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【ミニシアター】危機を乗り越えた映画館たち〜その壱〜

みなさんこんばんは🌛

京王井の頭線を巡るミニシアターはいかがだったでしょうか?ぜひ行ってみてくださいね☺️

次なるミニシアター巡りは、【閉館の危機を乗り越えた映画館たち】をご紹介します📣
本日ご紹介するのは、下高井戸シネマです🙌

1.下高井戸シネマとは

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京王線/東急世田谷線下高井戸駅から徒歩2分のところにある、ミニシアターです🎞
昭和30年代前半に"京王下高井戸東映"という東映の封切館としてオープンし、昭和63年から現在の"下高井戸シネマ"となりました。名画座が次々に閉館を追い込まれた平成10年に、危機を乗り越え、劇場は存続することができました。

時代の波を乗り越えた力強いミニシアターに、学生応援団メンバーで訪問させていただきました!
スタッフの皆さんで作り上げた上映スケジュールや場内展示など、映画愛が溢れた素敵な映画館でした💘

鑑賞した作品は「仁義なき戦い 頂上作戦」です!
レビューはこちら💁‍♀️

2.取締役の方のおはなし

そして、代表の方にインタビューさせていただくことができました✨
以下に、インタビュー全文を掲載していきます!

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ーー木下さんが代表になった経緯を教えてください

木下陽香さん(以下、木下さん)

実は下高井戸シネマに来たのは2019年。正式に来たのは9月で、まだ2年経ってないくらいの新人です。父が生前この映画館をやっていて、跡を継いだ形です。
ここに来る前は損保会社のOLで、全然映画と関係ないことをしていました。大学も映画とは全然関係ない。そして2019年にここに来て、初めて映画に携わる仕事をすることになったときには、もう代表になるという状態でした。

ーー(映画と関わっていなかったという話を受けて)映画との関わりについて教えてください

木下さん
映画は好きでしたが、バイオリンをずっとやっていたので、映画を見る時間がなかなか取れなくて。今も子供が2人いるので、時間がなかなか取れないという感じです。ただ父がすごい映画好きな人だったので、帰ってきてからいつも映画を見ていました。その隣に私がいて、だらだら何か食べながらずっと一緒に見ている。こういう形で、振り返れば映画を見ていたと思います。しかも、クラシックな名作みたいのが多くて、同年代の子たちと話が合わなかったんです。チャップリンの映画を誰でも見ているものかと思っていたんですが、誰も知らなくて「え?チャップリンって知らないの?」って思うくらいのギャップがありました(笑)

ーー好きな映画を教えてください

木下さん
すごく好きなのは『スティング』です。あとは『アマデウス』『追憶』とか。

ーー閉館という危機を乗り越えたからこその下高井戸シネマの魅力を教えてください

木下さん
当時、ヘラルドという会社が撤退してしまい閉館ということになりました。しかし、そこで父ともう一人の共同支配人の方と2人で譲り受けてやっていくということにして、完全に独立をしました。その時に資金力が無かったので、商店街の方が保証人になってくださり、その助けのおかげで続けることができたんですよね。
その時に会員制度を初めて作って、今も続いているんですけど、これは、年会費をお支払いいただくと、会費期間中映画が990円で観られるというものです。興収が伸びない月もあれば、伸びる月もあったりとかで、これを少しでも安定させるための会員制というのが功を奏して、生き延びることができました。
こうして今に続いたうち(下高井戸シネマ)の特徴としては、やはりマイナー作品を積極的に流すところと、シネコンとは雰囲気が全く違うことです。シネコンには遊園地のような雰囲気がある一方で、ミニシアターは映画館によってそれぞれ独自の雰囲気があります。たとえば館長の思いが詰まっているなどですね。違う場所で観る映画体験ってやっぱりオンリーワンなものなのかなと思います。

ーー(商店街の話を受けて)地域とのつながりについて教えてください

木下さん
支援を頂いたりするだけでなく、下高井戸周辺で撮られた映画や下高井戸を舞台にした映画などを上映できるという点で、地域とのつながりの大事さを感じます。
『アボガドの固さ』という早稲田の学生さんが撮って、PFFで受賞した映画があります。下高井戸を舞台に撮っている作品でうち(下高井戸シネマ)も出て来て、それをうちで上映して観るのはなんか不思議な体験でした。
他にもあぶら〜亭という桜上水にあるラーメン屋さんが撮った『横須賀綺譚』という映画も、ご近所と言うことで、うちで上映しました。
こういった地域の繋がりをこれからも広げていけたらなって思ってます。今はコロナで人を集めるイベントは滞っていますが、商店街とかを巻き込んだりしたいです。

ーー(コロナの話を受けて)アフターコロナの展望について教えてください

木下さん
コロナで色々なお客さんからクラウドファンディングとかの支援をしていただいたときに、沢山の方から様々なメッセージをダイレクトに貰って、むしろ変えなくていいんだなと思いました。ここって下高井戸に、60年あるんですよ。そうすると、小さいときにお母さん、お父さんに連れて行ってもらった映画館だったりするんです。記憶や若い時の思い出、当時の体験と(下高井戸シネマが)一緒にあるんですよね。だから、ここでの映画体験は(時代が変わっても)変わらずにできるっていうことを一つの方針にしています。ただ、電子マネーが使えるとか、そういう部分は改善していこうと思っています。
トークイベントがオンラインが主流になったことで、海外の監督さんとのインタビューなど今までできなかったことができるようになったため、積極的にやっていきたい。さらにこの前『トキワ荘の青春』を上映して、主演の本木雅弘さんがオンラインで出てくださいました。そのとき、25年前の映画に、現在の本木さんのトークを映像で流すというのが素敵だなと思ったんです。オンラインはリアルを超える部分もあると思っています。だからそういった部分は新しいこともやりつつ、基本的には変わらないでいたいです。

ーー上映作品を選ぶ基準を教えてください

木下さん
偏らずに選ぶというのは重視しています。映画を選んでいるのは、ベテランのスタッフで、高校生でアルバイトに来た時から20数年うちでずっと働いている方が選んでいます。自分が好きなものばかりではなく、あくまで選んでもらうのはお客さんという考えで、ジャンルや国、時代など幅広く用意して、そこからお客さんがいいものをチョイスしてもらえるようにと思っています。あとは、関連する作品を流すというのは最近よくやっていて、それによって興味が湧いたことがらについて、より深く辿っていけるので、シネコンとは違う楽しみができる形になっています。
あとは、台湾映画特集で台湾映画を何本か流したり。チベット映画特集で今のチベットの現状を追っていけるるようになっていたりします。
他にも、クラシック映画を映画館で見てもらう体験っていうのは、すごく価値があることだと思っています。スマホのような小さな画面ではなく、大きなスクリーンでこういう映画を堪能してもらえるっていうのはミニシアターならではだと思います。

ーー若者に今見て欲しい映画(下高井戸シネマで上映予定)を教えてください

木下さん
6月末だと、『香港画』とか『乱世備忘 僕らの雨傘運動』を上映します。香港、台湾の同じくらいの学生さんたちが何を思って、どういう活動をしているか、ちょっと真面目ですがオススメです。その対極だとラブコメ作品として『まともじゃないのは君も一緒』を上映します。

ーー最後に若者にメッセージをお願いします

木下さん
ミニシアターの雰囲気はシネコンとは本当に一味も二味も違ったもので、いろんな作品をやっているし、絶対楽しめると思うので、一度足を運んでもらえたらなと思っています。

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