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いくつかの視点でバランスを取る

例年になく雪が降り始めるのが遅く、今年はもう降らないのでは?と心配してしまうくらいだったが、ここ数日一気に降った。毎朝の雪かきのせいで朝イチのミーティングはだいたい息切れしている。「雪なんて降るな」と思うこともあるが、良い雪でスキー&スノーボードができるのはやっぱり気持ちがいい。

そんな年末に、所属しているフルリモートデザインチームのGoodpatch Anywhereが主催するイベントに登壇してきた。

テーマは「地方×デザイン」。地方在住メンバー3名で話し、学びあり&共感ポイントたくさんのとても良い時間だった。まだまだお話してたかったなぁ…。せっかくなので僕がどんなことを話したのか紹介したいと思う。

【Local × Design】
田舎はブルーオーシャンだ。

まず前提として、僕は地域おこし協力隊として喜茂別町に移住してきた。なので、本業のデザイナーとして関わり始めたわけではなかった。そんな僕が地域で活動し始めてまず感じたことは、解決しないといけない課題はたくさんあるけれど、それを主体的に解決できる人が地域内に圧倒的に少ないということだった。そういう場合、多くの地域は外部人材を活用する。しかし、課題の本質を知るには地域を知らないといけない場面も多く見聞きしてきた。やっぱり地域のことは地域内の人が解決することが大切なのだ。

そこでまずは僕が考えたのは、地域内に面白い人を増やすことだった。そのために大切にしたポイントが
・チャレンジしたい人を応援する
・「やりたい」に巻き込まれる
・作る楽しさを感じてもらう

こと。

その拠点として、2019年5月に「人・もの・情報が集まり、新しい“なにか”が生まれる場所」というコンセプトのシェアスペースをオープンさせた。

これまでも飲食店のテスト営業やお菓子販売、イベント利用などを通じ地域との接点を作ってきた。そして、そこから生まれたのがKIMOBETSU Foodiesというフードロス問題に向き合う団体。このプロジェクトは地元農家さんの「農業から喜茂別を盛り上げたい」「自分の作った野菜が出荷されずに廃棄されていくのをみているのが辛い」という想いに“巻き込まれる”ように始まった。

そうやって実際に地域に根付いて活動していくなかで見えていくこともあった。それは、目の前のひとつひとつの課題にだけに向き合っていても部分最適にしかならず、全体最適が難しいということ。

じゃあそれをどう解決するか?ということが次の課題になってくる。理想を言うと、町政に絡み、最上流から全体俯瞰をすべきなのだろうが、僕にはそこまでできない。そこで考えたのが、目の前の課題を解決することで他の課題も解決するエコシステムを構築することだった。

上図は一例だが、拠点となるシェアスペースに集まる人を巻き込み、困りごとを解決のためのプロジェクトを立ち上げる。それらを外部に向けて発信することで新しい人やモノ・コトが集まってくる。そこに集まった人で新たな課題と向き合う…という循環モデルを作ることができれば、地域の課題を地域内の人で解決できる。そして、その輪が少しずつ大きくなっていき、解決できることの幅が広がっていくのではないかと考えた。

さらに、そのような課題を整理して地域にある“あたりまえ”を再発掘 / 再定義するためにひとつひとつを仕組み化し、誰でも使えるフレームワークへと落とし込んでいくのも大切で、その過程でデザイン的思考を活用していきたいと考えるようになってきた。

【Local × Anywhere】
中庸であることで、それぞれを補完する。

もうひとつお話したのは、僕の働き方について。いま僕は喜茂別で地域に根付いた活動をする傍ら、フルリモートで東京や札幌のIT企業をデザインという手法を用いてお手伝いさせてもらっている。

僕は田舎と都市のふたつの軸でお仕事をさせていただいて、どちらも良し悪しが見えやすい環境にいる。ちゃんと向き合うなら軸足を決めるべきだという意見もあるかもしれないけれど、僕はあえて軸を絞らずにどちらにものらりくらりと関わることで見えることもあると考えている。どちらかに寄るのではなく、どちらにも寄らずバランスを保つこと。それが地域でチャレンジし続けるための方法なのかもしれない。

【Local × Future】
誰もが「自分らしく暮らしたい」の選択肢のひとつとして考えられるようになる。

最後にお話したのは地域の可能性について。コロナ渦において、これまでは一部の人たちしか実践できていなかったリモートワークの可能性は広がった。これからは好きな場所で好きなコトをしながら暮らしていきたいと思う人が増えるはずだ。そうすることで働き方や暮らし方に多様性が出てくる。ひいては、それが子どもたちの将来の選択肢が増えることにつながるのだ。

だから僕はその受け皿として子どもたちが将来「帰ってきたい」と思える地域を作りたいと思うし、そのためには地域にある課題に向き合い、都市部と田舎の機会格差をなくしていかなければならないと思っている。それが仕事なのか教育なのか医療なのか…そのタイミングで求められることはさまざまだが、それらを解決するために地域が実証実験の場になっていけばいいと思う。そしてその課題をGoodpatchのようなデザインファームやIT企業を巻き込みながら、テクノロジーで課題解決ができればいいし、他の地域へ展開し、そこで得た知見を自分の地域に還元するような流れが相互にできれば面白いなと思っている。

視点をいくつか持つこと

イベント登壇を通じ、この数年取り組んできたことを振り返ってみた。そこで改めて感じたのは、地方⇄都市 / マクロ⇄ミクロ / 抽象⇄具体…複数の視点で物事を立体的に捉えることの大切さ。そして、今回、一番良かったは、地方在住者でありながらそれぞれに立場によって地域の見え方が違うことに気づけたことだった。

まだまだどの構想も具体的なアクションもうまくいっているとは言えないが、これからも周りの方々を巻き込み、巻き込まれながら試行錯誤していきたい。

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