ロシア・ウクライナ戦争の一年後

2022年2月24日にロシア軍がウクライナに侵攻を開始してから一年が経過した。予想通りだったことも、そうでなかったこともある。

ここ一年、この戦争について日記のような物を書き留めた。
関心を持ち続けるために今年も書き続けていこうと思う。
早く終わってくれるに越したことはないのだが。

軍事的戦争

ウクライナが早々に敗北する予想は外れ、一年後からの今から振り返ってみれば、どう取り繕うとロシアは失敗し続けているとしか言いようがない。彼らの主張がだんだんと変遷(というよりは後退)しているのは言うまでもないだろう。

全土制圧に賭ける人はほとんどいないだろうが、ウクライナ側も相当苦しいのは間違いないので、ロシアがいくらかの領土を手に入れる可能性はまだかなりあるように見える。

経済的戦争

西側の経済制裁によってロシア経済は干上がり、鬱積した国内の不満が政権転覆、ひいては終戦へ向かうことが期待された。しかし、今ではこのシナリオに期待する人はあまりいない。ロシアは制裁のダメージを緩和し、また、自分たちは西側に攻撃されているという自説の補強にも上手く利用した。

一方、西側は結局ロシアの天然資源に頼らざるを得ず、結束に亀裂が生まれると考えたロシア側の目論見(ノルドストリームの破壊を考えてみるといいだろう)も、今のところ上手く行っていない。天然ガスの価格は落ち着いてきているし、肥料や飼料も高騰はしたものの西側政権やウクライナ支援に支障を来たすところまでは行かなかった。

経済面の戦争はお互い痛み分けに見える。

未来の戦争

中華人民共和国による台湾の武力統一シナリオは公然の秘密であるが、今の戦争がどのような影響を与えているのかは複雑すぎる。

ウクライナに多大な軍事支援を続けている西側の兵器、特に弾薬の供給不足が言われる中では、出来るだけウクライナ侵攻が長引いてくれた方が自分たちに差し向けられる兵器の数が減ってくれるかもしれない。

一方で、各国が国防の重要性を再認識して軍事費を増大し、軍事部門に投資を加速させ、戦争のシミュレートに真剣に取り組むことは不利に働くかもしれない。個人的には、もしもウクライナ戦争よりも台湾侵攻が先に起きていたとしたら、真剣な準備が不足していた西側は台湾を失った可能性が高いように思う。

中国はロシアを見て「自分たちはもっと上手くやる」と思うかもしれないし、「思ったより難しそうだ」と考えるかもしれない。ただし、ロシアとウクライナは地続きであり、台湾は島国なので、台湾侵攻があるとすれば戦争の様相はまったく違ったものになるはずだ。

戦争の終わり方

多くの専門家が指摘しているように、長引きそうだ。
何年も続くのか、終わりが近いのかも解らない。

ロシアはすでに戦時体制を敷いているし、政権が内部崩壊することもないだろう。ロシア軍の戦死者を積み上げ、さらに追加の動員を強いることで厭戦気分を高めることが唯一のゴールに見える。(それでも、政権は批判を封じ込めて戦争を継続できるかもしれない)

ウクライナ側は西側の支援が生命線なので、欧米の政治動向に大きく左右されるだろうが、当座の間は途切れることはなさそうだ。

戦傷者数はどうやっても減ることはないし、家や建物やインフラが破壊されるのを止めることは出来ない。最近、ウクライナ側が決して清廉潔白ではないという主張(ある意味での事実)が強まっているように思えるのも懸念材料だ。「ロシアの侵攻」と「ウクライナの腐敗」が同じ対立軸にはなり得ないことは何度でも書いておくべきだろう。

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