山手線一周にまつわる考察

元々大学生の間にそういう文化が根付いていたのか、
たまたま私の周りで流行っていただけなのかは知らないが、
大学の時に友人と二人で歩いて山手線を一周した。

山手線の実際の路線距離は35km程度なのだが、
徒歩で歩く場合は迂回しないといけなかったりするのでだいたい45km程度になる。
これを合間に休憩も挟みながら、およそ12時間かけてひたすら駅から駅にかけて歩いていくのだ。
駅間の距離が長いところ(たしか大崎〜品川が一番遠かった)は精神的に辛いので、体力が十分に残っている行程の前半に持ってくるなど、
段取りの工夫も必要になってくる。

そんなこんなで挑んだ山手線徒歩一周の旅で目の当たりにしたのは、
思ってもみない地域間格差であった。
もっと平たく言うと、どの駅間かはここでは言及しないけれども、
とにかくヤバい地域があったんです。

その妖しい雰囲気はここ本当に日本なのかな?と不安になるレベルで、
たまたまそこを通過した時間帯が夜だったのも相まって怖さはピークに達し、
その地域を抜けるまでの30分ほど、友人とお互いに一言も交わすことなくとにかく一刻も早く次の駅へ到達したい一心で歩き続けた。

足が痛む中、全行程を歩き切って出発地点に戻ってきた達成感もあったようには思うが、
今でも山手線一周のことを思い出すとき、何より浮かんでくるのはあの現代日本とは思えないような妖しい街の風景と、あの時感じた心がヒヤリとする感触なのだった。

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