(物語)北風

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上記の作品等をお読み頂くと、どんな二人の話か分かると思いますが読まなくても特に支障はありません。
本を販売させて頂いた際の書き下ろし掌編その3です。


北風

 夏には汗だくの僕の隣で涼しそうな顔をしている君は、寒さにはめっぽう弱い。
 僕が上着を出すころには、君はマフラーも手袋もしっかり着込んで、少しふんわりしている。風が吹けば悲鳴を上げて、僕を壁にするように回り込む姿が可愛い。
「風よ止めー!」
 何か言ってる。
 噴き出した僕に、頬を膨らませながら君が抱き着いてきた。だって寒いんだよー。なんて言っている。
 君は時々すごくずるい。君の願いの反対を、少しだけ、願いたくなってしまうから。


(蛇足的な裏話)
陸くんは暑がりというよりは汗っかきです。暑いとはあんまり口にしないタイプ。寒さにはかなり強い。
花ちゃんは暑いのも嫌だけど寒い方が苦手。暑いも寒いも割と素直に口にします。結構文句も言う。最近の気候については「暑いか寒いかどっちかにして!」とか言っているかもしれません。

冬の前頃、などと言っていましたが、いつが冬の前なのか本当に分かりませんね。
書き下ろしその4と5はクリスマス前位に掲載予定です。