7月に読みたいわたしの本棚
夏だ〜〜〜。6月からとっくに暑かったし、9月になってもずっと暑いのに、いつまで経っても「夏」のイメージは7月と8月にしか持てないのはきっとわたしだけじゃないはず。
やっぱり夏休みがあったり、カレンダーのイラストとかのイメージだったりするんでしょうか。刷り込みの力ってすごいなあと思いつつ、夏だから花火しちゃおう、浴衣着ちゃおうって季節にかこつけて遊ぶのがとってもすきです。
概念としての”夏”はとってもすきなんです。
涼しい風がふわっと入ってくる束の間の朝を過ごすのも、じわりと汗ばむ身体をぴたりと床につけて微かな涼を欲するのも、そのままセミの鳴き声を聴きながらじっと息を潜める日中も、19時すぎてやっと暗くなってきたなかで飲むぬるめのビールも、やっと動き出せた夜にアイス買いに行ったままお散歩しちゃうゆるめの格好も、いいよね。
とはいえ、暑いのがほんとうにほんとうに苦手なわたし。そのどれも味わうことができずに、いちにちぐったりと横たわって、9月になるのをただじっと待つだけが現実です。なので、せめて本のなかでだけは夏を満喫したい。
◆『深泥丘奇談』綾辻行人
お化けとか幽霊とかホラーは苦手なんですけど、ちょっとした不思議はむしろ大好物なの、自分がどこまでいけるんだろうってたまに深堀したくなります。
ファンタジー感が少しでもあれば大丈夫なのでしょうか。「あの世」は無理だけど「あっちの世界」なら大丈夫な気がする。
そんな絶妙なラインを楽しめるのが『深泥丘奇談』だと思います。綾辻さんといえば『館シリーズ』がとてつもなくすきなのですが、『深泥丘奇談』シリーズはちょっと違っていて、思わず「あれ………?」と振り返ってしまいたくなるような、でも振り返っても何もないようなそんなお話なんです。
お話、といえるのかもほんとはわかりません。
だって主人公はミステリ作家の「私」。舞台は京都・深泥丘。作者の綾辻さんは実際に京都の”深泥池”にお住まいです。
もしかしたらほんとうのお話かもしれない、って思うだけで、この本が一層面白くなる気がするのです。
◆『ズボン船長さんの話』角野栄子
小さいころから『魔女の宅急便』を愛してやまないわたしなのですが、原作は読んでいたもの、他の角野さん作品は知らずにいました。(『小さなおばけ』シリーズもふれてきていなかったのです)
大人になって図書館でふと目が合い読み始めてから、これが「魔女の宅急便」の人の本だったのか、と驚いたくらいです。
この物語は4年生のケンが夏休みに元船長さんに出会い、船長さんの思い出の物語を聞いてゆくおはなしです。
それぞれの宝物にまつわるちょっぴり不思議な物語は、読んでいるわたしも一緒に船長さんと旅をしているような冒険がいっぱい詰まっていて、ケンと同じようにもっと聞きたい!とねだりたくなってしまいました。
ぜんそくの発作のために療養しにきていたケンと、船の補修のために住み始めた船長さん。夏休みが終わるとともに、ふたりがお別れするところはじんわり切なくなってしまいました。
船長さんの物語がとにかくわくわくできて素敵です。海の中を自由に動き回るズボン船長さん。涼やか〜。
わたしもいつか船長さんみたいに、誰かに話したくなるとっておきの思い出を物語れるようになりたいです。
***
少しひんやりして、少しわくわくして。
物語のなかではいつだって自由で、どこにでもいけるしなんでも体験できるなとしみじみ感じます。7月もいっぱい飛び込んでいきたいなと思います。
この記事が参加している募集
もっともっと新しい世界を知るために本を買いたいなあと思ってます。