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佐原チハル@趣味小説置き場
2015年4月28日 21:34
浮気の理由は「あんたが構ってくれないから」としか答えられない。温もりの消失に耐えきれないのだ。昨夜は缶コーヒーを奢られた…130円が、俺の値段だ。けれどあなたはそんな俺をまた抱きしめてくれるから、胸が苦しくて、不自由な呼吸が嬉しくて、堪らなくなってしまうのだ。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年4月28日 21:25
なんで浮気したんだと尋ねれば、返ってきた応えは「だってあんたが構ってくれないから」だった。おおよそ恋人にするには不似合いな男。「そうか…悪かったな」けれどそう言って謝れば、赤い顔で涙目で唇を噛み締めて震える。彼を手放すことなど、もう考えられもしないのだ。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年4月28日 21:19
風呂好き・温泉好きが高じてくっついた俺らだが、最近はよく意見が割れる。「何で浴槽のサイズでばかり風呂をか語るんだよ! それやめろ!」そうは言うけど、でもな。狭いと、中で抱き合えないじゃないか。そう伝えるのは気恥ずかしくて、このところ目下の、幸せな悩みだ。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年4月28日 21:18
声を聞くと嬉しくなる。目が合うだけで鼓動が早くなる。触れれば悦びが込み上げ、触れられれば腹の奥が疼く。きっと細胞の一つ一つ、DNAの構成レベルで、僕はそんな風に作られているのだ。「DNAにそんな機能などない」なんて言いながら、頬を赤くしている君に今日もキスを。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年4月24日 22:04
難しい恋をしている。「好みのタイプ? 面長で、毛は茶色で目のクリッとした…あぁでも一番は、走っているときの力強さとか…」「馬じゃなくて」「馬じゃなくて? え? じゃあ何?」思考の3分の2をダービーに費やす彼の視界に入るには、どんな人参になればいいのだろう。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年4月24日 21:12
ただの酒好き。ただの酔っ払いだった俺。「ここの地ビールは、地産品との飲み合わせが考慮されていて素晴らしいね!」地ビールおたくのあなたに惚れて、悪趣味な酒の強さはツールとなり、酔い潰れる醜態いは晒せなくなった。あなたの前では、いつも酩酊状態だというのにね。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年4月23日 17:46
「お前ら夫婦みたいだな」「もう結婚しちまえよ」言われるたび、彼は笑いながら「そうだな」と答えて、俺は笑いながら「ふざけんな誰がこいつなんかと!」と答えた。彼の言葉が、本心からのものならどれだけよかったか。俺の言葉が、本心からのものならどれだけよかったか。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年4月22日 16:50
「あんたの、本当の気持ちが聞きたい」いくら思っても、彼がそうしてくれることはない。彼は、俺のものではないから。一生かかっても稼ぎきれないだろう、眩むような数の札束で、彼の身は綺麗に飾られている。彼は、札束の主たちの物だ。望むことすら許されない高みの人。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年4月20日 12:56
久しぶり。いかがお過ごしですか?僕は、まだ君が地元に帰ってしまった実感がえられず、不思議な気持ちでいます。そして。必ず帰ると言ってくれたのにごめん。僕もここを去ることにしました。メールではすぐに届いてしまうので、手紙にします。今までありがとう。さようなら。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年4月20日 12:54
生き物を飼うのも楽じゃない。エサ、糞尿、散歩の世話。時には可愛がってやる必要もある。「可愛らしいイヌですね」別の飼い主とすれ違って挨拶。「ご主人様…」許可もせず言葉を発したイヌの首輪をグッと引く。躾もしっかりしなければ。まったく、飼い主も楽じゃない。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年4月20日 12:53
豪快に食べる姿が好き、なのかと思っていたけれど。舐めるように酒を飲む、その口元から覗く歯を見て思う。(俺、その歯が好きなんだな…)身体のわりに小さい、つるんと白い前歯。綺麗な歯並び。「俺のオレにその歯を立てて舐めしゃぶって欲しい」口に出せない想いが募る。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年4月17日 23:45
昔から、人の手の感じられる料理が苦手だった。おにぎりなんかはその最たるもので、まさに論外。だから、驚いたのだ。彼の手でベタベタと形成された五平餅を、食べたいと思った時。「…」おかげですぐに気づくことができた。食べてしまいたい程、僕は彼に恋をしていたのだ。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年4月16日 20:08
大志、と言うには大袈裟な、けれど僕には夢がある。好きな人と、手をつないで一緒に歩くこと。ネズミの国みたいなデートスポットを、いつか、君と。そう伝えた夜のことだ。「あー、じゃあ、行く…?」あんな場所、少しも好きじゃないくせに!何だかもう、夢の叶った気分だ。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説
2015年4月16日 19:53
夢と魔法の国に魅力など感じてなかったし、冒険とイマジネーションの海にも興味はなかった。「あ、のっ…ま、また行こうな?!」だと言うのに今、君の前で僕はこんなことを口走っているし、君が笑ってくれるから、ねずみの国だって愛せる気がする。そんな気がするんだ。 #記念日BL #小説 #短編小説 #超短編小説