シンママの就職活動を国が支援する制度 ー理想と現実の埋めきれない大きな差ー
シンママの働く環境は、新型コロナの影響で一段と厳しさを増しているのではないでしょうか。
NHKが労働政策研究・研修機構(JILPT)と共同で2020年11月13日から19日までアンケートを実施した結果によると、雇用に変化が起きた人は女性が多く、特に非正規雇用でその傾向が顕著に表れています。
収入が3割以上減少した人の割合も女性が2割を超えており、特にシングルマザーは4分の1に当たる人が影響を受けています。
2020年4月以降に職を失ったシングルマザーのうち、再就職できたのは7割程度にとどまっています。
マザーズハローワーク事業
このような状況下で、注目したい国の事業があります。厚生労働省が実施している「マザーズハローワーク事業」です。
この事業は平成18年(2006年)度から開始されていて、お子さんがいる女性の就職を支援するものです(ですから、シンママに特化しているわけではありません)。現在では、全国202カ所(設置予定も含む)の支援拠点で行われています。
この事業は、以下のような特徴があるそうです。全て無料ですから、使わない手はないです!
子連れでも相談可能!
おもちゃ・絵本のあるキッズコーナー、チャイルドシートを隣に置けるゆったりした相談スペースなど、お子様連れでも安心してご利用いただける環境を整えています。
出典:東京ハローワーク
担当者制度
あなた専属の就職支援ナビゲーターがつき、一人一人の状況に応じた活動をサポートしてくれます。これは、就職が決まるまで続くようです。ただし、シンママから希望しないと担当者制度は活用できないようですので、必ず希望を伝えましょう!(こういうのって、お役所っぽいですね(笑))
なお、担当者制を利用した人の就職率は80%を超えているそうです!
就職に役立つセミナーの開催
就職活動に向けた心構え、面接対策、パソコン講習など、就職に役立つセミナーを実施してくれます。あなたのスキルアップにもってこいですね!
子育てと両立しやすい仕事の紹介
「勤務時間が保育施設の送迎に対応できる」や「子どもの急な病気や学校行事の際に柔軟に休暇がとれる」など、子育てと両立しやすい仕事を紹介してくれます。
また、求人を募集する企業側が、子育てと両立しやすい就業条件で求人を依頼すると、 『#マザーズ』 というタグを付けて、子育て中の方の目に留まりやすい状態で求人が配信される仕組みもあります。
シンママ、企業の双方にとってメリットがありますね!
ホントにうまくいってるの?
以上の情報は、厚生労働省やハローワークなどの資料を基にまとめました。見ている限りでは、非常に上手くいっているように見えますが、実際はどうなのでしょうか?
「JUDGIT!」という、面白いサイトがあります。このサイトは「政府の情報の中でも核心に位置する「予算」をデータベース化したものに、検索機能をつけて誰でも使えるようにした」ものです。
つまり、政府が何にいくら予算をつけ、実際にどれだけお金を使っているのかを調べることが可能なサイトです。
私はこれを活用して、マザーズハローワーク事業が上手くいっているのかを検証してみました。
国の予算は増えているが・・・
国の予算は2012年度から一度も減ることなく、上昇傾向です。2020年度はおよそ40億円になっています。確かに大きな金額が計上されています。
出典:https://judgit.net/projects/301
では、ハローワーク全体の運営費を見てみましょう。2020年度で約710億円が計上されています。
出典:https://judgit.net/projects/285
運営費に対して、マザーズハローワーク事業が占める割合は、なんと6%しかありません! もっと詳細をみてみないと分からないですが、私は「あまりにも少ない」と思いました。
成果目標に対しては?
次に、実際の成果についてです。まず、この資料を見た感想が「国もちゃんと目標を掲げてやってるだ」です。私は目標も立てず、やりっぱなしだと思ってましたので、認識を改めました。
さて、その目標に対しての成果ですが、ギリギリ達成したレベルです。そして、なんと「担当者制を使う人」に目標値がなく、さらに対応できているのが7万人程度です。女性の失業者がおよそ160万人(実質失業者90万人を含む)ですから、7万人はあまりにも少なくないですか?!
出典:https://judgit.net/projects/301
メニューは豊富だけど、作れなきゃ意味がない!
この記事を作成するために、いろいろ調べてみましたが、その感想は「お店のメニューはいっぱいあるけど、作りきれないお店じゃダメやん!」です。
厚生労働省やハローワークのHPをみていると、薔薇色な印象を受けました。しかし、実際のところは、現場で対応されるハローワークの方が必死に仕事しているのに、予算に限りがあって人員不足なため、満足な対応ができていないのではないかと推測できます。
こういう状況をもっと見える化して「これじゃダメなんだよ!」という声が大きくなるようしないとダメだとつくづく実感しました。
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