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【保護猫体験談】保護猫の実態に触れて挫けそうになったけど、ハルが私を変えてくれた

現在、保護犬メディア『保護犬times』では執筆保護された動物の記事を執筆しています。ですが、じゃあ私の家の犬は保護犬なの?そう聞かれますと、答えはNOです。

もともとペットショップで勤務していた私は、結婚間近だった今の夫がミニチュアシュナウザーを好きだというのを知っていました。その2つの縁で、犬を飼うなら『勤めているお店にシュナウザーが着たら』と考えていたのです。

結果的に今うちにいる犬は、私の勤務していたペットショップに久方ぶりに入荷された女の子のシュナウザーです。

ではなぜ、猫は保護猫にしたのか。
今回はこの話をしていきたいと思います。

ペットショップを退社してから、より保護犬が身近になった

保護犬や保護猫はクレートに入れられて
暮らしているイメージをずっと強く持っていました。

結婚して寿退社(通勤がしんどかったので)した私は、しばらくずっとやりたくてうずうずしていた作家業に専念しつつ、自宅のことをする専業主婦でした。

今みたいに文章書いて仕事をする、というものではなくて…物語を書いて公募に出すことを目標にした、いわば創作活動です。絵本がテーマのときは、ペットショップで出会ってきた犬猫たちの記憶が鮮明に蘇り、たくさん物語に出てきてもらいました。

でも不思議と、幸せになれない子ばかりを描く私がいた

物語に出てくるかつて出会った犬猫たちは、なぜか悲しみに暮れた話の中の主人公となっていました。

  • 自分だけ意見がおかしいと非難される子

  • 同じ犬なのに体も小さく力もない

  • 猫のくせに懐こくてデレしかない

…ようは、犬らしくない。猫らしくない。
そんなキャラクターになってしまっていたのです。

物語を書く上で、ある程度ある型があります。確かにその中のひとつとして、主人公には「欠点」が必要なのです。

当時私はこの物語を書く型をきちんと理解できておらず、頭に浮かんだイメージをそのまま絵コンテにして、文章を加えていきました。

書かないといけないと思う気持ちがあったのは確かでした。ペットショップのショーウィンドウにいる彼らの眼差しに困った一抹の寂しさを、知っていたこと。また、生体販売をする同期の子が売れ残った犬猫の行方を案じて、心を壊していたのを見ていたからだと、今は思います(ちなみに彼女は今幸せに暮らしています。ですが生体販売は2度とやらないと言っていました)。

ペットショップの売れ残った犬猫は、誰にも知られないルートの先をいく恐怖を抱いていた、気がした

私も大概子どもを卒業できていない小娘でしたので、当時はわかりませんでした。ただ、「売れ残った子は行く場所があるから大丈夫」そんな上司の言葉を鵜呑みにしていたからだと思います。本当バカ。気づけ、調べろ、自分の手で!そう言ってやりたいです。

どんな思いを抱いて、あのショーウィンドウから姿を消したのだろう。キラキラしてきた瞳の奥にある色がないあの目を思い出すと、胸が痛いです。

そして時を経て出会ったのが、『保護犬保護猫』だったのです。

保護猫、飼いたい

猫のアレルギー持ちだと思っていました。
ですがアレルギー検査の結果、私はアレルギーなし!
家族も同様でした。
猫を飼う気持ちを諦めなくていい、そう思える
最初のきっかけです。


保護猫を飼いたいと思いました。
今までの私なら、シュナウザーの多頭飼いを選んだであろう私は、8年の月日の中で犬は1頭でいい。飼うなら、迎え入れるなら、異種族の動物…猫にしようと思ったのです。

迷わず保護猫にすると決断できたのは、息子を預けていた幼稚園の先生が、ボランティアで保護猫活動をしていらっしゃることを知ったからです。

愛情と厳しさを持って息子を見てくれた先生のところの保護した猫なら、迎え入れたい。保護猫の家族になりたい。あわよくば、先生の手助けにもなったら…と思いました。

「会いに来て」訪れた先生の保護猫施設

保護猫を飼うと言えば、大抵の方が仔猫を選ぶそうです。ですが、私はあえて成猫の子を選びました。理由はあります。

  • 先住犬がいること(彼女が最終審判)

  • 成猫ならだいたいの性格がほぼ決まっている

  • 仔猫は社会化期を迎えていないので兄弟で引き取るのが理想

  • 猫と暮らした経験のない私たちには、知識はあってもどこまで対応できるか未知

  • ペットショップの経験から、成猫以上ほど家族が見つからない

以上のことから、私は断然迎え入れるなら成猫以外の選択はありませんでした。あと、できたら男の子がいいな…という願望が少し。男の子の方が人間の女性に懐きやすいという話を聞いていたので。

