黒沢清監督【アジア映画学生交流プログラム】レポート
みなさんこんにちは!学生応援団のりんです。
今回は第37回東京国際映画祭で行われたアジア映画学生交流プログラムに学生応援団のりんとゆかが参加させていただいたのでその様子をお届けします!
アジア映画学生交流プログラムはアジアの映画の未来を担う人材の育成を目的として昨年度から始まったプログラムです。今年は『スパイの妻』『Cloud』など国内外で高く評価されている黒沢清監督をお迎えし、行われました。会場には、中国、韓国、フィリピンなど、アジア各国で映画を学ぶが招待され、日本で映画を学ぶ学生も参加しました。
黒沢清監督マスタークラス
「いろんな作品を知っていることが大切」
マスタークラスでは、黒沢監督が製作の過程に関して、その難しさと醍醐味を語りました。黒沢監督は、映画の企画について「撮りたいという欲望」と「共有」という2つの要素からスタートすると明かしました。監督は「思っていたのと違うアイデアを俳優から言われたり、予算を削らないといけなかったり、共有することで欲望が変化していく」と語り、「そんな時に監督の教養が重要になる」と指摘しました。
スピルバーグのような作品を撮りたいと思っていたけれど、予算の関係でホームドラマにしてくださいと言われた時に「じゃあ小津のようにしよう」とできるか、という例を出し、このようにいろんな作品を知っておくこと自分の欲望の変形を楽しんで受け入れることができると伝えました。また、映画のみならず様々なテーマについて知識を深めることが大切であると語りました。
どこまでが監督の仕事か
次に「どこまでが監督の仕事か」という問いに対して、それは人によって異なり、それが監督の個性であると語りました。その一例として「有名な話ですが、『雲が気になるから』という理由でカットに全然OKを出さないことがありました」と巨匠・黒澤明監督のこだわりについて触れました。
黒沢監督の場合はロケハンを重要視しており、ロケハンでは実際に想像することができ、「ここを映すためにこう動いてもらう」など、場所が俳優の動きを決めることもあると明かしました。また、黒沢監督の作品では、自然、無機質なもの、古いもの、新しいものなど、多様なものを俳優の後ろに映すことを重要視していると語りました。このようにロケハンの重要性を強調しつつも、「僕がそうというだけで、映画はそうであるというわけではない」ということも付け加えました。
逆に、よほどのことがない限り、本読みやリハーサルはせず、ほとんど俳優に任せていると明かしました。また、衣装についても詳しくはわからないため、衣装の専門家である衣装部に任せたいといつも考えていると語りました。フランスで撮影された『蛇の道』では、監督が衣装合わせに立ち会うことはなく、衣装部が決めたものを監督にプレゼンするという方法を採用されていたそうです。
アジア映画学生交流会
プログラムの後半は立食パーティーのような形で、学生同士が自由に交流できる時間が設けられました。アジア各国の学生たちが楽しそうに交流する様子が見受けられました。
参加者にインタビュー!
今回招待された映画を学ぶ学生さんたちに、このイベントと東京国際映画祭の感想を伺いました!
黒沢監督のマスターコースの感想を教えてください
「沢山勉強になったことがありました。例えば、前は自分でシナリオ書く時も、ロケハンしないなら脚本書けないと思っていて、自分は変なんだと思ってたんですけど、黒沢清監督の話を聞いて一緒だなと思って安心しました。今は自信を持って自分の映画を作りたいです。」(日本映画大学撮影・照明コース学生)
「それぞれの監督に自分のこだわりがあって、最初は演技が一番重要だと思っていたんですけど、ロケハンの重要性を聞いたのは初めてでした。」(日本映画大学撮影照明コース・学生)
東京国際映画祭の感想を教えてください
「他の映画祭に勝るとも劣らないような、結構面白い映画があって楽しかったです」(東京藝術大学大学院脚本領域・学生)
「お客さんが日本人の方だけじゃなくて、外国の方もしっかり交わって観れるっていうあの空気感がすごく好きで、質疑応答とかでも英語で意見とかされてて、それがすごく良かったです。いろんな人が観てるなっていうのがわかるので。」(日本映画大学・学生)
最後に
日本を代表する監督の1人である黒沢監督のお話は、映画を学ぶ学生たちにとって大きな学びと励みになったのではないでしょうか。この交流会をきっかけに繋がった学生たち同士が、いつか一緒に映画をつくる日が来るのが楽しみですね!
本イベントの映像はYouTubeもご覧いただけますので、全編が気になる方はぜひこちらもチェックしてみてください!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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