あの教育評論家・尾木ママが74歳でTikTokクリエイターになってわかったこと。「尾木ママ」をTikTokで初めて知った人も<教育評論家・法政大学名誉教授・尾木直樹さんインタビュー>
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あの教育評論家・尾木ママが74歳でTikTokクリエイターになってわかったこと。「尾木ママ」をTikTokで初めて知った人も<教育評論家・法政大学名誉教授・尾木直樹さんインタビュー>

TikTok Japan【公式】ティックトック

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“尾木ママ”こと教育評論家の尾木直樹さん(以下、尾木ママ)。

実は、メディアで活躍する一方で昨年からTikTokを始めていたことをご存知でしょうか(@ogimama_official)。

TikTokの存在は知っていたものの、TikTokを始めるまでは「若い人の広場だと思っていた」という尾木ママ。

「TikTokって、若い人たちが踊ったり歌ったりする広場のようなSNSだと思っていました。でも、始めたら全然違っていて。中高生だけじゃなくて、その親世代の方もたくさん使っているんですね」

現在ではほぼ毎日投稿を続け、フォロワー数5万人を突破する人気アカウントに成長しています。

来年75歳となる尾木ママは、なぜTikTokに“ハマった”のでしょうか?

インタビューでは、「テレビに出ている人こそTikTokをやる意義がある」など、芸能生活も長い尾木ママの示唆に富むコメントがたくさん出てきました。

法政大学を離れて尾木ママに生まれた危機感

TikTokを始めた背景にあったのは、尾木ママに最近起きた大きな変化でした。

「44年間教員をやっていましたが、2017年に法政大学を定年退職した後は大学で教えることもなくなり、結果、学生たちとの接点が薄れていきました。子どもや若者の声の代弁者を自負する教育評論家なのに、子どもたちや若い人たちの悩みや本音、考えていることが肌感覚でつかめなくなってしまって。これにはかなりの危機感を持ちました」

こうした状況の中、「これは困った!」と周囲に話していたタイミングで誘われたのがTikTokだったそう。

「とにかく若者の世界に入ってみたい!と思って始めたんです。あれは2020年10月のことでした。ボク、歌ったり踊ったりは出来ないから(笑)最初は得意な子育て相談から始めてみたんです」

それから、さまざまなテーマで投稿を続けていった尾木ママ。

すると、次第に動画に反響が出てきました。

「『賢い子どもを育てる尾木ママメソッド』というシリーズは再生数と『いいね』がともに多かったです。特に、コメントを一つ一つ読んでいると若いお母さんたちが書いているコメントがたくさんあって。みなさんボクのことを身近に感じてくれたのか、深刻なことから些細なことまでいろんなことを質問してくれるんです。それに答える形でまた動画を撮って…の繰り返しです」

もちろん、これまでも子どもの子育てや教育に頭を悩ませている親御さんたちからの相談に講演や著作の中で答えてきた尾木ママですが、TikTokではその質問のジャンルに大きな違いを感じているそうです。

「とっても身近な話題が多いですね。寝ない、起きない、食べない、勉強しない、といった話題から、動画で『ママはこうしてください!と言ってるけど、じゃあパパはどうしたらいいですか?』とか、こっちが想定していなかった素朴な質問もたくさん出てくるのがTikTokの面白さですね。その意味で本当にリアルな声が拾えるというか。よいツールに巡り会えたなと思っています」

そんな尾木ママのTikTokには、“SNSにつきもの”と思われがちなあるものがないそうです。

「TikTokを始めた、と言うと、みんな心配してくれるんです。辛辣なコメントを書かれたり、傷つくようなことを言われたりするでしょうと。でも、僕のコメント欄にはそういう悪口コメントがほとんどないんですよ。これには法政の教え子たちもびっくりしていました。最近は、テレビでもSNSでも有名人が叩かれたり、「炎上」したりしているニュースを見かけるけど、今のところTikTokではそういうのが一切ないわね。TikTokではとにかく1分間で話をまとめないといけないから、尾木ママの話はわかりやすいな、なるほどな、尾木ママも結構頑張ってるな――と思ってもらえているなら嬉しい限りです」

