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TikTok経由の来店が約8割!22歳大学生カップルが始めた“移動式チュロス屋さん”。人気を支えるTikTok動画に込めた“ある視点”

(写真左:佐野さん、写真右:足立さん)

驚異の飲食店。なんと集客の8割がTikTok!

TikTokの人気クリエイターに、自身のストーリーや動画投稿のコツ、フォロワーの増やし方、ヒットするコンテンツの秘訣などを聞く「TikTokクリエイターインタビュー」。

今回ご紹介するのは、横浜市内を中心に展開する移動式チュロス屋さんの「CHURROS AVENUEさん(https://www.tiktok.com/@churros_avenue)」(2021年3月より静岡市へ営業拠点を移動)。

なんとこのお店、移動式販売の形態をとっているにもかかわらず、TikTokを見てお店を訪れているお客さんが約8割もいるそうです。

飲食店と言えば、近所の人に訪れてもらうケースが圧倒的に多い中、TikTokによって遠く離れた場所からお客さんを呼び込むことができているとするならば…これは大きな革命になるかもしれません。

「就活したくないよね」から始まった大学生カップルの挑戦

お話を聞いたのは、お店を運営する今年大学4年生の佐野さんと足立さん。

チュロス屋さんを始めた理由はひょんなことがきっかけでした。

「3年生の終わり頃に、二人で卒業後のことを話題にしていたんです。そのときに『就活したくないよね』って二人でぼんやりと話していて。そこでふわっと大学生らしいですがカフェとかやりたいねと盛り上がったのがきっかけです」(足立さん)

「私が彼を巻き込んだかんじ」と振り返る足立さん。

ここまではよく耳にする大学生カップルの何気ない日常会話ですが、その後のアクションが二人は違いました。

「意外と彼女は乗り気で、やっぱり場所に縛られないので、店舗じゃなくてキッチンカーでやらない?と提案されて。最初は客単価の高いカレー屋さんにしようと話していたのですが、それだとランチタイムしかキャッシュポイントがない。そこで販売時間が長いスイーツに目をつけました。チュロス屋さんなら、11〜19時と販売時間が長くとれるからです」(佐野さん)

こうして二人は昨年3月に中古の軽自動車 バンを60万円で購入し、二人でDIYして7月末にオープンにこぎつけたといいます。回りの同級生がエントリーシートを書き、面接を受け続ける中、黙々と作業していたのです。

「大学生なのでお金はかけられないですから。お店の開業にあたっては、キッチンカーの開業セミナーに加してノウハウを教えてもらいました。が、チュロスのレシピやメニュー、デザインなどはすべて0から自分たちで手掛けました」(足立さん)

飲食店が投稿するTikTokにはコツがある

試作に試作を重ねながら、こうして店舗をスタートさせた二人。横浜市内の商業施設を中心に店舗を構え、今では1日220人、売上は9万円ほどを叩き出すようになったそうです。

「一番安いメニューはチュロスで350円。パフェが600円くらいです。10〜20代の女性が半分以上ですね」

そんな二人がTikTokを始めたのはキッチンカーをオープンさせてからわずか2日目のこと。

「それまではインスタを使って集客していたのですが、僕が見る専用で使っていたTikTokでも発信してみようか、という話になって始めました。インスタはビジネスアカウントにしていたので、フォロワーはどこに住んでいる人が多いのかわかっていて、僕たちが住んでいる横浜市が多いことがわかっていました。一方で、TikTokは横浜以外に住む方からのフォローもかなり多かったんです」(佐野さん)

では、どちらのSNSが集客に貢献したかと聞いてみたところ、意外な答えが返ってきました。

「今はTikTokが集客につながっていますが、どちらがよいということじゃなくて、SNSって結局役割分担だと思うんです。インスタはおしゃれな投稿が人気を集めやすいので、ブランドイメージを作るために使っています。ホームページに近いかも知れません。一方で、TikTokは最初に認知してもらうきっかけとなるプラットフォームだと捉えています」(足立さん)

