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上記の作品等をお読み頂くと、どんな二人の話か分かると思いますが読まなくても特に支障はありません。
本を販売させて頂いた際の書き下ろし掌編その4、5です。


オーナメント

 ツリーにオーナメントを吊り下げ、くるりと電飾を巻きつける。コンセントを差し込んでスイッチを入れると、色とりどりの明かりが点滅を始めた。
「小さいけど、結構しっかりしてるね」
 そう言うと、あなたは微笑んで頷く。
 飾ってみてから考えようと、追加のオーナメントは買わなかったけど、これならほとんど必要なさそう。
「でも、一番上に星は飾りたいかも」
「あぁ、確かにあった方がいいね」
 あとは雪もあった方がいいかもな。ゆっくり飾り付けていこう。クリスマスまで、あとしばらく。


「いい感じじゃない?」
「うん。すごいな、やっぱり」
 綿を被せたツリーは、うっすら雪化粧をしたようで綺麗だ。こういう時の君の手は、やっぱり魔法使いみたいだな。
 そう言うと君はくすくす笑う。
「私も料理をするあなたの手は魔法の手だって思ってるよ」
 どうなってるんだろうなんて言いながら君が僕の手を取った。いつも少し冷えている君の手。
 綿の雪で冷やされたわけではないけれど、寒がりな君が少しでも温まるようになんて。思いながら僕は君の手を両手で包む。


(蛇足的な裏話)
花ちゃんは美術が得意なタイプ。趣味は絵を描くことですが、工作系も結構上手にこなします。陸くんは家庭科が得意なタイプ。料理も上手ですが、繕い物などもさらっとやってしまいます。
お互いがお互いのそういう部分を、すごいな。と思っている二人。

書き下ろしその6はクリスマスに掲載予定です。