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なぜ、野球に無関心でちんちんにしか興味がなかった私が日ハムを応援しに北海道へ行くチケットを予約するに至ったのか

 2024年、6月。
 私は日ハムのにわかファンになった。

6/25 西武戦・ベルーナドーム

 わからない。
 野球、一年前は全く興味なかった。
 それが、特定のチームを応援するために、北海道に行くまでになった。
 
 そもそも、何かを好きになるって、なんだ。
 好きになる理由が分からない。私は何も好きではない。自分のちんちん以外何も好きではない。恋人が二度(三度かも)いた時期もあったが、多分、私は、本質的に恋人すら好きになっていなかったかもしれない。

 なのになぜ、私は今、日ハムを好きになり、応援し、北海道にいく算段をつけてしまったのか。

 私はつねづね、私のちんちんを他人に好かれたいと思っている。
 だが、他人が私のちんちんを好きになってもらう過程が全く分からない。

 私が日ハムを好きになった過程を探って行けば、他人が私を好きになってくれる方法も分かるかもしれない。
 ちんちんの営業戦略、ちんちんをいかに陳列するかの参照になるかもしれない。
 進めファイターズ、勝利の男ってもんだ。

 そんなわけで、自分はどういう過程で物事に興味を持つか、好意を持つか、何をきっかけにお金を払おうとするか。そんな自分の気持ちを分かることで、他人を分かりたい、という気持ちで、気持ちの腑分けをしていきたいと思います。

6/25

◆前史

 野球の事は知っていた。パワフルプロ野球のサクセスをやりこむ程度には。
 が、特定のチームを応援するほどではなかった。

 リアルで野球を観戦したのはそれまでで3回しかなく、1回は自分の高校の野球県大会。1回は母校の大学野球。
 もう1回は、東京タワーに登った際、誕生月プレゼントだかで当たった巨人ヤクルト戦を見に行った時。

 いずれも、縁があって見たが、その時にファンになったわけではない。
 観戦したあと、極端に面白かったという思い出もない。いずれも外野席だった。

「野球の球は小さくて、生で見たらよく分からないな。フライをキャッチするのは、生で見るとはらはらするけどなあ」

 と、そのくらいの認識だった。

 あ、落合さんのエッセイは以前からなぜか読んだことがあった。
 日本シリーズで、ノーヒットノーランだった投手を交代する、という事に興味があり、読んだのだった。血豆がね、できていたんだよね、山井に。

 ほんとう、野球に対しては、それくらいの興味。

◆2年前

 新庄さんが監督になり、ビッグボスを名乗るようになった。
 そのニュースはヤフーニュースで見ていた。
 連日、新庄監督はヤフーニュースを騒がせていた印象があった。それで、なんとなく記事を見た。様々な言動に、少しだけ興味を持つ。

「そうか、最下位チームを率いるのか。客寄せで任命されたのだろうけど、大変だなあ」
 くらいのイメージ。その時点で、日ハムで知ってる選手はゼロ。興味関心もそれくらい。

◆1年前

 さすがにWBCは少しだけ関心を持った。日本が勝ったからだ。あとチェコ戦が盛り上がったのは知ってる。デッドボール当てられたチェコの選手が、元気ですアピールで走ったんだよね。知ってます。

 日ハムに、大谷、ダルビッシュが所属していたことすら知らなかった。

 相変わらず日ハムに全然興味はなし。千葉ロッテにいる佐々木と言う投手が、日ハム相手に2日連続でノーヒットノーランをしかけたことは知っていた。
 当時日ハムは6位6位と連続で最下位。興味持たず。