佐野さんいわく、TikTokではチュロスをおいしそうに撮ることよりも、“動き”に特徴を加えて撮影するほうがフォロワーが増えやすいといいます。

「店舗のカラフルな色を見せたり、チュロスをしぼるなどチュロス屋さん特有のおもしろい素材のほうが好まれますね」(佐野さん)

こうして、わずか6畳程度のキッチンカーのアカウントは2万6000人のフォロワーを抱えるまでになりました。

ところが、そのあまりの人気ぶりから急激にお客さんが増えたことで予想外のトラブルも生まれたそうです。

「数日でバズった動画が続いたこともあり、お客さんが急激に増え始めたんです。結果、チュロスの生産が間に合わなくなり、15時には売り切れてしまい、数が足りなくなりました(本来、お店は19時まで営業)。そこで、生産体制を変えて、事前に仕込んで冷凍したものを持ってきて、それでも現場で品薄になったときは粉から作れるように素材も準備するようになりました」

今でもTikTokでウケる動画を撮影し続けている二人ですが、何より感じているのはTikTokとグルメの相性のよさだといいます。

どんな動画がヒットするのでしょうか。

「おしゃれというよりも驚きを生むのがポイントです。TikTokでは『おいしそう』という感想だけでなく、『おもしろい!』『実際に見てみたい』『二人に会ってみたい』というコメントがとても多いんです。実際にお店に足を運んだ人は『意外とおいしいですね』と、びっくりされることもあります(笑) 」(足立さん)

これだけ集客に貢献しているお店のアカウントですが、他のSNSのフォロワーを増やすうえでも大きくTikTokは貢献しているそうです。

「ここ最近はお客さんの8割がTikTokを見て来てくれた人たちです。でも、これは店舗だけじゃないんです。以前、インスタのフォロワー数を増やしたくて、インスタをフォローしてくれたお客さんには50円トッピングが無料というキャンペーンを実施したところ、たった数週間でフォロワーが500人から3000人まで一気に増えました。実は、フォローしてくれた人はほぼTikTok経由でした。SNSもTikTokが最初の入口になっているのは驚きました」

ほかの飲食店がTikTokを始めるなら?

では、ここまでTikTokからの集客が多い理由はなぜだと考えているのでしょうか。

「やはり、TikTokは『おすすめフィード』にのると一気に多くの人に見てもらえる点が魅力的です。そのため、小さな飲食店のアカウントでも、最初の投稿でもバズりやすいんです」

飲食店がTikTokアカウントを始めるならば、どんな動画を投稿すればよいのでしょうか。

「やはり、その飲食店特有の投稿が向いていると思います。お寿司屋さんならば、普段見れないシーンを撮るとか。厨房で魚をさばいてるところや、海苔を炙っているところなど。鯛焼きや屋さんならば、あんこを見せるとかですね。おしゃれかどうかよりも、普段あまり見れないおもしろいシーンを収めた動画がTikTokで好まれます」

「おいしそう」よりも「おもしろい!」。

そんな視点を取り入れることで、小さな飲食店も大きく集客できる。

就職を選ばなかった二人が始めたお店は、これからもチュロス屋さんの行列のように長く長く愛されていくのではないでしょうか。

【今回のまとめ】

・TikTokグルメでは、「おいしい」ではなく「おもしろい」動画がウケる!
・そのお店や料理ならではの普段見られない「裏側」を見せよう
・ほかのSNSのフォロワ―を増やしたいときはTikTokを入り口に活用しよう!

クリエイタープロフィール

CHURROS AVENUE

横浜の大学に通うカップルの2人で、2020年夏頃よりキッチンカーのチュロス専門店をオープン。「夢を届けるチュロス屋さん」をテーマに活動。フォロワー数約3万人のTikTokでは、視聴者の夢を応援するコンテンツを投稿中。

禁無断転載

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