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未来への名言207「相愛しないと自愛になり、 自利になる。自利こそが対立、攻伐、戦乱の根源である。」(墨子)

ロシアのウクライナ侵攻問題がなかなか治りません。
戦争に反対する中国の思想家「諸子百家 」の一人である「墨子」が有名です。
私は尊敬する経営者の方の師として紹介いただいた田口佳史さんからその考えを学びました。
墨子は「非攻」と合わせて「兼愛」という考え方を説いて、なぜ戦争が起きてしまうのか、どうすれば戦争が起きないかを説いています。

「一人を殺せば、これを不義として死罪に処せられる。この論法でいけば、十人殺せば不義も十倍となり、必ず十死罪にあたる。百人殺せば不義は百倍となり、百死罪にあたることは、天下の君子ともなれば皆知っていることではないか。」

こう言って墨子は多くの人が殺し合う戦争を否定します。
そしてその解決策として「兼愛」を説きます。

「聖人は天下を治めることを仕事とする。よく治める為には何故乱は起るのかを知ることだ。乱は相愛せざるに起る。相愛しないと自愛になり、 自利になる。自利こそが対立、攻伐、戦乱の根源である。兼愛こそが天下が治まる根本であり、天下を治めることを仕事とする聖人は兼愛を奨励すべきである。」

儒教では家族や目上の人を特に愛することが尊いとされていますが、墨家では平等に相手を愛することが良しとされている点も特徴です。

私がすごいなと思ったのは、このような考えを世界(中国国内ですがこの時代は地中国は一つの世界と言えます)が戦争に明け暮れる中国の春秋時代に打ち立て、世界を巡って多くの人へ語ったことです。
実際、「非攻」「兼愛」を説き続ける墨子に対し旧友が 「こんな乱れた世の中で、あなたのいう義など行う人はいない。あなた独り自ら苦しんで努力を重ねているが、そろそろ止めたほうがよい」といったそうです。
そこで墨子はこう答えたと言われています。
「例えば、十人の子供がいるが一人も田畑を耕す大人がいないのならば、耕せる者はますます努めなければならないのではなかろうか。天下に義を行う人がいないのであればあるほど、私は義を勧める努力をすべきなのです。あなたは私にそのようにいうべきなのです。」
墨子は運命や宿命はない「非命」を主張し、人間の人生は、当人の「努力」によるのもいう人でした。そしてその努力で社会すら変えられると語っています。

戦わないこと、そのために相手を分け隔てなく尊重すること、そして争いが起こらないために自ら努力すること。

東洋思想や東西のそれぞれの良さを取り込むことがこれからの世界に求められている気がします。

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