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人生の定期が切れる前に、考えるべきこと

人生100年時代と言われるようになってからある程度時間が経ち、誰もが自分の長い人生を考える必要性を感じるようになっている。それは、違う言葉で言えば、ライフシフト、リスキリング、セカンドキャリア、副業など。様々な言葉で表現されている。その中でも今回の取り上げるテーマは

”セカンドカーブ”

という考え方である。人生の折り返しを間近に控えた40代、50代に、どんな心構えで考え、行動していけば良いのかを示唆した考え方である。

シンプルな考え方であることにとても共感している。

この考え方を伝えているのは、ものづくり大学の教授であり、ピーター・ドラッカー学会の共同代表をされている井坂先生である。記事のタイトルとして言葉は、先日参加したセカンドカーブでの講座の講演テーマである。

改めて、考えると意味の深い言葉である。

まさしく、この記事を読むとセカンドカーブの考え方をもとに実践されてきたことを感じることができる。ぜひこちらの井坂先生の記事も併せてお読みください。



セカンドカーブ講座

主体的に生きるための、大人の学び直しの必要性

先日から参加しているセカンドカーブ講座。この講座は、児童文学の専門家でもある竹内美紀先生をはじめ、著名な方で北海道上川町に昨年12月に立ち上げられた”学びと感謝の希望財団”が主催である。その財団を設立された竹内美紀先生の想い・願いは

人生100年時代、人生を折り返すと、もう1回分の人生の時間がある。数字に追われ、がむしゃらな前半とは異なる価値観で、セカンドカーブを生きる。これまでの人生に感謝し、今度は社会に貢献する。変化の激しい時代、自分の人生のミッションを考え、主体的に生きるための、大人の学び直しの場が必要である。

学びと感謝の希望財団のホームページより

である。この財団の趣旨にとても共感し、私自身が取り組んでいることと共通することもあり、参加させていただいた。受けてみての感想は素直に、学ぶ価値がある。また、実践的な考え方であり、多くの人に学んで欲しいものである。まだ講座は始まったばかり、まだ参加できます。興味のある方はこちらから

セカンドカーブとは

このセカンドカーブという言葉は、

”英経済哲学者チャールズ・ハンディの言葉で、人間も企業も老いる前に非連続的成長に取り組む必要があること

を捉えた言葉である。原著はこちらから

今回、私が講座の中で学んだことをもとに解説してみたい。

これまでの歴史の中で大きく変わったことがある。それは何か?単純に平均寿命が伸びたということである。この半世紀で寿命は、40歳ー50歳だったものが、80歳から100歳まで伸びている。単純に考えて2倍になっているということである。

ということは、単純に人生が2倍になったということである。そう考えると、人生には2つのカーブが存在することとも言える。

セカンドカーブ

人の成長の分岐点は、そう考えた時の折り返し地点は、あくまで目安であるが40代となる。

このカーブを説明すると、生まれた時を起点に、幼少の頃は成長よりも吸収することが多く、一旦下がる。ある時を境に様々なことを糧に、成功体験を獲得していく。ただし、40代の頂点を境に下降し始めるのだ。

過去の成功体験が重荷になる

これは、私も40代を過ぎてから、体力も含めて、過去の体験が生きている部分と生きていない部分があると感じている。

この時に、痛烈な言葉で伝えていたことが印象に残っている。

”過去の成功体験が重荷になる”

という言葉である。これは、一つの組織に属し続けた成功体験は、次のセカンドカーブに移行するためには重荷になるというのだ。

これは、私も特に強く感じてきたことである。これは、会社員とコミュニティの中でも暮らす中で、このセカンドカーブへと綺麗に移行されてきた先輩たちとそうでない先輩たちがいたことを側で見てきた経験があるからかもしれない。

セカンドカーブでは、この過去の成功体験の重荷を自ら手放し、移行していくことが重要であるのだ。

この重荷をおろし、スムーズにファーストカーブからセカンドカーブに移行するのに必要な期間を

”ハーフタイム”

と言っていた。この期間は、約5年から10年が必要であると。

この”ハーフタイム”という考え方は、ボブ・バフォードの考え方になる。原著はこちら

この講座の中で、過去の成功体験が重荷になるのは分かったが、どうこの荷物をおろしていけば良いのか、そんな問いがあった。その時の答えとして、登山を例に以下のようなニュアンスで答えられていた。

