴァーヴの手元資金は5億9,500万ドルで、25年下期までの事業運営に十分な余裕があります。

ここでも、キャッシー・ウッドはVERVの株を大規模に購入。9月にはARK Innovation ETFで83万1145株、ARK Genomic Revolution ETFで32万1630株購入しました。現在、彼女ウッド氏は、2つのファンドを合わせて322万9636株のVERVを保有しており、その価値は9800万ドル以上となっています。

買いなのだろうか？ StifelのアナリストDae Gon Haは、今後起こりうるカタリストを考慮し、強気のスタンスで買い推奨を表明。

「VERVE-101 INDとその臨床データ（2023年）のようなカタリストが株式を大きく動かすでしょう。いずれ長期的な仮説を再評価する予定ですが、現時点では、今後の触媒（3人の元FDA KOLと経営陣との会話、およびIND臨床ホールドの前例）について我々の調査において、VERVの1-2年の見通しに希望を与えています」と指摘。

「VERVE-101のINDなしという弱気なケースであっても、NTLA-2001の先例を見るとPh.1 heart-1のポジティブなデータは、現状からの意味のあるアップサイド可能性を示します。規制当局の判断は難しいものの、VERVE-101を支えるVERVの広範な基礎研究を考慮するとポジティブな更新の（ないよりは）可能性が高いと思う」と、アナリストは付け加えました。

コメント通り、Ha氏はVERVの株を購入。目標株価は56ドルで、1年間の上昇率は83%であると評価しています。(Ha氏のトラックレコードを見るには、ここをクリック）

本銘柄に対する最近のアナリストの評価は9件で、7対2の割合で「買い」が「保留」を上回っており、コンセンサス評価は「強気買い」。現在株価は$30.56で、$53.13の平均目標株価は、12年間の上昇率が74%であることを示唆しています。(TipRanksでVERVの株価予想を見る)

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免責事項：この記事で述べられている意見は、あくまでも掲載されたアナリストの意見であります。本コンテンツは情報提供のみを目的としています。投資を行う前に、ご自身で分析を行うことが非常に重要です。

Disclaimer

元記事：https://www.tipranks.com/news/article/cathie-wood-doubles-down-on-these-2-innovation-stocks