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〜不定期連載・取材後記〜「2022December取材後記:オチアイ・リク」

今回の取材後記は柏レイソルの2023年新加入内定選手である東京国際大学サッカー部・落合陸選手のインタビューをお届けいたします。

「オッチー」こと落合選手は柏レイソルアカデミー出身のMF。1999年生まれ組ですから、柏レイソルで云えば、GK猿田遥己選手やMF加藤匠人選手、他クラブ所属ですと、先ごろジュビロ磐田への復帰が発表された中川創選手や相模原SCでプレーする田中陸選手と同期となります。今思うと、この世代は「超」が付くほどの個性派世代でした。

柏U-18時代の落合。加藤や猿田。山田や森、杉井も。

育成年代の落合選手は攻撃的ないわゆる「10番タイプ」の選手でした。テクニックがあって、ユニークなアイデアを持っていて、ボールタッチの多い選手。攻撃でのチャレンジに対する関心が旺盛なアタッカーでした。当時のレイソルアカデミーのスタイル下では中盤やサイドでプレーしていましたが、学年を重ねるごとにピッチ狭しと走り回る献身的なハードワーカーへの変身を見せてくれたあたりでレイソルを巣立ちました。

また、初めて顔を合わせたジュニア・ユース時代には、目も合わせてくれなかったという思い出が今も忘れられませんが、柏Uー18チームで古賀太陽世代と合流する頃には何度か訪れたチームの危機に対して、「このチームをなんとかしないと!」と強い責任感を全身から放つなど、選手として、1人の青年としての心身ともに成長を見せてくれたことも忘れていません。

少しずつ生まれたリーダーシップは今や落合の特長

2021年に加入リリースが出てしばらくした頃、アカデミー現場で布部陽功GMにお会いした際に「オッチーは『タレント』です。元々持っていた能力に、大学で力強いものを足していますよ。機会があれば、ぜひ観に行ってみてください」と言われて以来、なかなか東京国際大学の試合会場にはお邪魔できませんでしたが、全日本大学選抜やルヴァン杯でプレーする姿から、「仕上がってきているな」と感じてはいました。それはまるでアカデミーを巣立つ手前のハードワーカー型のアプローチでした。次に会えたら、そのあたりの意図などを掘り下げてみたいなと思っていました。

そして、ようやく、大学サッカー生活最後の試合となった第71回全日本大学サッカー選手権大会・桐蔭横浜大学戦に滑り込みで駆けつけることができました。今回の取材後期は流通経済大学龍ケ崎フィールドにて収録しました落合選手のインタビューをお送りいたします。

では、どうぞ!

2022年は特別指定選手として日立台へも帰還

(2022年12月18日『MCCスポーツpresents第71回 全日本大学サッカー選手権大会』3回戦・流通経済大学龍ケ崎フィールドにて収録)
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インカレ・桐蔭横浜大学戦は前線で奮闘も惜敗

◆落合選手、本日のインカレで大学サッカーキャリアが終わりました。いよいよ年が明けると、「柏レイソル・落合陸」としてのキャリアが始まります。きっと、ここに収まるはずもないかもですが、この4年間はどのような時間となりましたか?

落合:今日の試合で東京国際大学サッカー部としては「引退」となってしまったのですが、この大学へ来てプレーをできて良かったなと心の底から思える4年間を過ごせました。
これから柏レイソルでプロサッカー選手になりますが、自分には「日本代表」という目標があるのですが、そこへ向かうために自分の能力や不足していた能力へをプラスしていく良い準備ができたと思っています。今まで経験してこなかったタイプのサッカーを東国大で新たなサッカーに触れて、学べたのは自分にとってすごく重要な経験でした。これからレイソルで戦っていくために必要なことばかりでしたから。


◆特に今季は大学リーグの方で上位争いを展開するなど、客観的に見ても、また、その成績や大学を離れたところでも充実したシーズンだったと思います。落合選手が得たという「これから戦っていくために必要なこと」に興味があります。大学リーグでは何を得ましたか?

落合:守備の重要性については自分の中に以前からあったものでしたが、強度の出し方や守り方全般への関わり方が理解できましたし、試合の中で上手く出せるようになったと思うし、攻撃面でも試合や相手の流れを読みながら存在感を出しながら戦うことをプラスできたのではないかと思います。
レイソルで今後プレーするために、チームの勝利のために、自分にも「もっと何かできることがあるのではないか?探していこう」と思いながら、この一年間準備をしてきたつもりです。
技術で相手を上回って試合を支配しても勝てないという現実は大学リーグでも学んできた。「じゃあ、選手たちに何が必要なのか」ということの答えは、来季レイソルで出していきたいと思っています。

試合中の会話の多さは相変わらずだった

◆アカデミー時代の落合選手は10番を付けて中盤や攻撃的な仕事を担う選手でした。2022年は大学や全日本大学選抜チーム、そしてレイソルでの出場機会を見て、やや深めのポジションからプレーを始める印象がありました。話を聞いていると攻守におけるハードワークの質に可能性を見出しているようにも聞こえます。どのあたりを肉付けしたのか、またそれによりどんな貢献をしたいのか。ヒントになりそうなキーワードはありますか?

