(物語)花火

(関連作品など)

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上記の作品等をお読み頂くと、どんな二人の話か分かると思いますが読まなくても特に支障はありません。
本を販売させて頂いた際の書き下ろし掌編その2です。


花火

 ドン、と腹に響く音がして、夜空に大輪の花が咲く。パラパラとすぐにほどけた花弁は白い煙だけ残して消えて、すぐに次の花が咲いた。
 隣の君は時折団扇で自分を扇ぎながら、楽し気に花火を見つめている。
 ひときわ高く上がった花火を仰いだ君がよろめいて、慌てて広げた腕にぶつかった。
「わわっ、ありがと」
 笑う君の顔は、花火と同じくらい眩しくて。
 僕の顔はどうしたって熱くなってしまうんだ。


(蛇足的な裏話)
大事なことなので強調しておきますが、ここは花ちゃんの実家です。
花火特等席のため、親戚等も集まります。
多分二人はあたたかく見守られている。あらあらとか言われている。
陸くんは多分途中で気づいてあわあわしてると思います。花ちゃんは多分気にしない。

書き下ろしその3は冬の前位(いつだ?)に掲載予定です。