ジャニーズと弱者男性。

 ジャニー喜多川氏の性被害問題に揺れるジャニーズ事務所が、新社長に、東山紀之氏を迎えて、再出発するんだそうです。なんでこういう時にプレイヤーを表に出すんでしょうか。プロ野球と同じで、かつてのスター選手でないと監督になれないしきたりでもあるのでしょうか。プレイとマネジメントは別物だということは、某球団(どことは言いませんが)がいみじくも証明しています。
 そもそもの発端は、ジャニー氏から性被害を受けたという告発でした。男性が男性に性被害を受けるというだけでも異常なのに、男性の場合、相手が自分の会社のトップであることと、「男のくせに泣き言を言うのではない!」という無言の圧力によって、告発するだけでも大変だったと思います。特に彼らのような表に立つ人間ならなおさらだと思います。これが女性だったらこうはならなかったはずです。普通の会社とかでも、上司が女性の部下にセクハラをしたとなると、遅滞なく上司がお縄になる(ならないこともあるかもしれないけど)時代になりました。しかし、男性への性被害は依然として表に見えづらい現状があるとされています。

 そんな中、声をあげた人に対しても、マスコミは事務所に忖度して報道しなかった。それが加害者の死後、海外のメディアが報道することによってはじめて表に出たという流れになっていますが、事務所の忖度もあるかもしれませんが、やはりマスコミの思い込みもあったのではないかと思います。「男性が性被害に遭うわけがない。相手は上司だし、抵抗したら将来の出世にも響く。そんな現実があるわけがない。」と耳をふさいだわけです。海外のメディアが初めてそれを公にできたのは、事務所への忖度もあるのかもしれませんが、ジェンダー観の違いが原因なのかもしれません。しかし、可能であれば加害者が生前に罪を懺悔しなければいけなかったし、マスコミがこの勇気ある告発に対応しなければならなかったはずです。

 さて、ジャニーズといえば「イケメン」の代名詞と何十年も言われてきました。ジャニーズのメンバーは、女性たちの歓声を一身に浴び続けてきました。そこで割を食うのが、いわゆる「非モテ」といわれる男性たちです。彼らは、女性たちはジャニーズに代表される「イケメン」たちに夢中で、自分たちは相手にしてもらえないことに対してコンプレックスを持っていました。そこに降ってわいたのがジャニー氏による性加害問題です。彼らはここぞとばかりにジャニーズを叩きます。ジャニーズを叩けば、ジャニーズがいなくなって、そこに寄り付いていた女性たちが自分たちの方に振り向くのではないかという思惑が見え隠れします。
 私は彼女いない歴47年の正真正銘の非モテです。というか10代のころから女性に対して性的な関心は一切持ち合わせていないので、そういう意味ではレアケースだと思われますが、ジャニーズの問題で何が嫌かというと、こういうスケベ根性でジャニーズの消滅を願っている人たちが勢いづくことです。こういうところで自分のルサンチマンを発散させてないで、もっと自らを向上させて女性に振り向いてもらうか、若しくは「なんとか46」とか二次元とかに救いを求めるとかしてほしいです。

 とはいえジャニーズの問題は別にあります。ヒットチャートやらドラマや映画の主役枠をジャニーズが独占してきたせいで、日本の芸能界がどれだけ停滞してきたか。音楽の方では最近ビルボードがスタンダードになってきたおかげで、配信に後ろ向きで枚数で殴る戦略のジャニーズ(と坂道系)が目立てなくなってきているのはよい傾向だと思います。(ただビルボードになったらなったで、YOASOBIの「アイドル」が20連覇とかいう別の問題も出てきているのですが。)あとは音楽番組。中でも有名なのは「ミュージックステーション」で長年続く「ジャニーズ枠」です。あれはあれで問題ですが、最近は音楽番組に出たくない人も多いので、その中でも確実に出てくれるジャニーズ勢は番組編成上助かるのかもしれません。ただ、今やわざわざテレビで音楽を聴かなくても、サブスクとかでいくらでも聴ける時代なので、もはやこういう複数の歌手が出演する形の音楽番組は役目を終えたと思います。ジャニーズ枠の改善には、事務所が頑張ることではなくて、Mステのプロデューサーの意識改革が必要なのですが、その前に番組のあり方について再考をお願いしたいです。そろそろタモリさんも高齢(78歳)なので、ブラタモリに専念させてあげてほしいという気がしないでもありません。紅白とかもジャニーズ枠が今年どうなるかというところですが、これをいきなりゼロとかにすると、前述のとおり非モテがイキるだけなので、難しいところです。
 ドラマや映画の主演枠は、ジャニーズ以外の人が出ているのもありますが、やはり一定数の「ジャニーズ枠」があるように思います。ドラマとか映画の配役を決めるときに、役の雰囲気に合っているとかではなく、「ジャニーズだから」選ぶというのは、これからの時代リスクにしかならないと思います。今回のことを受けて、ジャニーズを辞める人も出てくると思いますが、その受け皿が、ほぼ身内のタッキーの事務所だけでなく、芸能界全体で受け入れていかなければならないと思います。
 私のnoteには、未だに多くのアクセスを集める(割にスキはつかない)

こういうちょうど3年前の記事があるのですが、本当に「退所」がおめでたいことになりそうです。
 今回のジャニーズの件は、個人的な不祥事を他人がかぶるという、ある意味かわいそうな面もあります。今回の件を受けて、ジャニーズ所属タレントとのCM契約を見直す企業とかも出てきていて、それだけが原因なら同情してしまう部分もあります。ただ、ジャニーズに入るのはほとんどが未成年なので、親権者の同意なくしてジャニーズタレントは生まれないわけです。この状況で、我が子をジャニーズに入れることを許す親がどれだけいるか。ということでそのうちジャニーズは放っておいても衰退します。非モテの皆さん良かったですね。このあたりすべて非モテの思うつぼです。さすがに今後はもうこんなことは起きないでしょうけどね。あと東山さんはこんなことで晩節を汚してほしくなかったです。決まっていた仕事もあったそうで、こんなことになってキャンセルになるのは社会人としてどうなのという気がしなくはないです。やはり世間にリニューアルしたことをアピールするためには、ジャニーズとは全く関係のない人を起用するべきだったと思います。社名まで変えろという人もいるけど、社名を変えてもあまり意味はないのは、つい最近TwitterがXになってもTwitterといい続ける人が多いのと同じです。


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