保護猫の負っている傷と現実

先生のところにいた保護猫たちは
選り分けされることのない、
本当に酷い心身の傷を負った
保護猫たちがたくさんいました。

保護猫と直接会ったのはこの時が初めてで、室内に入るなり威嚇されたときは驚きました。そもそも、保護猫は人間に傷つけられ捨てられ放置されるなど、様々なトラウマを抱えた子たちのこと。

警戒されることでこちらも警戒し、関係が築きにくいことを実感、保護猫を迎え入れる難しさをすぐに感じました。生体販売の犬猫たちは、生まれてすぐに、見た人を親と思うひよこのように…優しげな目でこちらと向き合ってくれたものだから。

よくよく観察してみると、下半身不随のために後脚が機能せず、前足でお尻を引きずり歩く子。誰にも心を開かず、食事をとる時さえ忍ぶようにエサをとろうとする子。姉妹で抱き合い震え合う子など、様々な保護猫がいました。保護猫間でも、見えない壁があるのは確かです。無理もないと思いました。

「どの子も、おとなしい子で、頭の良い子だけれど…人が怖いのは一緒なのよね」

先生の言葉の重みを、ずしん。肩に感じた時でした。

風変わりな成猫のハルに出会って

家に来た当初、息子の部屋がお気に入りでした。
工作用の段ボールがたくさんあるので、
人目から逃げるにも空間の大きさも
ちょうど良かったのでしょう。

成猫を保護施設から迎え入れることは無謀だと諦めようとしました。私には荷が重いかもしれない。そんな情けない不安を感じたとき。どこから現れたのか、ゆらりとしっぽを左右に振りながら近寄って来てくれたのが、今、家族となったハルです。
推定夏生まれの2歳の男の子。さくら猫を支援するNPO団体の方が、手をかけ終えたさくら猫たちに食事を与えていたとき。体格の大きなボス猫を上手く丸め込んで(?)えさを求めて譲ってもらいやっていたそうです。

人間に恐れることなく、また嫌悪することもなく、上手に波間を縫うように寄ってくる社交性の高さ。それはNPO団体の人が声をかけて、触って撫でて、抱き上げても落ち着いており、しまいにはその方の頬をぺろりと舐めたのだそう。

この子は、誰かの家族になれる。

そうして、先生と交流があった保護猫ボランティアの方によって、先生の施設へと移されたようでした。

すでに左耳が桜の花びらのようになっているハル。そんなさくら猫のハルは、施設にきて半年ほど。施設にいる猫とも、ためらうことなく関わり気ままにすごす姿は、見ていてすごく、年齢のわりに達観した子に見えました。第一印象「心穏やかなおじいちゃん?」でしたから。年齢を聞いてびっくりしましたね。

「きっと嫌な思いしてこなかったんでしょうねえ」

そういう先生の言葉に、私は違うのじゃないかと思いました。もちろん、根拠なんてありません。ないんですけど、苦労はしてるように感じたのです、すごく。

軽率ながらその日にすぐ家族の同意を得て、1か月のトライアル期間をさせて頂くことにしました。

先住犬との対面


ハルを連れ帰って一番大変だったことは、移動中の車内もなかなかでしたけど…先住犬と同じ部屋。つまりリビングで過ごすことに慣れさせることでした。ハルに限らず、先住犬の方も自分のテリトリーにポッと出の生き物が現れたことで興奮状態。

今思えば少々荒療治でしたが、初日から2匹とも同じ部屋に。ケージを用意して、それぞれの安息の場所を確保することで、お互いに慣れて行って欲しいと願い、見守りました。
ダメでもともと。これでダメなら、きっと方法はいくらでもあるはず。この時の私の前向きさ、フットワークの軽さはとてもじゃないですが今でも感動します。

だってね…異種族の共存。大袈裟ですけど、そういうことになるでしょう。
私は人間で、人間の出来損ないだけれど…だからこそ、価値観や育ち方、考えることが違うとしても、理解し合おうという気持ちがあればなんとでもなると考えているんです。少しでも歩み寄る気持ちがあれば、きっと…と。

不安なことやわからないことは、先生にハルと先住犬との様子を話し相談しました。ずっとゲージにこもり、縮こまり委縮しているように見えたハル。そんな彼にとって先住犬、異なる種族の犬、シュナウザーの存在に戸惑っているのではないかと心配だったのです……。そしてシュナウザーも、家犬とはいえ元は狩猟犬でもあったのですから、ハルを仕留めてしまったらどうする…なんて最悪も想定しました。