“過去の成功体験にしがみつき続けることは、人生という高い山を登る私たちにとっては致命的である。なぜなら、高い山に登るために必要なことは、長い時間をかけ、体力も限界の状況で、命がけでのぼることでもあるのだ。

そんな極限の状況で、過去の成功体験こそ、一番の重荷となるもので、判断を見誤らせる。その高い山にのぼるためには、それ相応の時間をかけ、荷物を取捨選択し、最小限の荷物を選んでいくのことが生き残るすべである。”

セカンドカーブ講座の質問への回答より

ここまで痛烈には言ってはいないがニュアンスはこの言葉に近いと思う。ちょっと私が受け取った感覚から書き直している点があるのでご容赦を。

この言葉は、厳しい言葉ではあるが、私は本質を突いた言葉である。

私も登山を楽しんだり、さらに一人ひとりの人生を振り返り、パーパスを言葉にするサービスをしている。良い機会なので、これらの2つの視点からセカンドカーブの重荷をどうおろしていくのかを考えてみたい。

ファーストカーブの人生を振り返る重要性

重荷となる荷物をどうおろしていくのか

この時のポイントとして、時間の捉え方の重要性が語られていた。

「未来はわからない」
未来について私たちが知っていることは2つしかない。一つは「未来はわからない」。「もう一つは現在とは違う」。(省略)
わかりもしないし直接把握できない未来に目を向ける前に、理解可能な過去をまずは相手にすべきなのではないか。これが歴史を学ぶ意味であり、経験科学の本質でもある。

「ドラッカー×社会学」(著:井坂康志、多田治)

この言葉の裏には、未来志向の考え方が広まっているということでもある。この考え方が広まったのは、科学や技術がここまで発展した前提にある。未来は予測できる、未来はつくることができるという思想から生まれてきたと言われていた。

私もその中の一つの技術、統計学なども学んできた。これは気象予測なども精度が上がり、大きな意味で捉えれば、未来を予測できることと捉えることも間違いではないとも言える。しかし、あくまで予測であるということであり、正確に予測しているわけではないことを忘れてはならない。

さらにここで重要なポイントは、あくまでも科学・技術を活用した気象予報、地震予測なども様々の過去の膨大のデータをもとにシミュレーションし、予測している。気象予測は、短い時間であれば、かなりの確度で予測されるようになっている。しかし、地震予測の確度は高くなったとは言え、まだまだ気象予測から比較したならば、圧倒的に低い。この2つの違いは圧倒的なデータ量の違いであると考えている。

こう考えたとき、科学・技術も過去からの積み上げである。しかし、一つの大事なポイントがある。こうやって予測ができるとなると、短絡的に未来は予測できるという思い込みをつくってしまうことである。

人生の重荷となる経験のデータはこの世に一つである

先ほど、科学では膨大な過去のデータを使っていると話した。
しかし、あなたの人生は、この世界に一人だけの人生データしかないのである。

では、どうすれば人生経験から重荷のデータを見つけることができるのか?

それは、先ほど書いた通り、自分の人生の過去から学ぶことでしかないのである。
これまでに90人の人生を聴き、その人の強みを明らかにすることに取り組んできた。このプログラムの詳細はこちら

そのプログラムを提供する中で、学んだことは、

”楽しい”

という言葉を聞いたとしても

  • 料理をすることが楽しい

  • 旅行にいくことが好き

  • 人と触れ合うことが楽しい

  • チャレンジしたことに向き合うことが大好き etc

様々な体験をもとに、楽しいという言葉を定義していることに気がついた。それは本当に誰一人、同じ人はいなかったということである。

さらにドラッカーの言う”強み”と言えるかもしれないが、これまでの人生の中で見つけてきた、その人だけの

”勝利の方程式”

とも言える。それらをその人の言葉、内(自分)からの声(言葉)で、徹底的に言葉にしている。

この図をもう一度見てほしい。ファーストカーブでは、外(他者)からの声(言葉)が中心であり、そのファーストカーブを振り返り、内(自分)からの声(言葉)に焦点を当てている。

出来上がったものを、私は、MY COMPASS【人生の羅針盤】と呼んでいる。

これまで参加してくださった方の出来上がったMY COMPASS【人生の羅針盤】の言葉たちは見事である。これらの言葉が出来上がった時、こんな表現をされている人がいた。一人ひとりの解体新書、コンパス、アンカーなどぜひ一度、見ていただきたい。

