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思考のコンパス:ノーマルなき世界を生きるヒント

今日は山口周さん新刊の「思考のコンパス」を読みました。
時代の”先”が見えない今、すぐに情報が古くなってしまう地図ではなく、常に進むべき道を指し示してくれる”コンパス”が必要である。
では私達は具体的にどの方向へ進んでいくのかを各分野の知見者との対談を基に来るべき世界についての考察を述べられた一冊です。

◆来るべき世界の3つのポイント

1. 仮想空間へのシフト

・情報材を取り扱う、いわゆるホワイトカラーの仕事は「情報の製造業」。
・情報には「量=リッチネス」と「到達距離=リーチ」がある。
・これまでリッチネスとリーチはトレードオフの関係にあった。
・しかし、インターネットの普及でこのトレードオフ関係は急速に解消された。
・さらに、今回「物理的に集まることができない」という制約を強制的につきつけられた結果、多くの社会活動が仮想空間で完結できることが明らかになった。

2. 反都市化への反転

・これまで世界は都市化がトレンドであった。
・物理的に密集した方が情報の伝達効率が良かったからである。
・しかし、1にもあるように多くの社会活動が仮想空間で完結することがわかった。
・今後さまざな企業や組織にとって「週に何日、会社に行くか?」が労働市場での採用競争力に関わってくる。
・これまでなかった「時空間オプション」が登場する。
・そうなれば、「無限に繁栄する都市」というイメージは終焉し、自然豊かな場所へ住む人が増える可能性がある。

3. ライフスタイルの多様化・複雑化

・上記の変化がおきれば、個人が選ぶライフスタイルも多様化する。
・何日会社に行くか。どこに住むかということを働き手に選択が委ねられると、「個人として、どのような人生」を生きたいのかを自分で決めなければならない時代が来る。
・日本人はこれまで「普通であること」が重視され、「普通でない」ことが批判されきたが、今後は「ノーマル=普通が溶解してしまった世界」が訪れる。
・その時に私達の判断を支えるのがぶれない指針である自分なりの「コンパス」である。

4. 各分野の知識人との対談から印象に残った箇所 

自分のテーマの一つがビジネスパーソンが悪気もなく引き継いでしまった昭和の呪いみたいなものをどうやって解くか(北野唯我)

→違和感に素直でいられるかが大事

人間がつくったものは情報量が少ない。圧倒的に自然の方が複雑で情報が多い。そもそも自然の持つ情報量の多さを人間が作ったものの中にどう入れ込めるかという営みそのものがアートの本質(山口周)

→自然は情報量が多いから心地が良い。その情報量の多い空間の中で人類はずっと生きてきたから今の方が不自然。

人の育て方には広さと深さの2通りある。情報と身体性に置き換えられる。
現代は身体(五感)を使って世界と向かう体験が少ない。(養老孟司)

→役に立たない経験こそが本質的に役に立つことがある。子供の育児もそう。

タンザニア人は借りをすべて返済してしまったら、そこで関係が終了してしまうと考える。相手が負い目があると感じている方が関係は続くので、自分が必要になる時までは借りは残していく(小川さや)
私の会社では、研究開発する際に「6対3対1」ルールを取り入れている。6割直近の事業に関連、3割中長期的に関連、1割何に関連するかわからない研究。日本では無謬性(誤りのなさ)が重要視され、ミスやエラーを忌避しますが、それが社会の閉塞感を招いていると思います。(高橋祥子)

5. 感想

ポストコロナで「ノーマル=普通が溶解してしまった世界」が来れば、「自分が何者でどうしたいか」がますます問われます。
まだこの問い明確に答えられる自信がなく、決断時のコンパスもまだ持っていないので少しずつ見つけていきたいと思います。
対談に関しては、話の所々での見方や表現が面白いと感じました。

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。


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