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勘違いしがちな「傾聴」

現在、多くの企業で職場でのコミュニケーション改善のために「1on1」が導入されています。

一般的にはその部や課の上司(マネージャー)が、普段のコミュニケーションだけではわからないことまで深掘りして、部下への理解を進めていくためのものです。

話し合う内容は大きく7つのテーマに分類できるといわれています。

  • プライベートの相互理解

  • 心身の健康チェック

  • モチベーションアップ

  • 業務・組織課題の改善

  • 目標設定/評価

  • 能力開発/キャリア支援

  • 戦略・方針の伝達

企業によって独自のテーマやマネージャーの裁量によって変わることがありますが、最大の目的は「部下が心を開いて本音を話してくれる」ということではないでしょうか。

しかし日本の企業ではコミュニケーションの取り方について上司(マネージャー)自身も不慣れで、往々にして勘違いをしているケースが多いようです。

「傾聴」しているはずが、部下が表面的な話に終始したり、沈黙のあまりマネージャーが一方的に話をして部下がしらけきってしまうなどのケースですね。

今回紹介する部下が心を開いてくれる「傾聴」の仕方を解説した『すごい傾聴』(企業研修講師、心理療法家 小倉 広 著)では、カウンセリングの事例から「傾聴」の本質を教えてくれます。

例えば、犯罪者の更生支援のカウンセリングから、そのカウンセラーと当該犯罪者との関係は「分析する人」と「分析される人」という立場の違いからどうしても自己防衛的に心を閉ざしがちになるという事です。

カウンセラーは対象者を客観的に分析し、知的に理解しようとするためどうしてもお互いの心に壁を作ってしまうというのです。

心を開いてもらうためには、話し手と聞き手は対等でなくてはならないからです。

つまり犯罪者の犯罪行為自体を思いやるのではなく、犯罪に至る家庭環境や生活環境、人間環境に追い詰めらた結果、犯罪を犯すまでの相手の体験してきた経緯を「追体験」してみるということです。

以上は稀な例ですが、置き換えると職場で「ミスをして上司に叱られ、ふてくされている後輩」には「ふてくされた」という「結論の場面」に至るまでの時の流れ全般、話し手の現在の立場や周囲の人間との関係性、さらには生い立ちも含めて体験してみるということです。

「この人はこう考えるだろうな……」と推測するのは、「思考」の領域であって、「体験」ではありません。

そうではなく、相手の「体」を「あたかも」自分の「体」であるかのように感じることが大切です。

つまり「頭」で考えるのではなく、「体」で感じるということですね。

相手になりきることが出来たら表情までごく自然に相手と同じになっていきます。

話し手が客観的な別人の立場にとどまったまま、テクニックとして相手の表情の真似たり演技をしたりしたところで、ほとんど何の意味もないのです。

「傾聴」をする聴き手は「傾聴」される話し手を表面的に理解するのではなく、聴き手が話し手に「なって」同じ体験を味わうこと(=追体験すること)が必要なのです。

この記事は
ダイアモンドオンライン
「相手の話に耳を傾けているのに、心を開いてもらえない」という人が“勘違い”している決定的ポイントとは?

の一部を抜粋・編集したものです。

『すごい傾聴』(ダイヤモンド社)


ブログ:「40代からのいい生き方」

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