 ただ新庄の練習が面白いらしいというニュースは目に入っていた。
 
 なんか、「監督が工夫して勝とうとする」というのが結構好きで、落合さん、野村さんの動画やインタビューや本は、なんかよく見てた気がする。
 
 だから、新庄監督が変な練習したり、ダブルスチールを成功させるとか、そういうのはなんかこう、目に入っていた気がするなあ。

◆今年

 今年に入ってからか。日ハムが勝ちだした。

 連日、ヤフーニュースが日ハムの勝ちを報じる。
 前年6位のチームが勝つ。
 へえ、と思い、その頃か。日ハムが気になり、ヤフーニュースの、試合結果をチェックするようになっていた。

 本当だから……4月末くらいからだ。まさに、にわか。

 でもその頃だって「どうも万波という、黒人のような容姿の人がいるらしい」くらいしか知らない。ニュースで見たビジュアル先行での知識だ。
  
 連日、日ハムが勝った、というニュースがヤフーニュースで連続で目に入る。
 昨年最下位の、年俸の低いチームが勝つ。
 痛快ではないか。

 近藤という優秀な選手が他チームに行ってしまったとか、その頃検索して知った。残ったのは、松本という強い選手くらいしかいないとか。
 あと、清宮という選手が、期待された割に上手く行ってないともそのあたりで知る。

ブルペンで球を投げる田中正義

◆田中正義

 ヤフーニュース、そして、ユーチューブにて、「パリーグテレビ」という動画がまとめている、ダイジェスト動画やファインプレーまとめ集を見るようになった。

 これが大きかった。

 パテレが端的に、パリーグ選手、特に、日ハム選手の活躍を伝える。
 とても親しみがわく。

 その中で、田中正義と言う人が活躍する動画を見るようになった。
 
 田中正義の緊張した顔。
 ごりごり真面目な顔と体。
 投げる球。
 はやい。

 新庄監督がマウンドで「ホームラン撃たれてもいいから真っすぐ投げなさい」的なアドバイスをし、ものすごい活躍しだしたという。

 田中正義がどんどんボールを投げる。
 勝つ。
 セーブがつく。
 ものすごい緊張した顔。
 つよい。
   
 これはすごい。これはいいなあ。

 この顔がもっと見たい、と思った。
 まじめで、終盤の緊張を一手に担い、そしてものすごい速い球。ストレート一本で、ごりごり行く。ごりごりストライクをとる。
 
 俺、こういうのによわいんだ。

 昔、千代大海というひいきの力士がいたんだけど、彼の突き押しに似ている。突き押ししかできない力士。でも、それがとても強い。
 
 こういう選手が好きなんだ。1つしか武器がない人。
 田中正義は直球を投げる。1つしかない武器を生かすため変化球も時折交えるが、でも、基本は直球だ。

 これがやられたらもう後がない。
 これをする事しかできない。
 対策をされているかもしれない。
 でも、投げるしかない。

 それで、勝つ。すごい。

◆ついに野球観戦をする

 日ハムの試合結果を毎日チェックする。そしてなんjまとめを読む。なんJまとめ動画を見る。ぐんぐんぐんぐん、郡司。そしてパテレを、何回も擦る様に見る。

 気がつけば、にわかファンになっていた。
 にわかファンを自認したのは、6月頭だ。もう、にわかの極みだ。これが、一か月前にファンになった男だ。そしてもう清宮の悪口を言っている。知ったかのような口を利く。

 そして先月ついに実際に観戦しにいった。6月25日。西武主催の、ビジターが日ハム戦。
 西武ドームなら、片道交通費500円でいける。
 意識的に野球を見た初めての経験だった。チケットを買うところからはじめて。内野席。
 楽しかった。
 チケット半額デーだったのも大きかった。
 ブルペンが見られる席だった。田中正義がアップし、球を投げるところを見た。

変な棒を持つ田中正義

 試合は負けてしまった。
 とてもさびしい負け方だったが、それでも楽しかった。
 ホームが西武だったため、球場全体が西武の活躍のたびに、演出があり、盛り上げる。

 いいなあ。この盛り上げ。
 応援しているチームがホームでの試合だったら、どんな光景になるんだろう。
 日ハムで、エスコンフィールドだったらどんなふうに応援するのだろう。

