見出し画像

ガラスの天井

2021年12月26日付けの毎日新聞、1面の大見出しに「『ガラスの天井』を破り続け」とあり、思わず引き付けられました。副題は「迫るー連合初の女性会長、芳野知子さん」。2021年10月末日に行われた衆議院選で、立憲民主党がかなり議席を減らした件で、TVニュースに登場、「野党共闘で連合票は行き場をなくした」などと語っていた女性をご記憶の方も多いと思います。また女性で、連合会長にしては若いことに驚いたのは、私だけではないと思います。

芳野さんの前職は、ものづくり産業労働組合「JAM」の副会長でした。JAMは大企業ではなく、中小企業の組織で芳野さんはその中でもトップを務めた経験はありません。そんな芳野さんが最終的な『ガラスの天井』を突き破り、2021年10月に連合の第8代会長に就任しました。バンザイといいたいところですが、また「連合運動はすべてにジェンダー平等の視点を」と訴えていた芳野さんではありますが、「連合は、共産党や市民連合とは相いれない」と断言したため野党共闘の女性候補を応援した女性たちの間で失望感が広がっているといいます。さらに日本のジェンダー問題の実状は厳しく、世界経済フォーラム(WEF)が国別に男女格差を数値化した「ジェンダーギャップ指数2021年」で、世界156か国中120位 G7最下位です。最終的な『ガラスの天井』を突き破ったものの、前途多難というところでしょうか。でも勝負はこれから、天井を突き破ったところから始まるので、まだどうなるかは分かりません。

ジェンダー問題といえば、私は小学校から大学まで共学だった性でしょうか、「男女格差」に、割と無頓着でした。特に小学校低学年では男女の体格差にあまり差はなく、元気のいい女の子であれば、男の子をぶっ飛ばせるような感じでした。そしてその感覚のまま大学までいってしまいました。
最初の『ガラスの天井』というより『鉄の天井』にぶつかったのは大学の就職相談窓口を訪ねた時のことです。ほんとうに笑いは話みたいなのですが、そこで「男子でも就職の困難な時に、お嫁にいきなさい」といわれたのです。「結婚しないさい」ではないですよ。「お嫁にいきなさい」です。「ふざけんじゃねーよ」というのは、こういう時にぴったりのことばですね。
2番目は英語学習誌の「国際派の就職」という特集で、取材のためクリスチャン系の大学を訪ねた時のことでした。上品な初老の紳士にご対応いただきました。そのお話の内容は「語学力を生かして商社を希望する女子大生が多いのですが、目的は一流の商社で働く男性の中から伴侶を見つけるため」だということでした。そして「あなたも、こんな仕事はさっさとやめて、いい人を見つけなさい」とお説教をされてしまったのです。

以上今は昔の物語ですが、今でも男女格差をなくすことはかなりむずかしいと思います。使ってはいけない言葉を使いますと、世の中には、「女々しい男性」「雄々しい女性」がとてもたくさん存在します。「男脳」「女脳」にしても、どちらか100%という人はいなく、両方の割合はさまざま、時と条件によっても変わるということです。芳野さんの訴求する「すべてにジェンダー平等の視点を」は当然LGBTQを含みます。しかし結局は男女差ではなく、人それぞれの個性のちがいではないでしょうか。ひとりひとりの個性を自分自身もまた周りに人たちも大事にする素敵な世の中って夢のまた夢かな?とても難しいことかもしれません。

しかし遠くの方に何か光るものがある気がします。
86歳の「ITエヴァンジェリスト」若宮正子さんが、これからデジタル世界を生きるこどもたちへのメッセージで『フォルダー型人間』ではなく『ハッシュタグ型人間』になりましょうと語っています。「『フォルダー型人間』とは、名刺型の人で、たとえば大企業のフォルダー中の、横浜支店というサブフォルダ―、さらにその中の開発二課とフォルダーの中に、そしてさらに・・・。『ハッシュタグ型人間』は、たとえば「#アラビア語 の看板ぐらいわかるんだ」とか、「#ピザ作り は得意」とか、自分のできることをどんどん発信していく。そんな人になりなさい」と語り、いろいろな人の輪を広げていくことを進めています。
こんなところに、人も自分も大切するヒントが隠されているかもしれません。

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?