また、先住犬のシュナウザーの子に対しても、不安はありました。今まで自身の身に注がれていた愛情を半分持っていかれる喪失感は、彼女にとって2度目。1度目は息子が生まれた時でした。

でも、拙い記憶の限り思い出せば…はじめは何者だ!?と敬遠していた息子を、私と同じように大切に世話を焼いてくれたのです。
泣けば私を呼びにきてくれたし、赤子の息子がお昼寝する時には、必ず隣に横になって一緒にいてくれました。蹴られても動じない優しさにどれだけ感動したことか。

そんな優しい子だったから、私は先住犬はきっと受け入れてくれる、と思っていました。優しさに甘えてるといえばそうですが…一緒に生きていくことを、どうか理解して欲しい。そんな願いを持って。

でもだからと言って、何もしないではいられなかった私は、常にハルとシュナウザーにこれからは一緒に生きていくことを、コンコンと語って聞かせました。膝に乗せて、優しくその背を撫でながら。

【保護猫の変化】「ついてきて!」言わんばかりにはじまった家探検

先住犬のテリトリーに入っていき外を見つめるハル。
先住犬、このときはソファにいましたが
怒ることなく見守っていました。

転機はハルがうちに来て1週間を過ぎた頃でした。
自らケージを出てきたかと思うと、先住犬にすり寄り、ぺろりとその顔を舐めたのです。

先住犬は自分から舐めたりしないタイプの子なので、驚きのあまり逃げ隠れては唸っていました。ですが、絶対にその刃を剥き出しにはしませんでした。ありがとうと、何度も思いましたね。

ちなみにハルは、まったく動じません。にゃあ、とひとつ鳴いてリビングを1週。そのまま私の足に尻尾をからめ、また「にゃあ」とひと鳴きして、再度部屋をくるくると周り始めたのです。

その都度振り返り、私が後ろについてくるのを確認。そしてとうとう2階に登る決心をしたようで。ゆっくりと階段を踏みしめて、寝室、私の自室、息子の部屋と…念入りにチェックをはじめました。

その姿の愛嬌と言ったら。

「僕のうしろ、ついてきてる?こっちだよ」

そう言うように何度も甘えた声で鳴くハル。苦手だと思っていた水場である浴室にまで堂々と進み、浴槽の底にたまる水滴を舐めるしぐさをみたとき、やっぱりハルは大物だと思いました。

同時に、ハルとなら楽しく暮らしていけそう!そんな自信と、ハルを飼い猫として幸せにしたい。そう強く思いました。

家族以外の人の膝にのり甘えることも

男の子だからか、女性に懐きやすいというのはやはりあります(ありました!)。私に懐くのも早かったです。夫と息子は最近仲良くなりましたね。

それでも、お客様がうちにいらっしゃると自らそのお客様の膝の上に飛び乗り、寛ぎ始めるのです。

「本当に保護猫?」

そう何度繰り返し、来客者に尋ねられたのかはわかりません。けれどハルは、家族はもちろん、いらっしゃるお客様にも分け隔てなく愛嬌を振りまき、ご挨拶をするのです。

我が家の誰よりも社交性の高い子で、正直、過酷な環境にいたからこそ身に着けたものだと思うと、私達家族は皆、ハルは苦労人(苦労猫?)だと、守りたい気持ちにさせられるのです。

そんなことも露知らず、ハルは今日も気持ちよさそうにリビングで寝ています。すっかり仲良くなった先住犬と毛布を仲良く分かち合いながら。

保護猫、ハルだったから家族になれた

「おなかすいたのよ、ごはんはまだ?」

思えば、ハルは保護猫としても猫としても、本当に珍しい性格の子だと思います。どの猫たちも人間がくれば隅っこに身を隠すような中で、自らやってきて挨拶してくれたのです。

周囲と上手くやっていくことを、迷う素振りなく実行し、たとえ拒絶されても、根に持つことなく根気強く自分から向かっていくのです。自分の身を自分で守るために、ハルが必要とし得たスキルなのかも知れません。

保護猫は、置かれた環境下で生き延びるために必死で生きてきた過去を背負っています。その過去をまるごと引き受ける覚悟で、それ以上の愛情で迎えてあげて欲しいと思います。

正直、私が保護猫のハルを迎え入れた動機はあまりにも不純すぎて、ここに書くことも罵られます。

加えて、言ってしまえばハルは手がかかりません。最初こそ馴染むまでは苦労しました。ですがそれ以降は、のびのびと過ごしていながらも、先住犬を優先しても怒らず驕らず、きちんと関係を受け入れてくれているようです。私個人としては、基本的な躾もあまりしていません。強いて言えば、爪研ぎをする場所を教えて「ここでして欲しい」とお願いしたことがあります。するとびっくり、教えたその日からその場所以外で爪研ぎをしなくなりました。なんていい子なんだろう…泣きそうでしたね。

