吾輩は100万回生きた猫である #22

アントニウスとクレオパトラは、逃亡の果てにエジプトに戻り、アレクサンドリアで潜伏していた。彼らは、オクタウィアヌスの追手から逃れるため、街の裏通りや暗がりを利用して身を隠した。しかし、運命は彼らに容赦なく迫っていた。

ある日、アントニウスはクレオパトラと別れ、一人で情報収集に出かけることにした。彼は、オクタウィアヌスの動向を探るため、危険を冒していた。クレオパトラは彼を心配し、猫のバスティに寄り添いながら祈り続けた。

夜が更けてもアントニウスの姿が見えず、クレオパトラの不安は募るばかりだった。そしてついに、痛ましい知らせが届いた。アントニウスは、オクタウィアヌスの兵士たちに見つかり、重傷を負っていたという。

クレオパトラは慌ててアントニウスのもとへ駆けつけたが、彼はすでに息を引き取ろうとしていた。彼女は涙を流しながら、アントニウスの手を握りしめ、思い出と共に過ごした日々を振り返った。

アントニウスは、最期の力を振り絞ってクレオパトラに言葉をかけた。「愛しいクレオパトラよ、私は幸せだった。君と過ごした時間は、私の人生で最も価値あるものだった。どうか、君も幸せに生きてほしい…」

そして、彼は静かに息を引き取った。その場にいたバスティもまた、アントニウスの死に心を痛め、クレオパトラを慰めようと寄り添った。彼女は、彼の死を受け入れられず、悲痛の叫びをあげた。アントニウスと共に築いた幸せな日々は、遠い夢のように消え去っていった。