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CEO上田が語るサービス開発の裏側と今後の展望

MODE, Inc.は2014年にアメリカ・シリコンバレーで創業したスタートアップです。「地球上のあらゆる企業のビジネスにデータ活用を広める」というビジョンのもと、IoT(Internet of Things)およびデータ活用によるお客様のDX実現を目指しています。そのためにはIoTシステム開発を圧倒的簡単にする必要があるという考えから、IoTパッケージソリューションをサービスの主軸として展開しています。

今回は、CEO/ Co-Founder 上田学がサービスに込めた想いや今後の展望についてお話していきます。

CEO/ Co-Founder 上田学

IoTソリューションサービスに込めた想い

IoTには多岐にわたる技術とそれを扱えるエンジニアが必要

― MODEがサービスとして提供するIoTソリューションでは、ハードウェアからクラウド構築、データベースの設計などIoTのシステム開発で必要な項目が全てパッケージ化されています。一般的なIoTクラウドではなく、パッケージソリューション化したのにはどういった背景があるのでしょうか?

上田:IoTの技術を使うことで様々なことができると誰でも想像がつくので、みなさんやりたいと思っています。一方で、今の主流のやり方は、クラウドサービスやクラウドプラットフォームに自社のカスタムのシステムを作るというのが一般的なんですね。だいたい8割くらいはそういったやり方をしています。

ですが、IoTシステムではハードウェアや無線通信、クラウド、アプリといった多岐に渡る技術を組み合わせないといけないので、作るのがとても難しいんです。なので作れる人があまりいないというか、しっかりとした経験のある人が少ないのが実情です。

MODEでは高い技術を持った様々タイプのエンジニアを集めて、パッケージソリューションとしてすぐ使えるものを作っています。

― IoT企業であるMODEには、ゲートウェイで扱うソフトウェアに詳しいエンジニアも在籍していますが、エンジニアという視点から見たIoTの難しさはどういったところにありますか?

上田:ひと口に『エンジニア』と言ってもその専門分野は幅広く、特にゲートウェイというセンサーを繋ぐ機械で扱うソフトウェアは、インターネットやWebといったインターネットの仮想空間で使われるソフトウェアとは大きく異なります。

インターネットサービスで使われるソフトウェアは、人間とやりとりをするので、何か聞かれたら答えるという、という仕組みが多いんです。一方IoTで使うゲートウェイのソフトウェアは、暗い部屋で24時間365時間ずっと動いていると想像してください。何か聞かれたら動くのではなく、常に動作しているというイメージなんですよね。

人間とやりとりしているソフトウェアであれば、上手く接続しなかったら『接続できませんでした。もう一度操作してください』とエラーメッセージを出せば良いだけなんです。しかしゲートウェイみたいな機械は人間がいないので『できなかったからやめました』という訳にはいきません。コンピューターが自分でなんとかして仕事をやり遂げないといけないという点が難しいですね。

MODEでも最初からできた訳ではなかったのですが、あらゆる問題にチャレンジするエンジニアが集まっているので、やったことのないことをどんどんやって、自分たちで解決策を編み出しているという感じですね。

IoTを使いたい人=作れる人ではない。IoTを本当に活用したい企業に実現して欲しい

― IoTソリューション着想のきっかけはどういったところにありましたか?

上田:もともとMODEは開発者向けのIoTクラウドプラットフォームの提供からスタートしたんです。ですがIoTの技術は、建設業、製造業、物流業などソフトウェアが専門ではない企業こそが使うべきだと思ったんです。

IoTシステムを実現するためにはハードウェア、ネットワーク、クラウド、アプリケーションと幅広い分野のソフトウェア開発者がいないと作れないんですね。建設業や製造業、物流業といった企業が、IoT実現のために色々なエンジニアを集めてチームを作るのか?というと、それはなかなか難しいと思うんです。

そこで、誰かがちゃんと仕事で使えるIoTを提供しないといけないと思い、それをMODEでやることにしたんです。

IoTソリューションのこだわり

当たり前とも思われる「ちゃんと動いて仕事で使える」が、IoTでは難しい

― サービス開発におけるこだわりはありましたか?