はる、という名前をつけたボランティアの人の気持ちを汲んで

私たちがハルを引き取るとき、見守りに
わざわざやってきてくださいました。
「よろしくお願いします」
その言葉に、私は名前を変えることを辞めました。
※本来保護した方がこのようにお見えになることは
ほぼないそうです。

施設にいる時の名前が「はる」でした。基本的に保護犬も保護猫も、家族が新たに名前をつけていいそうですが、私はそのまんま、「はる(犬の名前がカタカナなので、表記だけカタカナに)」にしました。ハル、ハーちゃん、ハルコさん、などたくさんの呼び名で呼ばれながらも必ず返事をする賢い子です。

繋いだ命のバトンを、私は虹の橋に向かうその日まで繋ぐ

ライターの仕事で記事を書くのに調べ物をしていて出会ったのが、これから紹介する詩。
アメリカのどなたかが執筆した、ということだけしかわからない著者不明の虹の橋。このの話を知った時は、なんだか温かい気持ちになりました。尚、注意書きをしておくと宗教やスピリチュアル的な思想とは全く関係がないものだそうです。

天国の少し手前に、「虹の橋」と呼ばれている場
があります。

この世界で生前、誰かと寄り添い、暮らしていた動物たちは、その命の灯が消えたとき、「虹の橋」のふもとへ行くのです。

そこには、草原や丘が広がっていて、動物たちはそこで駆けまわり、ともにじゃれあって、楽しく遊んでいます。

おなかいっぱいのごはんと、きれいなお水、そして優しい太陽の日差しに溢れていて、みんながそのあたたかな場所で、のんびりと暮らしています。

病気にかかっていた子も、年老いた子も、みんな元気を取り戻し、傷の痛みに苦しんでいた子もすっかり健康なからだを取り戻し、昔のように、そしてまるで夢のように、そこでは過ごしているのです。

動物たちは幸せに暮らしているのですが、たったひとつだけ、心を満たしていないことがあります。それは、かつて共に過ごし、愛し合い、寄り添っていた人が、ここにいないことが、恋しくて、寂しいのです。

動物たちが一緒に遊んで、駆けまわっていたある日、ある子がふっと立ち止まり、遠くを見つめていました。その子の目は、次第にキラキラと輝きだし、よろこびで震えだします。
突然、その子は仲間から離れ、草原を飛ぶように走っていきます。速く、速く、それはまるで風のようです。

その子の視線の先にいたのは、共に過ごし、愛し合い、寄り添っていたあなたでした。

その子とあなたは、虹の橋のふもとで再び出会います。あなたは、愛するわが子を抱きしめ、愛情いっぱいにふれあい、二度と離れることはありません。

あなたは満面の笑みで幸せにあふれたキスを受け、
もう一度、愛するわが子を抱きしめるのです。そして、わが子の顔をのぞきこみ、見つめあっては、語りかけます。

きみと別れてからの長い長い人生を、私は一生懸命生きてきたよ。その中で、きみを忘れたことは一度たりともなかったよ。
やっと会えたね。

そしてあなたたちは寄り添いあって、
共に天国へ続く虹の橋を渡っていくのです。

虹の橋/原作者不明/日本語訳:ふくふくやま

私は幼い頃から犬と暮らすことが当たり前だったので、早い段階で別れを経験してきました。
何日も何日も、亡くなった愛犬の宝物だったり隠していたおもちゃが見つかるたびに抱きしめて泣いていました。
親にペットロスの症状があったこと、同時に多頭飼いをしていたことから、命の代わりはないですが、命が途切れることはなくそばにいてくれた……これは幼い私個人にとっては、救いだったのかもしれません。

今ともに暮らす先住犬とハル。同じ愛情を注ぎ、大切に育てて暮らしています。先住犬が先住犬らしく、ハルがハルらしくいられるように。
嫌なことを我慢したり、ため込んだりしなくても良いように。

少なくとも今私は、そう願って人間の息子と、シュナウザーの犬の女の子と、雑種の保護猫の男の子と向き合って過ごしています。

どんな始まりでも、どんな種族の違いがあっても…思いあって暮らせる家族と巡り合い、幸せになれますように。

保護猫に限らず、保護犬にも多くの活躍の場が、憩いの場が、安らぎの仲間ができる活動を支援していけるよう、私のできることーー書くことでこれからも活動していきたいと思います。


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