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豆話/夏夏夏

 夏に漕ぎ出す。夏の始まりはいつも心浮き立つ。何の予定もないけれど。何をするかも決まっていないけれど。夏が来ただけで止まらない鼓動。

 涼しい部屋から飛び出して、暑すぎる外へと飛び出す。周りで日傘がくるり。あえて自分は頼らない手元のオアシス。夏の日差しを浴びたくて突き進む。うっとうしく汗ばむシャツ。じりり焼ける肌。そんな中自分の足だけが頼りで。どこへ行こうか。どこにだって行ける気がして。自然と早くなる歩調、軽やか。熱気をきって進む。じっとりした風すら味方にできる。夏が好きだ。

 澄み渡る青空にもこもこの入道雲が広がっている。夏が来た。はしゃいだ心が抑えられなくて、理由もなく予定もなく扉を窓を開ける。空を飛ぶ飛行機が雲を裂く音がする。飛行機雲が一直線、偶然の景色に見惚れる。それを見て明日は雨かもしれない、少し残念に思う自分。そんな気持ちを吹き飛ばすべく夏へと飛び込む。今しかない季節なのだから。

 ジワジワ、ミンミン。いつしかツクツク、そしてカナカナ。夏の始まりも終わりも告げる声。夏の歌が響いている。忘れないようにきいていよう。

 長いようで一瞬。一瞬は永遠。忘れたくない夏。ずっと忘れない夏。


 太陽に 負けじと咲いた ひまわりの 
          黄の輝きに 勝るものなし

 私の書いた短歌です。この歌は私のテーマです、なんて。夏が好きで好きで。ひまわりのように光に向かって咲いていたい日々。ひび割れていた心にも響く日々や日があって。ああ、夏が来た。素晴らしい夏の予感が今ひしひしと感じられています。
 

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