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セカンドチャンス by アニー ⑷

note にお住まいの皆さま、
大晦日の日本とその前後の時間帯に点在している方々、今年 note を始めて多くの人とお知り合いになれて本当によかったです。たくさんの(他の方に比べると決してたくさんではありませんが)方が5分10分を割いて記事を読んで下さっていることは、それだけで繋がりであり、ギフトを戴いているようです。
それぞれの思い思いの年末年始を穏やかにお過ごしください。


ナレーション : アニー🐶

一家のまとめ役でもあるお母さん犬のアニーと、犬とネコの子ども達、いつもみんな一緒です。


8.田舎暮らし
At the Foot of the Mountain 

そのお気に入りのアパートも、また引越しをすることになりました。どうして人間はたくさん引越しをするのでしょう。幸い我々犬は環境に順応しやすいたちです。ネコ達は新しい場所へ行くと、日課を綿密に決め直すようです。どこを通って、どの場所で昼寝をし、何時ごろ帰り、家の中でもそれぞれの陣地を決めているようです。私は基本的に飼い主の近くにいるのが好きなので、どこででも寝れます。

今度の家は日本にいた時の環境によく似ていました。夏は比較的涼しく、冬は寒い。でも日本の家に比べると室内は冬でも暖かく感じました。ここカントリーでは、近所を散歩する他に車での生活になり、ドライブというレジャーが増えることとなりました。

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車で10分程の所にあるハイ・ビューと呼ばれる所には、時間があるだけ連れて行ってもらえました。この大きな丘でできているちょっとした公園には、パブリックのプールやテニスコートの他に、キャンプやバーベキューの設備などがあります。誰もいなければリードを放してもらえ、駆け回ることができました。他の犬の散歩とかち合えば放してはもらえません。飼い主がテニスをしている時は、テニスコートのフェンス内で放してもらえる時もありました。最初は私たちとボール遊びがしたいのかと思い、よくボールを追いかけましたが、どうやら自分たちだけで遊んでいるようでした。

この公園は冬もまた楽しいものでした。除雪がしてあり車が入れる時は、少し奥へ行き、そりをして遊びました。みんなで一汗かいた後は、近くのデリでサンドイッチを買って帰ります。

この家は大きな庭がありましたが、フェンスはなく、タイアウトという長いロープに繋がれます。それでも20mくらいは自由に動けます。これで外にいたいだけいれたので、この家も好きでした。近所の家は比較的密集していて、子供もたくさん住んでいました。殆どの家がネコや犬を飼っていたので、いろんな動物や人間が横切り退屈しませんでした。

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↑ しろみ:そんなところで寝てないで早く~!


9. 新しい家族
Not So Welcome Addition?

ある日デュークがうちの新しい家族になった時は少し大変でした。デュークはある時、外にいたしろみと一緒に家へ帰って来ました。裏口のドアの前に並んで待っている2匹を見て、飼い主は驚いた様子でした。その時外は土砂降りだったので、
「雨が一段落するまでよ。」
と言われてデュークは裏口の付近に入れてもらえました。外では一緒に遊んでいたしろみも、デュークが家の中に入るのは嫌らしく、初めのうちは怒って吠えていました。裏口に紐で繋がっているだけでも、しろみはかんかんに怒って吠え続けました。でもデュークも譲らずに、雨がやみ、外に帰された後も、がんとしてこの家の子になろうとしました。私はデュークが一歩家の中に入って来た時から、あの子はこの家の子になりたいんだとすぐにわかりました。家の周りをぐるぐる回って、ドアをカリカリ引っ掻いたり、キューンと鳴いて中にいれてもらおうと嘆願しました。それが2-3日続き、飼い主はその執拗さに折れて、デュークをとりあえず裏口に紐で繋いで、中に入れてあげました。

でも彼女の夫は大反対でした。彼はしろみを可愛がっていたし、なぜかデュークは好きでないようでした。

「もう一匹なんてとんでもない!犬を捨てて来い!」

と言って、夫婦は毎日喧嘩をしていました。
デュークはしろみより一回り大きく、ビーグルとハウンドドッグのミックスのような容貌です。ビーグルの3色 − 白、黒、茶が入って、大きな耳は垂れ、体はスリムで顔と声はちょっと怖いタイプです。私は大歓迎でした。デュークは私から見ると男前だし、遊び相手が増えるのは楽しいことですから。

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夫婦はデュークをどうしたものか、しばらく困っていたようでしたが、そのうち正式に家族に加えてあげました。でもしろみはなかなか心を開かず、スキを見せませんでした。この2匹は遂に仲良しになることはありませんでした。でもデュークが、しろみがこの家では第一であると認めていたのと、飼い主がそれまでと変わらずに、しろみをナンバーワン扱いし続けたので、デュークは身の上をわきまえて、私達は表面的には平和にやっていくことができました。

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10.ネコ犬・しろみ
A Kitty-like Puppy, Egg White

しろみは犬としては少し変わっているところがありました。どちらかというとネコに似ていました。たとえばネコは自分の歩く所を慎重に選ぶ傾向があります。濡れている所や足の裏が汚れそうなところは避けて通るし、表面が温かいか冷たいかも選んで歩く傾向があります。細い所を通るのも好きです。しろみも同じように行動します。また私やデュークはどこででも寝れますが、しろみは決まった所でしか昼寝もしません。そして寝る時は必ず、上にかかっている布団やシーツや毛布をどけて、キレイな場所を作ってからその上に寝ます。猫たちと一緒に育ったので、ネコのやるのを見て覚えたのでしょうか。。朝、飼い主がベッドを直してもムダです。しろみが夜までにぐちゃぐちゃにしますから。

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⇑ この日のベッドはまだ無事だったようです。


またしろみは、他の犬がおトイレをした同じ場所にいるのが嫌でした。私やデュークが庭で用を足すと、それを片付けてもらうまで庭に出るのも嫌がりました。飼い主は長い間これに気付きませでした。どうしてこんなに広い庭があるのに、庭へ出て遊ばないのかと、随分嘆いていました。だから飼い主が次の家でとても大きなドッグランを作ってくれた後も、必ず外に散歩に行きたがりました。

ドライブは3匹とも共通して大好きでした。遠くまでドライブして、森の中のトレイルを歩いたり、池で水浴びをしたりの日帰り旅行は最高です。ただの買い物の付き合いだけの時もあります。車内が高温になる時以外は連れて行ってくれました。夏なら日が落ちる頃の夕刻で、寒い時期は日中の暖かい時間帯を選んで。

ドライブの一番の楽しみは、実はドライブスルーで買ってもらえるチキンナゲットでしたが、デュークが病気になってからはそれはパタッとなくなってしまいました。それがなくてもドライブは楽しいものでしたけど。どこかに行っても、行かずにずっと車のなかだけでも私達は好きでした。ハイウェイを降りてカントリーロードに入ると、しろみは窓から頭を全部出していました。それまで寝ていても必ず起きて顔を外に出します。野生動物の匂いがたくさんするのでたまらないのです。デュークは寒がりだし、私は景色はどうでもいいので、いつもしろみだけが窓側に座っていました。

<つづく>

もしもサポートを戴いた際は、4匹のネコのゴハンやネコ砂などに使わせて頂きます。 心から、ありがとうございます