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新しいビジネス

たいそう大仰なタイトルをつけてしまった。間違ってはいないのだけれど。

新しいビジネスを立ち上げることを今、目論んでいる。

「ビジネス」という言葉の響きは自分に似つかわしくない、が、あえて使っている。なぜならその言葉がもつ独特な「儲けてやんぜ」感がまさにこれまでの私に足りなかった姿勢であり、今後掘り下げていくべきと考えているからだ。

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今朝、ついに夫に打ち明けた。かように新規ビジネス構想を温めていることを。ついに、といったってせいぜい三日三晩寝かせた程度だが、私にしては我慢した。

夫は「いいじゃん」と言った。「やれるかな?」「やれるよ」。表面的ではなく本心で言っていた──と思う。少しほっとした。夫の同意を得られてはじめて、よし、次へ進もう。と決意できた。気づかぬうちに自分は、夫の同意を重視するようになっていたのだなと驚く。

そうして今、私は企画書を作っている。コンセプト、ターゲット(ペルソナというらしい)、収益化する方法、等々を考えてトラベラーズノートに書き連ねている。その企画書を簡単にA4一枚にまとめて、色んな人(業界の関係者、友人)に意見を聞いてみるつもりだ。


こうしてここに裏話を書いているのには、ワケがある。

私は今後、自分の名前(実名)での発信を極力控えようと思っているからだ。それがこれから作ろうとしている新しいビジネス=媒体を守るための戦略だ。

戦略とはこうである。新しい媒体で、私は実名を出して文章を書くつもりでいる。そして最終的には「名指しで文章を依頼される人間になりたい」という目標がある。その過程で以下の2点が必要だと考えた。

1.良い文章をたくさん書くこと
2.その文章を「もっと読みたい」と思ってもらうこと

1はもう頑張るしかない。問題は2で、「実名で他にブログを書いていると文章に慣れられてしまい、飢餓感が煽られないのではないか」と考えた。

「飢餓感」という言葉がとてもしっくりきている。「プレミア感」もニュアンスは近いが少し違う。もっと身体がうずいてからからになるような体験──そんなイメージを私はもっている。

そんな風に人をからからにさせて、お金を稼ぎたい。

だから、世間に知られずに考えをまとめられるこのnoteは都合が良く、お目汚しになるかもしれないけれど好き勝手に書いてみる。

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私に「飢餓感」という発想を植え付けた人物がいる。

名前は知らない。というかほとんど何も知らない。自称男で、自称私より少し年下で、自称関東在住、程度の情報しか知らない。私はSNS上で彼(を含むサークル的なもの)と知り合い、いっときネット上で頻繁に遊んでいた。当時彼と私はだいぶ仲良くなったはずだけれど、いま思えば幻想だったのだろう。

彼はものすごく頭の回転が早い人だった。それだけでなく、絶妙に周囲を煽り、焚き付けては焦らし、燃やしては消し、そんなことの繰り返しで人を沼に陥れるような人間だった。

彼はある日、こんな一言を放った。沼に落ちた仲間たちと楽しく遊んでいる時に、裏でこっそり私宛にメッセージを送ってきたのだ。

「もう少し続けたい、とみんなが思うところでやめたほうがいい」

……まじ?

「もう少し続けたい、と思うところでやめる」だと?──単細胞な私にとって、彼の思考回路はあまりにも新鮮だった。しかし理にかなっていた。思わず膝を打った。そうだ、だからこそみんなが彼に対して強烈な余韻を引きずるのだ。二次会に行かず一次会で帰ってしまうあの子ともっと話してみたい、みたいなこの感覚……。

心理学を学んだという彼は、意図的に他人の感情をコントロールをしていたのだ。驚くべきことだった。

ただ、彼の煽りは度を越して上手く、周囲がヒートアップしてしまい、同時に彼自身もあまりメンタルが丈夫ではなかったので、関係は長続きせずついに彼は蒸発してしまった。今ごろ何をしているのだろう。


──というわけで、書きたいことの三分の一ぐらいしか書けなかった(こんな調子で「文章を書きたい」などと宣言していいものだろうか?まぁいいや)。

飢餓感。そのために、実名での文章を控えること。まずはその戦略について書いてみた。戦略性に乏しい自分なりに真剣に考えてみている。

私は、文章を書くことに幼少期から親しみすぎてしまっており、収益を狙った文章を書くあるいは有料化するという行為に、抵抗があった。というか有料化したら読んでもらえないと思ったし、たぶん実際に読者はつかないだろう。今の自分は無名すぎて、この名前になんの価値もない。無名で爆発的に売れるほど文章が面白くもない。

だから個人名ではなく、価値のある(=私が比較的得意でかつ競合のいない)媒体を作り、その媒体の「中の人」である自分をプロデュースする。そうすることで自分の名前に価値を付与したい。

私はあくまでノンフィクションを書きたいし、ノンフィクションで稼ぎたい。稼げなければ意味がない。なんたって「ビジネス」なのだから。

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同じような夢を見て挫折する人は山ほどいるだろう。私もその一人になる可能性は高い。でもまずは本気で取り組まなければ、時間を無駄にしてしまう。

30代が終わる誕生日までの3年半をリミットにしよう、と決めた。少し長いけれど子どもをもう一人産む可能性もなくはないし、自分を追い込まない程度に期限を設定した。40歳を迎えても芽が出ていなければスッパリ辞める。

幸い私には設計の仕事がある。それは好きだし、続ける。おそらく職場の人もこの新しいビジネスを応援してくれるだろう。「周囲から助けてもらえそう」という予感があるから、こんなにも本気になれているのかもしれない。

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