吾輩は100万回生きた猫である #21

オクタウィアヌスの勢力が圧倒的に強くなり、エジプトへの侵攻が始まる中、クレオパトラとアントニウスは逃亡を決意する。彼らは、エジプトを守り抜くことができないと悟り、エジプトの民に対して絶望と悲しみを感じていた。

夜陰に乗じて、クレオパトラとアントニウスはバスティと共に、アレクサンドリアを離れる。秘密裏に用意された船に乗り込み、彼らは沖へと漕ぎ出す。彼らが辿り着く先は不明だったが、彼らは共に運命に立ち向かい、新たな未来を切り開こうとしていた。

しかし、重苦しい空気が漂っていた。クレオパトラは突然、不安に襲われる。彼女はアントニウスに目を向け、うっすらと顔色が悪くなっていることに気付く。バスティもまた、その様子に気付き、クレオパトラの懐に寄り添い、彼女の不安を感じ取っていた。

クレオパトラはバスティに目を向け、涙を流しながら語りかけた。「私たちは運命に打ち勝つのだ、バスティ。これまでの苦難に耐えてきたように、これからも力を合わせて進んでいこう。」しかし、彼女の言葉には確信が欠けており、不安を隠せなかった。

一方、アントニウスは船の舵を握り、前を見据えていた。彼はクレオパトラと共に、新たな未来への道を切り開くことを決意していた。しかし、彼の目には、不安と恐れが滲んでいた。彼は強い意志を持ち続けようとしていたが、不安は拭い去れなかった。

逃亡の日々が始まり、クレオパトラ、アントニウス、そしてバスティは、新たな人生を模索しながら、遠く離れた地へと向かっていった。彼らは、運命に翻弄されながらも、決して諦めずに愛し合い続けることを誓い合った。だが、彼らの未来は、不安と緊張に包まれていた。

夜ごとにアントニウスは、彼らがオクタウィアヌスの手から逃れられるかどうかを悩み、クレオパトラは彼を励まし続けた。その一方で、バスティもまた、彼らの安全を願いつつも、どこか暗い予感を感じていた。

クレオパトラは不安を抱えながらも、アントニウスと共に新たな未来を築く決意を固めていた。そして、彼女はバスティに寄り添い、「私たちの愛は、どんな困難にも耐えうるもの。オクタウィアヌスに怯えることはないわ。」と、自らにも言い聞かせるように囁いた。

バスティは、クレオパトラの言葉に安堵しつつも、その予感は拭い去れず、遠い空に暗雲が立ち込めるのを見つめていた。どこかで、彼は悲壮な未来が待っていることを感じ取っていたが、それでも彼はクレオパトラの側にい続けることを決意した。

逃亡の航海は続き、時折追手の気配が感じられるものの、彼らは何度も危機を乗り越えていた。しかし、その度に彼らの心は、不安と恐れによって少しずつ削られていくようだった。それでも、クレオパトラとアントニウスは愛を固く信じ、未来への希望を失わないよう努めていた。