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アンパン世界の希望と絶望と、ちんちんマンきちがいマーチ。

〇ちんちんマンきちがいマーチ口ずさんで今できる正義がこれか
             藤田描『ちんちん短歌 増補改訂版』2020年

 アンンパンマンについて纏められているトゥゲッターを見て、なるほどと思ったのは、アンパン世界では使命と名前(人格)がダイレクトに結ばれていて、例えばアンパンマンはアンパンの頭部を持った人間であらねばならないという事。それ以外の生き方は許されない。アンパンとして生まれた以上、アンパンとして死なねばならぬという事だった。↓

 例えばSLマンは一生SLとして人や荷物をレールの上で運ばねばならず、かつぶしまんは鰹節ダシの蕎麦を作り続けねばならず、カバオ君は一生人の役に立つことのないカバとして子供で居続けなくてはならない。
 自由意志による人生選択が極めて限られる世界、という説を聞いてなるほどなーと思ったのだった。彼らは自由に見えて、名前と主に頭部に由来する「何のために生まれてきたか」という制約のもと、暮らしていたのだなあと思った。
 そんな世界でありながら、しっかりと空腹という苦しみがある。アンパン世界は、ハマれば楽園だけど、思ったよりも過酷な世界だなあ。

 そこでばいきんまんの苦しみもあるなあと思った。ばいきんまんは、ばい菌として、生まれてからずっと悪でなければならない。そして悪はいつも不満と飢えと欲望にさいなまれていて、称賛を受けることは少ない。
 アンパン世界随一の科学技術を司る存在なのに、理解者はほぼいない。側に居るのは女と骸骨。

「生まれ」を超えられない世界がアンパン世界であり、生まれと自己や自意識をどう結び付け、折り合いが付けられるかがアンパン世界の命題なんだなあと思った。
 となると、ロールパンナの運命は本当つらい。メロンの姉としての「妹に優しく親切にする」という使命が在りながら、「生まれ」に起因する障害――「悪の心を持ってしまう」が、その使命を果たせなくさせる。
 だからロールパンナにはドラマが出現する。ロールパンナ回は外れないと評判だ。アンパン世界でトップクラスの使命を果たす困難さをもつ。ロールはその悪の心を持つゆえ、群れず、一人で暮らす。しかし一人で暮らすと、メロンの姉としての役割を果たせない。苦しみがある。アンパン世界には革命は起きない。苦しみは続く。

 ロールは自分自身を許し、肯定できる日が来るのだろうか。

 感情の高ぶり、もしくは一定の確率で自分の心が「悪」になってしまうという精神障害を持ちながら、メロンの良き姉であろうとする。自分がいることでメロンが傷つきうる。そんな自分を、アンパン世界にいて、いつか肯定できる日がくるのだろうか。

 それはアンパン世界が物語として永世に語り継がれる以上、むつかしい。唯一の希望は二次創作だろうか。アンパン世界の永遠の聖典から離れ、個人で編まれる外法の外典の中でのみ、ロールは自己実現した物語を、個人の中の物語の中でだけ、幸せになりうるのかなと思った。
 だって物語としては、おいしいから、一生障害は治らない。おもしろいから、ロールの設定は絶対に変更されない。ロールは不幸な方が我々にとっておもしろく、すばらしいから、われわれの幸せのために、満足のために、おもしのさのために、ロールは永遠に幸せにならない。

 世界に参加せず、世界から抜け出したどこか遠いところ。本線の世界からは認知も感知もできない所に、ロールの幸福はあるのかもなあ。

 こうした世界の大道から遠いところにいくのが、個人による祈りのような創作の存在意義なのかもなあ。

 ちんちん。そうだよなあ、だから、ちんちん。

 ここにいたら、君はだめなんだ

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 本日の有料記事は「AIのべりすと」を利用してヒントを得て作成したちんちん短歌の新作と、AIのべりすとをどう利用したかの記事になります。

 や、小説を自動作成するという「AIのべりすと」という面白いサイトがあり、これ、ある程度文章を打ち込んだら自動で小説が作られるという!

 これ、短歌をひたすらやったらどうなるかっていったら、こうなったんだよなあという話と、それを元に短歌を作ってみた感じを、話すと思います……。

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