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新たな磁性「アルターマグネット(Altermagnetic)」発見!高速・大量記憶の次世代磁気デバイスへ道開く スイス ポール・シェラー研究所ら研究チーム

スイス ポール・シェラー研究所ら研究チームは、これまで2種類しか存在しないとされていた磁性に、3番目の新星「アルターマグネット(Altermagnetic)」の存在を発見しました。アルターマグネットは既存の磁石の特性を組み合わせたような性質を持ち、高速・大量記憶を実現する次世代の磁気デバイス開発への扉を開く可能性を秘めています。

これまでの永久磁石といえば、冷蔵庫マグネットやコンパス針でおなじみの「強磁性」と、1930年代に見つかったスピンが交互に並ぶ「反強磁性」の2種類しか知られていませんでした。

しかし、2019年、ある物質で理論上説明できない電流現象が観測されました。この電流は外部磁場なしで流れており、従来の理論では説明がつきませんでした。

これを解明するために提唱されたのが、アルターマグネットという新しいタイプの磁性です。アルターマグネットは反強磁性によく似ていますが、スピン配列を回転させても同じに見えるというユニークな性質を持っています。これが電流現象の原因になると考えられていましたが、実際に存在を確認する必要がありました。

今回、スイスの研究チームが、「マンガンテルルリド」という物質を使ってアルターマグネットの存在を直接確認しました。彼らは光の反射を使って物質内部の電子構造を調べ、シミュレーションの結果と一致することを示しました。

アルターマグネットの電子は2つのグループに分かれており、これが通常の磁石とは異なる性質を生み出していることが分かりました。研究者は「理論どおり振舞うアルターマグネットの存在を直接証明できました」と述べています。

アルターマグネットは、反強磁性と比べて電子の動きが活発であり、外部磁場を持たない点も利点です。これにより、磁気デバイス同士の干渉を減らし、高密度化や高速化が期待できます。

具体的には、HDDの記憶密度向上や、スピンを情報媒体とする次世代コンピュータ「スピントロニクス」の実現も夢ではありません。研究者は「スピントロニクスデバイスの実現に一歩近づいたと言えるでしょう」と展望を語っています。

これまでの磁性常識を覆すアルターマグネットの発見は、磁気技術の発展に大きな革新をもたらすかもしれません。

詳細内容は、nature及びnewscientistが提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7


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