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せいら♡村山早紀『ルリユール』感想

 村山早紀先生の『ルリユール』を読み終わりました。とても温かく、優しく、心に染み渡る一冊。わたしの中で大切な本になりました。

 そもそもわたしは“ルリユール”という言葉を知らず、「よくわからないけれど素敵なタイトルだな」と思い、棚に手を伸ばしました。著者のことは半年前くらいに知り、『コンビニたそがれ堂』シリーズを読み進めている途中でしたが、裏表紙のあらすじを読み、どうしても読みたくなってしまったので購入。「本を愛するひとたちの美しく不思議な物語」、これで興味出ない本好きいる……??

 私事ですが、つい先日社会人デビューを迎え、なかなか平日にまとまって読む時間が取れなかった。研修の休憩中や移動中にほとんどを読んだのだが、ハッキリ言って失敗だった。人のいるところで読むの、ほんとにオススメしない……。涙を零すのは堪えられたけれど、何回かギリギリだった。同期に危ない人認定されるのはまだ早い。家だったら何回も涙を流して泣いちゃったんだろうなぁ。なんだか前置きが長くなってしまった。


  一つずつのエピソードに感想を書くこともできるのだけれど、きっと月並みなことしか言えないと思う。だから、これを読んでわたしが強く思ったことを一番に書きます。わたしは、本が大好き。本を読むことも、綺麗な装丁の本を眺めることも、どんな本を読みたいか考えることも、本を読んで何かに影響されることも、ぜんぶぜんぶ含めて本が大好き。当たり前なんだけど、当たり前すぎてあんまり思い出したことなかったなって。この本を読んだらその気持ちをたくさん思い出した。だから、この本は特に大切になった。大事に保管して、何度も何度も読み返したい。

 そして好きな理由はもう一つ。好きな本が本の中に出てきたから。『小公女』を主人公の瑠璃も好きな本に挙げていて嬉しかった。『小公女』はわたしにとってすごくすごく大切な本だから(何を隠そう、「せいら」という名前は「セーラ・クルー」からとった)。そしてシシリー・メアリー・バーカー。彼女の名前が出てきて驚いた。『小公女』は有名すぎるが故に他の本で見かけることは何度もあるのだが、こちらは初めてだった。著書こそ一冊しか所持していないが、中学生の頃に親に買ってもらい、それからずっと大事にしていた『フラワーフェアリーズ』。急いで本棚から出した。読むのは少し久しぶりだったけれど、彼女が描く花の妖精たちと、綴る詩は、本当に素敵だ。装丁が綺麗なので少々お高いのだが、今やわたしは社会人。社会人パワーで他の作品も家に揃えておきたいと思った。同じことを書いてしまうけれど、瑠璃が彼女の著書を大切に思っていることが本当に嬉しい…。瑠璃は好きなタイプの主人公(そもそも村山先生の書く主人公に苦手なタイプはおそらくいないのだけれど)だから余計に嬉しい。“本の中に本が出てくる”という現象、本(前者)の登場人物や世界の実在性を感じることができて好きだなぁ。

 今回はあまり内容に触れない感想文になったので、続けて内容に触れないことを書きます。村山早紀先生は“日常のなかのちょっと不思議で素敵な非日常”を描かせたら世界一の作家だなぁと思いました。彼女の優しい文章と描く世界観が素敵で、ありえなさそうなのにありえそうな感じもして、まるで読んでいるこちらまで日常から少し抜け出せるような、そんな文章が好き。出会って半年でまだ10冊も読んでいないけれど、これからもたくさん読もうと思います。


 最後に、『ルリユール』より素敵な言葉を共有します。

「たぶん世の中には、我々が思っているよりも、もっとたくさん『嘘』のようなことが起きているのかもしれません。奇跡はふとした瞬間に、起きるものなのかも。それを起こしたいと願う誰かがそこにいて、気づいてくれる誰かが、運よくそこにいたら……」(村山早紀『ルリユール』ポプラ文庫ピュアフル)

 

 最後、と言いましたが、最後の最後にこれだけ書かせてください。レモンバターのパスタ、わたしも食べたい🍋


またね。


#読書感想文 #tinycapsules #せいらの本の庭

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