セカンドカーブに向き合うことを決める

重荷を下ろすことを決める

これは今回の講座の最後に質問とのやりとりがあった。

Q: 重荷を中々下ろすことができなかった。私は、重荷を下ろすことを決めたことがスタートになった。やりたいことを決めた瞬間から物事が動き出した。決めることがスタートラインになるのではないか?
A: まさしくそれは正しいですね

セカンドカーブ講座の中での質問と回答

これは、本当に私も大事なことだと思う。多くの人の人生に関わることをさせていただいているが、これこそ本当にスタートラインだと思う。

どうセカンドカーブという山を登るのか、登りたいのか

この重荷を下ろすことを決めた後、どう5年〜10年かけてセカンドカーブの山を登るのか、そんなことを山登りに当てはめて考えてみた。

登山をするには、技術や準備が必要である。それは、地図の読み方、ルートの選び方、道具の使い方、天候の読み方、リスク管理などをである。これらの技術は、富士山を登る場合とヒマラヤを登る場合では、全く違うと言っていい。さらのどう登りたいかによっても異なる。これは、技術や知識を学び直し、身につけ直すということであるとも考えられる。


富士山と夕陽

まずは、ハーフタイムになる前(40代頃)までを、富士山(ファーストカーブの山)を目指しているとし、40代以降、ヒマラヤ(セカンドカーブの山)を目指していると考えると考えてみる。

最初は、多くの方が、ハイキングから始まり、高尾山、筑波山などある程度の軽装で登る日帰り登山から、さらに2000m,3000m級の山へ槍ヶ岳や富士山とステップアップするにつれて、新たな技術、体力、装備、知識が必要になる。さらに人生はもしかしたら、ちょっと前の50年前は、平均寿命から考えると、この富士山ぐらいだったのかもしれない。

しかし、日本での平均寿命が80歳さらには100歳と言われる時代に突入し、誰もが世界最高峰のヒマラヤに挑戦する時代になったと考えると合点がいく。

それはなぜか、4000m級と8000m級のヒマラヤのは倍の標高差がある。4000m級の山に挑戦するのが40代まで、8000m級の山に挑戦するのが、それ以降と考えてみるととてもわかりやすい。

現実を観る力の重要性が高まっている

この二つの山の世界で必要なことは、全く異なるのである。

さらに視点を変えて捉え直してみる。

時間軸だと分かりにくいが、標高差と考えると、何を取捨選択するべきか自然と考えることができるようになる。なぜなら、その環境がそもそも厳しいからである。その達成したいことを実現するためには、その環境を意識し、自分の意思で必要なことを選択し、準備をする必要があるのである。

またさらに重要なポイントがある。

それはいきなりヒマラヤの8000m級には挑戦できないことは誰もがわかるだろう。なぜなら、体力、技術、知識、経験を積み上げる必要がある。この山にもし、はじめて取り組むとしたら、5年から10年かかることを想像するのは難しくないと思う。

エベレスト(チョモランマ)

ただ、人とは恐ろしいもので、意外にも楽観的に考えてしまうのが、人間でもあることに注意が必要である。この時に重要なのは、客観的に現実を直視する力を身につけることである。また、いきなり大きな重荷を捨てる必要はないということでもある。

ここで、何を言いたいかというと、これまでの価値観や体験から、シフトするためにはそれなりの準備期間が必要だということを肝に銘じておくことが大切である。

人生の定期が切れる前に、置かれた環境に気づき、準備を始める

人生の定期が切れる前に、自分の置かれた環境に気づき、長い目で準備をはじめることである。それには遅いも早いもない。気づいたときが始まりで在ると。

今回、この講座に参加し改めて思うのは、学ぶことの重要性、それと同時に、その状況に気づいたとき、行動に移すことを決めるかどうかが一番重要なポイントである。

私もハーフタイムに入り、今、何を準備してきたのか、これから何をしていくのか、それは、このセカンドカーブの考え方を多くの方に届けていくことなのだと思う。それも私が長年住んでいる埼玉という場所から発信を始めることである。

また、個人的な想いとして、セカンドカーブのどんな山を登りたいのか?

それは、今年の10月にヒマラヤの5550mのベースキャンプに行くことである。それが私のセカンドカーブに登り始める第一歩になると信じている。また、この進捗もこのnote+で発信していきたい。

ぜひ、皆さんもセカンドカーブでどんな山に登りたいか、考えてみてください。

ヒマラヤベースキャンプ

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