働かざる者食うべからず

「働かざる者食うべからず」私が小さい時に親からよく言われていました。だから、手伝いをしなさいと。そして、親になった今、同じことを子供達に言って、食事の準備等の手伝いをするように仕向けています。

さて、この「働かざる者食うべからず」本当にそうなのでしょうか？

シンママはワンオペ

シンママは、お子さんがいますので子育てしています。お金がないと暮らせませんから、仕事をしてお金を稼いでいます。大人は一人しかいませんから、必然的に家事も担当しています（実家に住んでいる等で違う条件の方もお見えです）。これだけで一人三役をこなさないといけないわけです。

仕事面をもう少し見てみましょう。全国ひとり親世帯等調査結果（平成２８年度）によると、シンママが正社員で働いているのは半数いません。パートや派遣社員等の非正規労働者が半数をしめています。余談ですが、”非”正規って何様目線だって思います。

出典：https://myhome.nifty.com/column/rent/190619277401/

そして、雇用の条件が直接給与に反映されています。シンママの平均年収は243万円なのです。必死になって働いて、場合によってはいくつも掛け持ちして働いているシンママもいるのに、実情はこれなのです。

出典：https://myhome.nifty.com/column/rent/190619277401/

働けば働くほど貧困になっていく

一方で、生活保護を受けた場合は、いくらくらいもらえるのでしょうか。母子世帯(母40歳・子13歳)の場合ですと、以下のようになるそうです（出典：https://news.mynavi.jp/article/20201125-1525018/）。なんと、年間で約250万円です。生活保護をもらった方が、働いているよりも同等かそれ以上もらえるのです。

生活扶助 : (第1類)92,380円　(第2類)40,660円
逓減率 : 0.8548 　母子加算 : 18,800円
住宅扶助(1級地 : 東京都区部の場合) : 64,000円
教育扶助 : 5,100円(＋学級費、給食費など)
(92,380円×0.8548＋40,660円＋18,800円)＋64,000円＋5,100円＝207,526円

貧困になるのはシンママだけ？

では、こういった苦しい状況はシンママだけでしょうか？　残念ながら違うと思います。日本という社会は失敗を許してくれない社会です。ですので、リストラにあった、交通事故を起こしてしまった、これだけでシンママ同様に苦しい人生になってしまう可能性が非常に高いのです。さらに、色々調べていてびっくりしたのが公務員が交通事故を起こした場合です。

国家公務員法や地方公務員法では「禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者」について、公務員に採用されない、公務員である者は失職するという規定があるそうです。（条例で救済措置がある都道府県もある）（出典：https://p-law.jp/column/644/）

公務員って、非常に安定している職業だと思われていますが、これはものすごいリスクじゃないですか？

生存権は保障されているけど・・・

日本国憲法第25条では「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と、生存権が認められています。生活保護制度はこの条項に基づいて定められているものです。

しかし、現状を見返せば、生活保護だけでは不十分ではないですか？。何より、老後等の将来の不安は、誰もが持っている不安ではないでしょうか。将来の不安は生活保護制度では解消できないのは、みなさん誰もが感じることではないでしょうか。

ベーシックサービス

慶応大学教授の井手英策氏は「命や暮らしにダイレクトに関わるサービスを全ての人に無償で提供する。その代わり、みんなで負担を分かち合い、貧しい人も当然の権利として堂々と大学や病院に通う。貯蓄ゼロでも不安ゼロ、弱者を助ける社会から弱者を生まない社会に変える」という考えを提唱されています（出典：https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1262565）

私はこの話を見つけて「北欧の制度に近いな」と感じました。そして、北欧の国々の税金がかなり高いです。日本と比べるとその差は歴然です。

出典：https://www.leopalace21.jp/contents/hokuou-tax-hikaku.html

しかしながら、最新の「世界幸福度ランキング2020」によると、１位フィンランド、２位デンマーク、6位のノルウェー、7位スウェーデンと北欧の国々が軒並み上位にランクインされています。ちなみに日本は62位で、2017年から3年連続で順位を下げています。

これらの状況は、何を意味するのでしょうか？　私は「お金がなくても最低限の暮らしができる北欧のスタイルは、人々の不安を取り除くことができるので、精神を安定させ幸せを感じることができる」と解釈しました。

日本も早くこういう国になって欲しいなと切に思いますし、そうなるように自分ができる範囲で動いていきたいと思います。

そして「働かざる者食うべからず」、この概念に縛られすぎるのは良くないなとつくづく思いました。今日から、子供達にこの言葉を言うのはやめます！