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「前提」を伝え忘れるのはまずいと思った件【ノウハウ系の記事や商品】

「合格率20%の難関試験にたった1週間で合格した方法」

というタイトルの記事があったとしましょう。

もし、上記の記事の本文で「前提条件」を語らなかったらどうなるでしょうか。

おそらく、読者の誤解を生みます。

より正確な情報を伝えるために、「前提」を伝えることは重要です。

今回はこんなことを書きます。

前置き・背景

今回の記事を書こうと思ったきっかけを説明します。

10月頃にITの試験を受けました。その試験は応用情報技術者試験です。

実は本格的に勉強したのは1週間だけです。おそらく受かっています。

*直前になってはじめて勉強したことの反省を、次の記事に書いています。
ギリギリにならないとやらない病-ギリギリでいつも生きていたい?-

この試験の合格率は20%前後(応用情報技術者試験ドットコムより)なので、すごいと思うかもしれません。

でもそんなことはありません。「前提」が違うからです。

というのも、僕の本業は社内SE(企業のIT・システム部門)です。ITについて実務で学んでいます。つまり、アドバンテージがあるんです。

だから、SEとして働いている人であれば、多少の勉強で何とかなる人も少なくないはずです。

前置きが長くなりましたが、本題です。

こういう実績をもとにノウハウ系の記事を作成するとしたら、「前提条件」を伝えないとまずいよという話です。

例えば、最初の

「合格率20%の難関試験にたった1週間で合格した方法」

というタイトルの場合です。本文で「前提条件」を語らないと、読者が「この方法で合格できなかったじゃないか!」と怒り狂う可能性があります。

僕の場合であれば、本業がSEである「前提」を伝えないと、読者にあたかも「誰でもできる」という印象を与えかねません。

前提条件を伝え忘れると煽りになる

「合格率20%の難関試験にたった1週間で合格した方法」

もちろん、タイトルだけ見ればウソではありません。

でも、本文においても「誰でも、簡単に、この方法で受かる!」と前提を載せずに書くことに対して、僕は違和感を覚えます。

少なくとも、「ノウハウ系」の記事を書いたり「ノウハウ系の商品」を売りたいときは、「前提」となる情報を忘れるべきではないと思います。

例えば今回の例でいえば、以下のような前提条件で試験に臨んだことを伝えるべきでしょう。

・理系の大学院卒のため、ITに多少馴染みがある
・SEとして働いており、多少の知識と実務経験がある
・下位試験の「基本技術者試験」に合格しており、何となく試験のイメージができている