 ホーム観戦がしたい、と強く思うようになった。

◆勝ってるからファンに

 6月末から7月にかけて負けが込みだすと、にわかファンの私は試合の結果を恐れるようになる。
 みない。
 さすがにわかファンだ。負け試合は見たくない。

 本当のファンだったら、負け試合こそ楽しめるんだろうけど、このあたり、まだ私はにわかだ。勝たないと楽しめない。にわかだ。

 逆に言えば、2位に順位をつけるような、勝っているチームでないと興味は持たなかったのだ。
 「勝ちは最大のファンサービス」とは本当そうだなと思う。

 そのかわり、日ハムが勝つと、本当、脳がバグる。一日の終わりがうれしい。普段飲まない酒も飲むし、おやつも食べちゃう。

◆清宮が打ったから北海道行きを決意

 そして、これを書いていた今日(7月10日)。西武戦。1-4の日ハムリードで9回表の攻撃。なおも満塁。

 バッターは清宮。
 私が観戦した西武ドームで観戦したとき、戦犯だなあと思って憎んでいた人が、最後にヒットを打ち、2点を追加する。

 もうしわけない清宮。
 素晴らしいぞ清宮。
 そして気がつけば飛行機の予約をし、チケットを取得し、宿の予約を入れた。
 清宮のヒットを(ヤフーの一球速報で)見て、そう決めたのだ。

 こうして、極貧生活を送り、貯金が10万円を切り、いままで野球に興味を持たなかった人が、一晩で万単位の支出をしてしまうに至ったのだった。

 こういう過程だった。

 こういう過程だったのか。

試合が終わると塁は片づけられるようだ

◆まとめ

 整理すると、

「もともと存在は知っていた」

「すごく弱かったチームが、急に勝ったように見えて、興味を持った」

「パテレ、ヤフーニュース、なんJ切り抜きなど、すぐに接するアクティブなメディアが多数あった」

「よく勝った」

「不器用だが強い、という自分の好みにあう選手を発見した」

「実際に観戦して楽しかった」

 これらの要因が私がにわかファンになった要因だった。

「すぐに接することができるメディアが多数ある」というのは大きいな。
 今の時代、興味を持ってもらうには、沢山のチャネルでネタを毎日更新するのは、やっぱり重要なんだな。
 新庄のように、すぐにニュースになるようなネタを露出してくれるって重要だなあ。

◆「好き」は「開いて」「更新され続け」「勝っている」となる。

 相手の方から「好き」に対しての、開いている感じがないと好きにならなかったかもなあ。
 沢山、だれでもアクセスできて、しかも更新され続け、それは「勝っている」。
 そういうチャネルがあり、そのうえで、さも自分から能動的になった気持ちにさせることで、「好き」が現れる。

 これが、向こうから「営業」されたら好きになんなかったのかも。

 好きになってくれ、と営業をかけるのではなく、「常に動いているチャネルが複数持ち、どれも誰からもアクセスできるよう開いていて、なんか知らないけど勝ちまくっている」と「自分で能動的に選んで好きになったのだ!」と思えるのだなあ。

 これはプライベートでも、ちんちんでも応用が効きそう。

 誰でもウェルカムな空気で、毎日SNSを更新し、その内容は「勝利」であるようなポジティブさ。
 
 ちんちんを常に露出し誰からもアクセスできるようにし、毎日ちんちんを立たせ、そして、ちんちんで、勝つ。ちんちんが、勝つ。ちんちん、毎日勝利の舞。優勝パレード。ちんちんに座布団が舞う。

 ちんちんにとって、勝利とは何なのだろうなあ。
 それを確かめに、私は八月末、北海道にいきます。 

 田中正義がみたいなあ。
 直球で1点差を抑えて、セーブを挙げる田中正義を、生で、エスコンフィールドで、見られたらいいなあ。


 

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