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小1の時の、事件1 の続き 

今の小学生には考えられないことでしょうが、この、たちの悪い噂話を当時の子どもたちは信じていました
 私の 頭の中は暗い部屋に閉じ込められた子どもたちが震えながら泣いている姿が 浮かび 早く逃げなければと思いましたが 母が入院している事が本当かも知れないという思いも捨てきれず迷っていると
「疲れたからここで休んで行こう」と、その人は坂道の側の沢の方に下りて行きました
私は立ち止まったまま動かないでいると、その人が近くまで上がってきて、私の手を引きました。
その時の表情を見て私はビックリ、まるで赤鬼そっくりで顔の大きさも倍くらいになっていて 別人の様なのです
私は怖ろしくて「ギャー」と叫んで、手を振りほどき、そのまま「ギャー」と叫びながら坂道を下り、住宅街をはしり続け、やっと家に着きました。
その間 悪者が追いかけられない様にと、ズーと大声で泣いて走りました
 私は生まれた時から、初孫だったからか? 町内で知らない人は居ない程の「泣いてばっかりいる赤ちゃん」だったそうで 大声には自信がありましたから
 
家に着くと 母と祖母はまだおしゃべりをしていて、私のいう事など耳をかしません
祖母は無類のおしゃべり屋で、母は聞き役に徹していなければならず ズーと苦労していましたが。
私が「誰か 追っかけて来ないか 外 見てきて」としつこくせかすと、
母はおしゃべりのキリの良い所で腰を上げ外へ行き「なぁに 誰もいないよ」と言うので 私は安心して その事は直ぐ忘れてしまいした。

 その三年後に 私たち家族は祖母と同居する為 引っ越したので
退屈な時は 骨董品ウインドウショッピングができて嬉しい日々が続き

そのうち 私も中学生になり、そこは三ヶ所の小学校が集まっていたので、休み時間には、それぞれの地域の話しなどをしてワイワイ遊んでいました
当時は、塾や習い事に通う生徒は少なく、部活動も適当に、という時代だったのでしょうか?放課後は直ぐには帰宅せず、音楽室で友だちのピアノ伴奏で歌ったり、教室でおしゃべりしたりで楽しい時間を過ごします。
ある日 いつものように、10人くらいでおしゃべりしていた時、ませた男子が「俺たち小1の時 誘拐事件あって 大学生が犯人だったよな」と話すと
「そうだわ 新聞に出てたもね」など、みんな知っていて話が盛り上がりました
それで 私もすっかり忘れていた小1の時の事を思い出し
帰宅してから、直ぐ、母をつかまえて誘拐事件のことを話しました
「ねっ 私、追っかけられた事 本当だったんだよっ」と言いましたが、
母は何のことやら覚えていなくて
「あら~ そんな事件 あったのかい?」の ひとことで終わりました。