「時間があっという間!まるで本当の授業をしているみたい!」

これまでインスタグラムやブログでも発信してきましたが、TikTokについてはこれまでよりも大きな変化を感じているそう。

「他のSNSに比べて、圧倒的にコメント数が多いんです。まるでQ&Aコーナーみたいにみなさんからの質問が届くので、若いママやパパたちが悩んでいることや今の学校現場の様子を知るのにコメント欄はとても参考になりますし、ボクにとっては貴重な“データベース”ですね」

そんな質問が生まれやすい背景として、投稿する動画が常に子どもを抱える親御さんや当事者である子どもたちから関心度の高い内容を投稿していることも関係しているようです。

「『自己肯定感の高い子どもの育て方』だったり、『黒髪を強要する学校は世界の恥です!』など教育に関する様々なニュースに対する見解を話したりしています。一本投稿するとまた質問がばーーーってくるんですよ。過去2回ライブ配信をしたのですが、こちらも質問が止まらなくて、時間があっという間!まるでほんとうに授業をしているみたいでとっても楽しいの!」

「1分以内で話すなんてできるの?」と思っていたけど…

とはいえ、TikTokは初めて使うプラットフォーム。

これまで論文や書籍で長い論考をまとめてきた尾木ママにとって、1分以内で話すことはできたのでしょうか。

「そうそう!最初は1分間にまとめて話すなんて無理じゃないの〜?って思ってたんです。でもね、考えて考えて本当にエッセンスだけに絞っていくと、これが意外なことに伝わるんですよ。重要なことも1分あればエッセンスは充分伝わるという事実。これには驚きました。あと見せ方という点では、TikTokの人気クリエイターで『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系列)に出ている重太みゆきさんの投稿を参考にしたりして、TikTok用の話し方というのも研究しました。何事も挑戦してみることが大事ですよね!」

実は尾木ママ、投稿する以外にもTikTokの動画投稿を見ることも好きなのだとか。

「重太みゆきさん以外にはテニスの大坂なおみさんも大ファンでよく見ています。恋人が動画内に出てきたり、ファッションやメイクを楽しむ彼女のちょっとした日常が垣間見えたりして、テニスだけではない等身大のなおみさんや彼女の人間性がよくわかります。ああいういい意味での気楽さがあるから彼女は強いのだと思います。あとはNiziUも!オーディションからずっと見ていたので応援しています。縄跳びダンスは何回も動画を見てこっそり練習もしてみたけど難しいわね(笑)市川海老蔵さんもTikTokの使い方が上手いですよね」

「尾木ママ」をTikTokで初めて知った人が出てきている事実

これまでテレビに多く出演する機会が多かった尾木ママですが、TikTokは彼に大きな気付きを与えてくれました。

「尾木ママをTikTokで初めて知りました!っていう人がけっこういたんですよ。これには驚きました」
「ボクが『尾木ママ』としてブレイクしたのが今から10年ほど前、62歳のときに突然『尾木ママ』になってバラエティ番組に出るようになったんです。そうですね、いまで言うフワちゃんみたいな人気かな?(笑)。『ホンマでっか!?TV』で明石家さんまさんに『尾木ママ』と命名してもらってから、あれよあれよという間にどんどん人気が出て、年間300本以上テレビに出演し、本を出したり、地方で講演会を開催すると6時間以上前から並ぶ人がいたり、本当に大フィーバーだったんです」

ところが。

「当時と比べると今はバラエティ番組に出る機会は減ったんですが、それでも情報番組を中心にずっとテレビには出続けているので、わりと知られているかなと思っていたんです。ところが今の子どもたちはテレビをあまり見ないし、年齢的に尾木ママがブレイクしていた頃も知らないんですよね。TikTokで『尾木ママって昔テレビにも出てたんだ』っていうコメントが来たときには、TikTokは子どもたちにとって、ボクらのテレビみたいな存在なのかなって思いました」

そこで尾木ママが気付いたこと。

それは…

「テレビに出ている有名人、特に文化人こそ、TikTokをどんどん活用すべきなんですよね。テレビに出ているからといって、子どもたちや若い人たちに知られているわけではない。だから文化人が“若者向けのテレビ”としてTikTokを使うのは大いにありだと感じてます。最近はボクがテレビに出演すると、すぐにTikTokの方に『テレビ見ました!』とコメントや感想が入ってきます。さまざまなメディアを組み合わせることで、今という時代をより深く知り学ぶことが出来るようになりました。リアルタイムでリアルな反応を掴めるというのは、視聴率頼りだったテレビ局やテレビに出演している人にとっては新鮮でもあるし、すごく魅力的なことじゃないでしょうか。最近はTikTok発信で流行する歌も増えてますしね」

