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家に来た3人の迷子(大人)さん達  その3

その日は非常に暑い日でした。
私は物置に行こうと思い、玄関を出ると70代くらいの女性が朝顔の垣を眺めていました。
その方は私を見つけると「こんにちは、キレイなお花ですね。
すみません、ここの住所を教えてもらえますか?」とおっしゃいました。
お顔は真っ赤に火照っていて、とても疲れているご様子でしたので
私は「どうぞお休みください」とお勧めしましたが、遠慮されたので飲み物と冷たいタオルをお渡ししました。
すると少し落ち着かれて、ぽつぽつとお話をされました。
その方は、娘さんに言われて地方から来て同居しているそうで、
まだまだ土地勘がないのですが、「運動のために毎日散歩するように言われて、今日は初めてのスーパーにお使いなんだけど、道に迷ってしまい、歩きながら3人に教えてもらって…」と話してくれました。
スーパーで買い物しての帰りだそうですが、その方の住所を聞いて驚きました。
どんなに早くてもスーパーへの道のりは一時間かかるものです。
「私としてはお花を育てたり、洋裁、編み物をして家に居たいんだけど、
家にいるとと叱られるから、夕方まで外で過ごしている」暮らしだそうです
これから歩いても30分以上かかる住所なので、後姿を見送ったときは心配でした。
お元気な高齢の方が、道に迷って帰宅できず死亡するという事が多いこの頃、彼女は幸せにお暮しか?と、とっても気になっています。