なりたいものになれないことが不幸とは限らないことを教えてくれる漫画
漫画、やっぱり好きです。
鉄楽レトラ
鉄楽レトラは、主人公である男子高校生がフラメンコを始めることで、色々な人と関わりながら傷つきつつも成長していくお話です。
フラメンコそのものの話というよりも、それを通して友人や家族との関わりを描いていく物語ですね。
私はフラメンコの知識はありませんでしたが、全く問題なく読めました。
「なりたいものになれなかった人たち」の物語
青春もの・恋愛ものとしても読めますが、私がこの本に惹かれたところは、出てくる人物のほとんどが何かを諦める体験をしてきている、というところでした。
主人公であれば自信のあったバスケットボール。
おばあちゃんが勧めてくれたフラメンコを諦めた女の子。
聖歌隊に入っていたけど変声期でうまく歌えなくなった友人。
大好きで、ずっと続けていきたかったけれど、辞めざるを得なくなった。
そういった傷を抱えながらも、ちょっとずつちょっとずつ周りの人と関わりながら、新しい何かを見つけて不器用ながらも続けていく。
頑張って努力して克服するんじゃなくて、手放した先で見つけた何かが大切なものになっていく、そういった過程が描かれているところがとても好きです。
手放すって難しい
高校生にとって自分がかつて選んだもの、自信を持っているものを手放さざるを得ないということは、時にはとても大きな傷つきになるんじゃないかと思います。
そしてそれは、大人になってからも同じではないでしょうか。
高校生のようにスポーツや趣味、将来の夢などのようなものではなくとも、自分にとって理想というか、「こうあるべき」「こうありたい」ということを諦める、手放すことは結構難しいのではないかなと思います。
できない、苦手だということを受け止める。受け入れる。
それは本当に困難なことだと思いますが、それができた時にはもしかしたら自分らしい生き方が見えてくるのではないでしょうか。
私もそれができているなんて夢にも思いませんが、この作品を読むとちょっとだけそうしてみたいと思える…かもしれません。
よろしければぜひ読んでみてください。
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