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7月が好きすぎる

一年で最も生気が宿るのは夏で、毎年この時期になるとどこか遠くに行きたくなる。遠くの定義はそれぞれの想像に任せる。鈍行列車で片道1時間でもいいし、夏の陽炎を切り裂くような新幹線やジェット機だっていいだろう。
とにかく夏は生命の躍動を感じる。けたたましく反響する蝉たちの鳴き声。スズランテープを幾重にも貼り付けたような油彩画的な空が灼熱の光線を伴って地上にのしかかる。溶けかかりそうなアスファルトの匂いを鼻に吸い込む、圧倒される。そういうものに蹂躙された気分で、嬉しくなる。ああ、今の私は自然に苦しめられている。その日の役割を終えて太陽は沈む。
夜になっても汗が止まらない、うまく寝付けない、蚊に血液を吸われている、窓閉めて、ガンガンに冷えたクーラーつけて眠っていたのに朝、蝉の合唱に叩き起されて特別な予定のない日にも関わらず早起きしてしまった。

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