このような「前提条件」を記載したうえで、試験までにやったことや心構えなどを紹介するのは問題ないと思います。

「私はこういうやり方でやりましたよ!」という一例として伝えるのです。

でも、だからといって、このやり方がすべての読者に当てはまるとは限りません。

なぜなら「前提」が違うからです。言い換えれば、読者が置かれている環境がそれぞれ異なるということです。

このように、前提条件を書かずに「誰でも、簡単に、この方法で受かる!」とアピールすることは、読者に誤解を与えてしまいます。

でもタイトルが「キャッチ―」でないと興味を持ってもらえない

ここまで「前提条件を書かないとまずいよ」と書いてきました。ただ、これはあくまで記事や本の中身の話です。

タイトルはちょっと別の視点が必要かもしれません。

記事や本、商品のタイトルを多少「キャッチー」にすることはありだと思います。なぜなら、興味もってもらってナンボだからです。

でも、だからといって、噓を言っていいわけではないでしょう。

例えば

「合格率20%の難関試験にたった1週間で合格した方法」

というタイトルは嘘は言っていません。個人的には煽ってる感じがして好きではないですが。

もしこれが

「SEが1週間の勉強で応用情報技術者試験に合格した」

のようなタイトルであれば、この時点で読む気が失せる人がほとんどでしょう。

・「なんだ、自慢かよ」
・「本業でやってるなら当たり前だろ」
・「私には関係ない話だな」

などと思われてしまい、クリックさえしてくれないはずです。

だから、「タイトル」を多少キャッチーにするのはありだと思います。

でも、本文や中身に「前提条件」を記載しないことはアウトだと感じます。その「タイトル」に惹かれて中身を読んでくれた人に対して失礼です。

なぜなら、前提条件が違う人がそのノウハウを実践した場合、同じ効果や成果が見込めないからです。

もし読者が必死に実践しても成果がでない場合、読者は「裏切られた」と思うでしょう。読者の期待値と大きく乖離してしまうからです。

前提はそれぞれ異なる。でも共通する部分を伝えるのはあり

人それぞれ前提条件が違います。とはいえ、そのなかでも少しでも普遍性のある内容を伝えることは有効だと思います。

例えば今回の場合、以下のようなことは、試験勉強のやり方として参考になるかもしれません。

「環境・スケジュール」
・試験前1週間が残業が少なくなるように、仕事のスケジュールを調整した
・試験前1週間は、SNSをなるべく見ないようにした(あくまでなるべく)
・試験前の何日前は有給休暇を取得した勉強時間にあてた
「勉強方法」
・完璧主義を捨て、100%で受かることにこだわらず、80%くらいで受かるように万遍なく勉強した
・過去問を繰り返し、とにかくやり込んだ
・試験日までの時間を逆算して、何を捨て、何を勉強すればいいかを考えて勉強した
「勉強コンディション・生産性」
・受験勉強をしていたときの「集中モード」を思い出して勉強した。そのときの感情や、フロー状態を再現できるように意識した
・自分が「集中モード」にないやすい「音楽」を聞きながら勉強した
・ミスノートを作成して、よくある間違い(検算忘れなど)を記録して繰り返さないようにした

期待値コントロールは難しい

本題に戻ります。

世の中には、前提を書かずに情報を伝える記事やセールスがあります。

これの何が悪いかというと、無料記事ならいいのですが、有料記事やノウハウ系の情報商材だったりすると、購入者からクレームがくる確率が上がることです。

もちろん、読者(買い手)もいい気持ちはしません。

例えば読者や購入者はこう思うでしょう。

この方法をやっても無理じゃん!

このように思ってしまう原因は、先ほど書いたように、書き手が伝える内容と読者の期待値がずれてしまうからです。

「前提条件」が違う読者が実践する場合、内容に「簡単ですよ」と書かれていても、その人がやってみたらとても難しいことがあります。

このときにズル賢い書き手や販売者は

あなたが本気でやっていないからできないんです。

と言うでしょう。

たしかに、一理あります。情報をもらって満足してしまい、実際に行動しない人が多いのも事実です。人間は強いものではなく、気を抜くと怠惰になってしまうでしょう。

しかし、いくら本気で読者や購入者が行動しても、そもそも前提が間違っていれば、「無理なものは無理」です。

例えば今回の例、「合格率20%の難関試験にたった1週間で合格した方法」という記事で考えてみましょう。

もしIT知識が0の人が上記の記事を読んで勉強しても、1週間で応用情報技術者試験に受かるのは至難の業です。

合格するとしたら、1週間で相当な時間をかけて勉強したか、よほど頭の良い人かのどちらかでしょう。

要は「前提」を書かずに伝えると、誤解が生じるということです。

このことは「期待値コントロール」にもつながるのではないでしょうか。

まとめ

「前提」を書くと、読む人や見込み購入者は絞られます。

でも、読んだ人の期待値がブレ幅は少なくなるでしょう。

なぜなら、読み手はその前提に当てはまるか自分で判別できるからです。もしその前提と違えば、それをしっかり認識してくれます。

つまり、実践して上手くいかなかったとしても、その理由が「ノウハウのせいだけ」ではないことを納得してくれます。

しかも、対象者を絞れば絞るほど、満足度が高くなるでしょう。書き手(売る側)と読み手(買う側)の双方にメリットがあるわけです。

まとめです。今回伝えてたいことは以下のとおりです。

・タイトルは嘘がない程度にキャッチーにしてもいいけれど、その中身に「前提」を書かないことはまずいよ

・理由は読者(買う側)の期待値から離れてしまうからだよ

・だからノウハウ系の記事や商品には「前提」をなるべく示そうね

誰かにノウハウを伝えるときには、「前提」を忘れずに伝えたいですね。

p.s1 個人的にはタイトルをキャッチーにするのは苦手です。

p.s2 今回の例で取り挙げた架空のタイトルも、よく考えたらツッコミどころが満載です。

「合格率20%の難関試験にたった1週間で合格した方法」

例えば次のようになツッコミが予想されます。

・合格率20%は平均の値なので、「約20%」と書かなくていいのか
・合格率が20%はそもそも「難関試験」といえるのか
etc

本文に「前提条件」を書くことは当然にしても、タイトルと記事内容を乖離させないような工夫は難しいですね。

p.s3 ブログも書いています。よかったらぜひ。

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