上田:サービス開発で特に強くこだわったのは2つあります。

1つめは『ちゃんと動くこと』。こんな風に言うと、そんなことは当たり前だと思われるかも知れませんが、IoT開発で最初につまずくのが、思ったように動かない、さらに動いているかどうかすらよく分からないという点です。IoTを実現する目的はデータを収集することだけでなく、データを活用してビジネスに変革を起こすというところにあります。そのためにはデータが “全部” 取れていることが大切で、“だいたい取れていれば良い”というものではありません。MODEがゲートウェイ開発に力を入れている理由はここにあります。

2つめは『実務で使えること』。PoCで数台をIoTに繋げるのは比較的簡単です。しかし、ビジネスで使えるようなスケーラブルなシステム設計をIoTで実現するのは簡単ではないんです。

0から1を作るのって、1から千とか1から1万にすることと比較すると、圧倒的に簡単なんです。PoCだったら自力でできるかもしれないですけど、PoCを超えて、日常の業務で使えるものにしようと思うと急激に難しくなるんです。自社でカスタムシステムを作ることを断念されたお客様も多く見てきました。MODEでは実際のビジネスの現場で使えることを重視してシステム設計をしてます。

IoTソリューションのリアル

IoTはやってみたら意外と大変で、それを乗り越える仕組み作りに苦労した

― サービスを構築する上で大変だったことはありますか?

上田:IoTは『やってみたら分かる大変なこと』というのがすごく沢山あります。

インターネットのソフトは自分のサーバーが全部クラウドサービスなどにあって、すぐにアクセスできるんです。一方IoTのソフトウェアは、トンネルの中や山奥、はたまた海をまたいで外国の工場とか、とにかく遠くで動いていたりするんです。だから何かあった時に問題を把握したり直したりするのは大変なんですよね。

その経験から、OTAアップデートやログリクエスターのようなMODE独自のトラブルシューティングの仕組みを作ったので、それからはだいぶ楽になりました。

OTAアップデート機能

OTAアップデートというのは遠隔から新しいバージョンを送り込みインストールする機能です。MODEではゲートウェイにもOTAアップデートを実装することで、ソフトウェアの改良を設置後も継続的に行えるようにしています。

ログリクエスターというのは、問題がある機器に対し、何が起こっているか詳細なレポートを送ってください、とリクエストする機能です。これにより遠隔からトラブルの原因究明をできるようになりました。

でも、もっともチャレンジングなのは、ゲートウェイがそもそもインターネットに繋がらなくなってしまう時です。インターネットに繋がるまでが残されたチャレンジですね。繋がってしまえば、MODE独自の仕組みで対応できるようになってるんですけど、繋がらなくなってしまったのを直すのが結構大変です。

IoTは“実際にやってみたら大変だった”ということがすごく沢山あるのですが、私達はそれを1つずつ乗り越えてきました。だから、お客様はこういった大変なところをわざわざやる必要はなく、MODEに相談してくだされば、簡単にIoTを実現できるというわけです。

仕事や業務で使えるIoTを構築できたというお客様の声

― 実際にIoTソリューションのご相談に来るお客様の反応はどういったものでしょうか?

上田:MODEには、一度IoTをやってみたけれどあまりにも大変だということで、相談に来るお客様が多くいらっしゃいます。何が大変かというと、業務で使えないというところです。

例えばクラウドサービス等を使ってIoTのシステムをカスタムで作ってみたものの、実際に業務で使おうとすると、不安定すぎたり運用や保守の手間がかかりすぎて手に負えないということで、ご相談にいらっしゃる企業様が多いです。

そんなに多くない台数ですが、設置台数が20台くらいになると、どこに何があるか分からないとか、何かしらのトラブルが常にどこかで起きるのです、PoCの延長線上で作ったIoTシステムだと、何かが起こった時に現場に行って調べるとか、外して送り返してもらうとかし続けなければなりません。運用するにしても、専任の社員が張り付いていないとならないくらい面倒臭いです。IoTは作ってからがとっても大変なのです。

ですがMODEなら、遠隔から調査・管理をする仕組み等がすでに揃っているので、台数が増えてもちゃんと成り立ちます。さらにMODEがシステムを運用してくれる。これも大きいです。MODEは色々なお客様に対してIoTサービスを提供しているので、プラス100台でも1000台基本的に何も変えることなく運用できます。お客様はIoT技術の細かいことを気にせず、自社のデータ活用に注力していただきたいと思っています。

今後の展望

データ活用で、世界から『Unknown』をなくしたい

― 今後の展望はどのように考えていますか?

上田:アメリカIT業界の強者として知られるGAFAを筆頭に、オンラインのアプリやWebの会社などは、巧みにデータを活用することで急成長を遂げました。データを使うから、自社のビジネスのことをすごくよく分かっているんですよね。

それと同じことを、建設業や製造業、物流業など現実世界のビジネスを牽引する企業に広めていきたいなと思っています。特に工事現場や工場など複数の拠点があるビジネスで、全社的にオペレーションがどうなっているかというのを見えるようにしていきたいと思っています。

そういう会社が、IoTとそこから得られるデータを活用することで、ビジネスの世界に大きな革新が起こると思うんです。だから技術の力で、IoTを圧倒的簡単にするソリューションを作るのがMODEの使命であり、あらゆる企業のビジネスにデータ活用を広める世界を目指したいです。

― 本日はどうもありがとうございました。