落合:キーワードですか。やはり、そこは自分に期待をかける意味でも、「すべてにおいて」としておきたいと思います。
プロサッカー選手は基本的にチームの中のすべてに対してプラスになる存在でいなければいけないと思っていますし、それができないのなら、自分は柏レイソルへ入団していないです。キャンプからできる限り良い状態で臨んで、開幕を迎えたいです。

◆落合選手の気概に期待してしまうのは、全日本大学選抜チームで臨んだパリ五輪代表とのトレーニングマッチでの大活躍があります。とはいえ、あの試合は一般非公開の試合だったので、このインタビューを読んでいる方々への説得力は不十分かもですが、少なくともあの個性的なエリートたちとの対戦で、彼らを凌ぐその実力を見せつけていましたよね。そして、試合は完勝。ただ、あの姿と落合選手の理想像は少し違う気もしてきました。

落合:ありましたね。あの夏の全日本大学選抜での試合は楽しかったですし、少し出来過ぎなぐらいの試合でしたね。ボールが面白いくらい集まって来て、よく回って楽しい試合をできましたが、あの試合は自分の理想とは違いますかね。
カタールW杯を見ても分かるように、現代サッカーはより高速化していて、FWも積極的に守備することが求められている。その変化が明確になってきたと思います。その傾向の中で自分がレイソルで何をできるのか、すべきなのかを探していました。
本来やりたい得意なプレーと求められるプレーのギャップは当然あるし、今季のルヴァン杯でプレーした際にはチームが求めることを優先して、自重するところもあった。
でも、「それが嫌だ」というわけではなく、その経験は大きかったなと思いましたし、それを機に自分に必要なものを探していたし、あの頃より、メンタル的にもフィジカル的にも頭の中の戦術理解度的にも上積みできているし、自分のやりたいようにプレーできるなんてシチュエーションなんてなかなかないですからね。あの大学選抜での試合は良い思い出ではありますけど、自分の理想ではない。
それよりも「『ネルシーニョ監督やチームの要求に常に対応できる選手になるために』という意識を持って、大学リーグで戦いながら、その準備をしてきました」といえばいいかもしれません。

面白いように相手陣内を切り裂いた全日本大学選抜

◆なるほど、「まぁ、ピッチでのオレを見てくれ」と。イメージとしては、「レイソルアカデミー卒の落合陸」というよりも、「大学リーグ経由でプロ仕様化した落合陸」としてレイソルに加入するイメージなんですかね。では、最後に落合選手の「意気込み」をください。来季のMF陣は激戦必至のホットなポジションですし、きっと今だから誓えることや言えることもあるでしょう。

落合:レイソルを巣立っていった自分が全く違う場所へ飛び込んで、レイソルを巣立った頃より成長をして、自分が育ち、見ていたレイソルとはまた違うレイソルを作り上げる役目を担いたいです。今季で大谷(秀和)さんは引退されましたが、大谷さんの目の前でJ1リーグ優勝をしたり、ACLやクラブW杯を戦いたいです。
自分以外の新加入選手を見てみても、中盤の競争がより一層激しくなるのは明らかなことだと思う。また、ネルシーニョ監督だからこその激しい競争が起きていくと思うんです。まずチームの中で上を目指す競争というものがあって、その競争からチームがリーグでの競争で勝ち残ることで上へ進んでいき、チームが強くなっていくと思うんです。自分はその競争の中に飛び込んでいく立場ですけど、ビビることなく、自信を持って戦っていきます。
そう練習から取り組んで、自分のことをら知ってもらうことから始めて、スタメンを勝ち取りたいですね。

いわゆる「10番」タイプからどんな進化を見せるか



インタビューは以上です。

話をしながら、正直、今からそんなに気合入っていて大丈夫?と思うくらい頼もしかったですし、文中にもありましたが、「レイソルへ帰る」というよりも、「レイソルで勝負をする」という強い気持ちを感じました。それに「探していたものの答え」も気になります。これらは今後、「人工芝G発大学リーグ経由」組のスタンダードとなり得る思考なのかもしれません。いずれにしても、落合選手、楽しみな存在です。

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