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セカンドチャンス by アニー ⑸


あけましておめでとうございます。
この一年も人間や動物のドラマを書いていこうと思います。どうぞよろしくお願いいたします。


ナレーション:アニー🐶

新たに家族の一員となったデュークと、3匹+人間での行動が増えました。動物も人間も同じで、自分がいたい場所では自分に出来ることを色々考えて、役に立とうとします。

10.2か国語犬?
Are we bilingual?

時に人間はおかしな話に花を咲かせます。

「この家の犬はバイリンガル?」

とか言って驚いているのです。

「英語と日本語、どっちで話すの?」とか「どっちもわかるの?」

という会話をしょっちゅう耳にします。

日本語や英語の限られた言葉が、私達のコミュニケーションの方法だと思っていたら、それは違いますよ。それは人間からの一方的なコマンドで、暗号のようなものです。その音をいくつか覚えてしまえば物事は丸く収まります。それが日本語か英語かという区別は私たちにはありません。ただの音の違いです。もっと注意するべきことは、音のトーンやものの言い方です。

人間は何かを要求する時は、相手の目をしっかり見ながらシャキッとした声を出そうとします。たとえば「おすわり」と  ”Sit”  は同じ意味だと学習するにはそれほど時間はかかりません(個人差もあるかもしれませんが。)私にとってこの家は、前の家に比べるとあまりこれらの命令をされないので、こちらもあまり真剣に聞いていませんでした。

ところがデュークはこれらの命令をとても早く学習します。初めのうち飼い主は、デュークに英語で話しかけていました。デュークはアメリカ育ちなのでその方がわかると思ったのでしょう。”Sit” と言われればデュークは即座にそれに従いました。ところがそのうち飼い主は日本語と英語をちゃんぽんに使うようになりました。私としろみに「おすわり」と言って、デュークに ”Sit” と言うのを混乱したのか、デュークにも「おすわり」と言うようになりました。デュークは賢いのですぐにそれができました。その場合は音だけでなく状況も手伝います。2匹におすわりをさせていたら、何を要求しているのか犬には見当がつきます。デュークは聞いたことのない命令でも、飼い主の要求を読み取るのがうまいことは確かです。一方飼い主の方は、何語で言ったか次の瞬間には憶えていないのでしょう。デュークが何でもちゃんとやるので、問題になったことがないのです。

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デュークという名前も彼は2日で覚えました。(ちなみに私がアニーと覚えるまでは2か月かかったといって、いつもからかわれます。)あとは「だめ」と ”NO” が同じだということ。これは大抵口調や目つきでわかることです。私たち犬は英語と日本語の全部を理解することは無理ですし、その必要もありません。人間からのコマンドは両手に余ります。それさえマスターしてしまえば、次に大事なのは、会話のトーンから、自分に関係ある話かそうでないかを聞き分けることです。


たとえばその日ドライブに行く計画を立てているとしたら、耳を澄ましてよく聴いていた方が得です。それと同時に人間は何らかの行動に出るので ー ジャケットを出したり、飲み物を用意したり、靴を履き替えたり ー それらを繋ぎ合わせれば、言葉自体を知らなくても状況を読み取ることができます。

今日は犬たちを連れて行こうか迷っている会話だったら、はやり興味津々です。なんとしても連れて行って欲しいので、こちらにも方法があります。ペットドアから外に出て裏口で先に待っていて、しつこくお願いすると相手が折れることもあります。

命令でなく相手を観察しているうちに覚える言葉もたくさんあります。「散歩」「行くよ」「おやつ」「ドライブスルー」これらは楽しいことに関係するので、私達はすぐに覚えてしまいます。デュークはよく ”Good boy!” と言って褒められます。悪い事をすれば ”Bad boy!” です。
実は後で聞いたことですが、初めの頃デュークは飼い主の発音がよくわからず、どっちみち何語を話していたかわからなかったということです。。

人間同士で喧嘩をしている時の会話は、英語だろうが日本語だろうがすぐにわかります。たぶん人間が外国語で聞いても、私達の使う犬語で聞いても同じようにわかるでしょう。細かい内容をわかる必要は私たちにはありません。でも喧嘩をしている人達からは離れていた方がなんとなく安心なので、そういう時私はすーっとどこかへ消えます。逆にしろみは二人の間に入って甘えたり、ヘラヘラして機嫌を取ろうとします。彼は仲裁に入ろうとするのです。それが通じるのか、飼い主はそれ以上けんかを続けないこともあります。飼い主はしろみには目がないのです。

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11.IQテスト?

How dare you judge us with such a thing?

ある時飼い主は、私たち3匹のうち誰が一番賢いかテストをしようと言いました。
 散歩の途中で大きめの水溜りがあり、そこにいきなり棒切れを投げたのです。飼い主は何か言っていましたが私にはその意図がわからなかったので、何が起こるかのかな、とワクワクニコニコしていました。

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すると次はしろみに同じことを言って、また棒切れを投げました。しろみはそれを掴もうとしましたが、棒は水溜りの中を泳いで真ん中の辺で止まったので、彼は右に行ったり左に行ったりして、どうにか足を濡らさずに取れないものかと考えているようでした。

最後はデュークの番です。同じように棒切れを投げると、デュークは少しの間じっとしていました。そして棒がゆっくり対岸に向けて泳いでいることを見て取って、反対側に回り、棒が水溜りの淵に辿り着いたところを口にくわえたのです。

飼い主は大袈裟に驚いて、デュークを褒めちぎりました。そしてこのゲームはデュークの圧勝となり、彼は金メダルをもらいました。

デュークの元々の頭の良さは認めますが、これはとても不公平なテストでした。まず私は一番バッターだったし、こういうものは最後にやったものの方が有利です。他の2匹のした失敗を見ているわけだし、私などは自ら点をくれてあげたようなものです。飼い主は、

「アニーちゃんは可愛いからいいのよ。」

ですって!

本当に失礼しちゃうゲームでした。

逆にもし私たちが人間のIQをテストしたらどうなるでしょう。私達のコマンド(鳴き声)から、その意味を全て一発でわかる人は IQ が高いと認めてあげましょう。私達の考えていることはどうでしょう?私たちが今日食べたいものをわかる人はいるでしょうか?お腹が痛いのや、まだ寝ていたいのや、今日はどこへ行きたいと思ってるか、私が今どんな夢を見ていたか、そんなことを何でもわかってくれて犬語で答えてくれる、そんな IQ の高い飼い主だったらいいなぁ。。

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<つづく>

もしもサポートを戴いた際は、4匹のネコのゴハンやネコ砂などに使わせて頂きます。 心から、ありがとうございます