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僕たちオブザ・デッド

冬の到来がまた一年たったなって思わせてくるから腹いせに俺は歳を経った気がしないフリをするんだ。

生まれて
生きて
から
死ぬまでの
暇つぶし

そう、文者の後輩が言っていたな
あの頃は若くってさ、一緒に飲んでた若輩者たちはあーでもないこーでもないと、
小さな炎上をさせていたよ。

あれは荻窪の日雇いバイトに深夜に行った終わりの打ち上げだったな。

俺たちはひとりだし、そもそも寿命もなんとなくしってる。
この間駅のエレベーターで一緒になった乳母車にのった赤さんと目があったんだ。
赤様は俺のことをきょとんとした目でみていて、
それを見つめ返してしまった俺はエレベーターを降りた後にこう思った。

あの子が俺の歳になる頃に、俺はもう米寿に近いんだなって。

そう思った瞬間になんか、わかってしまった気がしてしまった気がした。

そうやって、父も母も先生も上司も過ぎていくんだなと。

俺たちオブザデッド。

さようならの為に良い意味で生きているんだ。

だから明日も日々の止まり木。

お墓は必要あるのかどうかね?
世界が許せば散骨でもなんでももいいやね。

人は死を知らないふりで瞬いて生きる。

あー、13年生きた愛犬に、25年生きた年上の老猫たちよ。

俺は世話しなかったからどうでもいいけど、一緒に生きてきた両親の事は迎え入れてくださいな。

死ぬ時に一番愛くるしいのは
いままで一緒に育ててきた動物たちに迎え入れられることだろうな。

そんなことをふっと思った。

新規。20240210電車の中

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