つまり、テレビとTikTokは相互補完的な関係にあったのです。

「尾木ママは、最先端の情報をなぜ知っているんですか?」と質問される

そんな尾木ママに、最近の教育問題で気になっていることを聞いてみました。

「最近、悲しいニュースがありました。コロナ禍で子どもたちの自殺者の数が増えているんです。2020年に亡くなった小中高校生は499人に上ります。子どもたちがなぜ自ら命を絶たなければならなかったのか――。それに対しボクが伝えたいことをスピーディに、そして直接、子どもたちや若い人たち、親御さんたちにメッセージを伝える手段としてもTikTokは有効ですよね」

(時事問題に関する投稿も積極的)

こうした時事的なニュースのほか、教育現場で起きていることに対しても意見を伝える場として“視聴者”と“情報源”の両方が満たせる存在であるTikTokは、いまの尾木ママにとって重要なツールだったのです。

「TikTokのコメント欄を見るだけで全国の教育現場の情報がつかめるんですよ。コロナ禍で修学旅行やさまざまな行事が中止や延期になっていますね、と投げかけると、それに対しては『うちの息子の学校ではこうでした』『私の学校は県内でやりました』などとすぐコメントが集まる。そのコメントを見て、情報を調べて『こういう方法を取っている学校もありますよ』と再度投稿すると、さらに他の地域の生徒さんや親御さん、教員の方が見てくれて『参考になりました!』『うちの学校も真似します!』とコメントが入る。コメント欄の中でユーザー同士が情報交換をしたり、勝手に意見交換をしたりしている。尾木ママの掲示板はデータベースにもなるし、知恵袋にもなるんですよ(笑)」
「他には、ブラック校則の問題に対しても全国のいろんな学校の事例が集まってきます。コメント欄を見ると本当にひどいものが多いんですよ。たとえば、トイレに行くと欠席扱いにする学校があったり、いまだにツーブロック禁止の学校があったり。ツーブロック、かわいいのにね(笑)」

このように、現場の声を365日集めていると、テレビで取材された際に「尾木ママは、最先端の情報をなぜ知っているんですか?」と質問されることも多いのだそうです。

「それはTikTokで発信して、コメントを見ているからですよ。今の子どもたちや若者たち、そして保護者のリアルな声を知ることで現場感覚を毎日アップデートできるからです」

たとえば「TikTokがなぜ流行ってるんですか?」という質問にも即座に答えていただきました。

「TikTokは簡単に自己表現できるからなんです。ダンスでも歌でも変顔でも子どもたちは自分を表現して世界に発信したいんです。昔は学校や地域コミュニティがそうした役割を担っていたのですが、最近では学力向上を目指し文化祭や運動会などの学校行事がどんどん削減されています。また昨今のコロナ禍でさらにその機会が減りました。いわばリアルで実施することが難しくなった合唱コンクール等の行事を機能的に代替しているのがTikTokなのかもしれません。子どもにとっては仲間たちとの居場所であると同時に、作品発表の場であり、自己表現の場なんです」

なるほど!

まさに、大学からTikTokという“現場”に身を移し、当事者の声に耳を傾けてアウトプットする。

その繰り返しこそがいまの尾木ママの鋭い本質的なコメントを生んでいるようです。

【この記事のまとめ】

1・“現場の声”を集めるデータベースとしてTikTokは有効
2・テレビに出ている尾木ママを知らない中高生も大勢いる。だからこそTikTokは新たな認知ツールとして機能する
3・“1分で重要な事だけをまとめる”ことができるようになる。特に書籍や長い論考を出している文化人こそ思考訓練の場としてTikTokを活用してほしい

クリエイタープロフィール

尾木ママ

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1947年滋賀県生まれ。中学、高校の国語教師を22年間務めた後、法政大学 教授など22年間大学教育に携わる。臨床教育研究所「虹」所長として、教育・ 子育てに関する調査・研究、評論活動を続ける。『こわい顔じゃ伝わらないわよ 尾木ママの子育てアドバイス』(新日本出版社)など著書多数。 

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