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家に来た3人の迷子(大人)さん達 の2

秋の夕方だったと思いますが、夫の痰吸引した汚水をトイレに捨てるため、急いでリビングのドアを開けて出ると、玄関の板の間に女の人が 
うつ伏せに倒れこんでいました。私は ビックリしたのなんのって!
「どうしたんですか?」と お聞きしましたら
「家が分かんなくなったんです。 ここはどこですか?」と泣きそう表情で顔を上げました
その方は、70代くらいの女性で、センスの良いお出かけの服装です
お話をすると… 家は郵便局の近くで、今まで近所の喫茶店のオーナーさんとおしゃべりしていて 外へ出ると暗くなっていたので 家が分からなくなり 探し回っていたとの事でした
その郵便局も喫茶店も 我が家から近いので送って行ける距離です

私は、当時 夫のベット周りから離れられない状態だったのですが
幸い その日は息子が居たので、息子がご一緒することを話しましたら
「誰かと一緒に帰ったら、もう外に出してもらえなくなる」と困った表情で行こうとしません
息子が「大丈夫です 家が分かったら、お一人で入って下さい。もう暗くなったので早く探した方が良いですよ」話すと 納得して帰られました。

しばらくして戻った 息子は悲しそうな表情だったので心配になりましたが話を聞くと 暗かったので少し迷ったけれど 郵便局の近くの家だったそうです
不安そうな彼女に「僕は近くで待っていますから もしお家が違っていたら外に出てきてください。又 探しましょう」と話し、
彼女が玄関に入っていったら、直ぐ男の人の怒鳴り声が聞こえたので
ここで間違いないとは思ったけれど しばらく近くで待っていたそうです
この光景が やさしい息子を 沈んだ表情にさせたようです
私も 彼女の明日からの暮らしを思うと心配になりました
 バス通りまで行くときの 通り道にあるお宅なので、なんとなく様子を見ながら歩きますが、彼女を外で見かけることは一度もありません。