「ぼくはもうぼくでいたくなかったからです」
■ダニエル・キイス『24人のビリー・ミリガン〈上〉〈下〉』
「どうしてこういうことが起こったのだと思いますか、ビリー」
「養父がぼくにしたことのせいです。ぼくはもうぼくでいたくなかったからです。ビリー・ミリガンになりたくなかったんです」
(下巻 P.371)
この本は、1977年にアメリカで起こった連続レイプ事件の犯人をめぐる実話である。
十分な状況証拠をもとに捕らえられたビリー・ミリガンは、動揺し、犯行を否定する。取り調べを続けるうちに彼が24もの人格を脳内にもってい